日本時間2023年4月4日未明から、「ブルームバーグ」など複数のメディアから「ワーナー・ブラザース・テレビジョンが『ハリー・ポッター』のドラマシリーズを制作する予定だ」と報じました。

企画は『ハリウッド・レポーター』が2021年に報道したように、数年前から始まっていました。HBO Maxとその当時の親会社であったワーナーメディアは、「ハリー・ポッター」のドラマシリーズ化を検討し始めていたのです。当時、ワーナー・ブラザースはグローバル・キッズ、ヤングアダルト、クラシック部門の社長トム・アッシャイムを「ウィザーディング・ワールド」と「ハリー・ポッター」のフランチャイズを管理するように任命。テーマパークやツアー、スピンオフ作品などで興行収入91億ドル(およそ1兆2000億円)にも上る劇場用ライブラリを含む業務を担当していました。

その体制の下でアッシャイムは、ワーナーメディアの最高代表としてローリングと彼女の代理人との関係性を築きながら、シリーズ化の調整を図っていました。ところが、2021年にワーナーメディアは、「ディスカバリーチャンネル」や「アニマルプラネット」などドキュメンタリーを主に運営してきたディスカバリー・コミュニケーションズと合併。この事業統合完了後1年で、アッシャイム氏の部門は解散――彼は会社を退社することなりました。

the 40th anniversary screening of "et the extra terrestrial" opening night at the 2022 tcm classic film festival
Stefanie Keenan//Getty Images
ワーナー・ブラザース時代のトム・アッシャイム(左端)。

しかしながら「デッドライン」などの報道によれば、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのCEOであるデビッド・ザスラフは、フランチャイズに注力することを何度も強調しています。ハリー・ポッターのIP(知的所有権)の生み出す膨大な金銭的価値の「発掘」を優先事項として位置づけているため、彼はローリングと何度も会い、反トランスジェンダーに関する彼女のコメントについてすら支持を表明しています。

ファンダム(熱狂的なファン集団)を狙った、莫大な額の動きが予想できるコンテンツビジネス―—これまでは純粋に楽しめてきた人たちも、後日譚に前日譚そしてテーマパークにコラボ商品などなど、あまりにも多くの形で提供されて(擦られて)しまうとさすがに、「自分たちの好きだった物語を置き去りにした金儲け」と見てしまうのは自然なことでは。現にSNS上では、「うんざり」といった声も少なくありません。「果たして、シリーズ化は良い形で実現するのか?」、多くの人が注視しています。