ウェス・アンダーソン監督最新作『The French Dispatch』に、学生革命家セヴィレッリ役として登場するティモシー・シャラメ。モノクロシーンで見せつけてくれた豊富な髪とひげ面のセットで登場した彼の姿は、革命家 チェ・ゲバラ(エルネスト・ゲバラ)をもとにしています。

 ティモシー・シャラメ の中学生のようなひげに関して、疑問に思っていた人もいたかと思います。そうです、「エスクァイア」US版の編集部を始めとした多くの人々が、彼のひげに関して違和感を感じていたのです…。

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Theo Wargo//Getty Images
2020年、「ナショナル・ボード・オブ・レビュー ガラ」のレッドカーペットに、薄いひげを生やして登場したティモシー・シャラメ 。
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 …と、話が逸れてしまいましたが、本題に戻りましょう。

 彼のひげに関してはさておき、この映画での彼の役割がわかったわけです。ティモシー演じるセヴィレッリは、アルゼンチンの自由の戦闘機と同じ…ロックと自由への渇望を持つ反乱軍であり、そのポスターが学生のマルクス主義社会の全員の寝室の壁に登場します。

 ウェス・アンダーソン監督いわく、「この作品は、ジャーナリストへのラブレター」だと言います。20世紀のフランスの架空の都市を舞台にしたこの物語は、アメリカ人記者が『The French Dispatch』を発行し、それにまつわる物語を3つの視点から描いた作品で構成されています。

 第2章であるルシンダ・クレメンツ記者(フランシス・マクドーマンド)による「マニフェストの改定」編では、「子どもがやった」と学生運動と政府の衝突を目の当たりにしたクレメンツ記者が言い放つシーンから始まります。「2週間以内に千年にわたる共和党の権威を全滅させた。彼らは何を望んでいるのか? 自由、終止符を打つことだ」とも…。

 第1章「コンクリートの名作」は、The French DispatchのJ・K・L・ベレンセン記者(ティルダ・スウィントン)編、第3章はローバック・ライト記者(ジェフリー・ライト)による「警察本部長のプライベートな食堂」編です。

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警官隊に対抗する学生運動家たちに取材を行う、クレメンつ記者。

 予告編でティモシーは、チェ・ゲバラの象徴的なアイテムであるベレー帽の着用は見られませんが、その代わりに浴室でのシーンで頭にターバンを巻いています。

 また別のシーンでは、彼の衣装は革命家のファッションをよりロマンチックにさせたような、着心地の良さそうなヘリンボーンジャケットにシャツ、そして口にはだらしなくくわえたタバコがあります。

 その一方で、オーウェン・ウィルソン演じるアブサン・サゼラック(『The French Dispatch』のメンバーの作家)は、チェ・ゲバラのそれに非常に近いベレー帽を予告編と宣伝用写真で被っています。

  『The French Dispatch』は、ゲバラのベレー帽に関する実話をもとにしているのでしょうか? ゲバラがキューバに移る前は、実はフランスの革命家であり、つまり…「フランス城の前で物憂げに見つめる人であったら」と考えさせる作品になるでしょうか?

 いずれにせよ、ティモ・チェ・ゲバラ・シャラメといじるのはやめて、作品に集中して観てください。

preview for Check Out the First Trailer for 'The French Dispatch'

 現段階では、2020年7月24日からアメリカで上映開始が決定しています。日本での公開はまだ発表されていません。ですが、ウェス・アンダーソン監督の記念すべき10本目の作品です。日本での公開も、大いに期待できるでしょう。

Source / ESQUIRE UK