ハイブランドとスポーツシューズブランドのコラボレーションの魅力ついて、あえて触れるとするならば…それは、「何ものにも影響されていない」独自路線を堂々と突き進む潔さがある…といったところでしょう。

 それもそのはず。例えば使用する素材を革へとアップデートし、シュータンのロゴを変更しただけの高級スニーカーでは、これまでドッグイヤーとも言える急速な発展を繰り返してきたストリートファッションの原動力であるスニーカーカルチャー自体をザワつかせることもできないからです。

 近年のストリートカルチャーの爆発的な人気により、ほとんどどのブランドから毎シーズン新しいデザインのスニーカーが登場しています。それによって、もはやトキメクような目新しいデザインに出会う機会は失われつつあるのは事実なのです…。

 しかし、「このまま、スニーカーブームは低迷するのか?」と思われた矢先、「これは絶対に人気となるはずだ!」と、スニーカーマニアも「ハッ!」とさせるアイテムが登場しました。

メゾン マルジェラ × リーボックのコラボスニーカー
Getty Images

 このアイテムについて説明する前に、まずはあまり知らないという方に向け、双方の歴史について簡単にお話しておきましょう。

 「リーボック」を代表するこのモデル『INSTAPUMP FURY(インスタポンプフューリー)』は、1994年に誕生しました。この開発はかつてリーボックに存在したスペシャルチーム RAC(リーボック アドバンスド コンセプツ)が手掛け、この斬新なデザインと最先端の技術に対して多くの人の心を掴んで一世を風靡しました。

 特にシュータン付近についている大きな「ポンプ」ボタンにより、エアバッグを膨らませてパーソナルにフィット感を出すこの技術は、それまでにない新発想でした。そして今日まで、「リーボック」のアイコニックなモデルとして愛されています。

 一方、「メゾン マルジェラ」の『Tabi ブーツ』にも、長い歴史と熱狂的なファンが存在しています。『Tabi ブーツ』は、1988年に初めて発売されました。その名前からもわかるように、日本の和装文化に欠かせない履物「足袋」から着想を得たものであり、フォーマルシューズからハイヒールブーツにいたるまで、性別問わずこのスタイルを採用したシューズが登場してきました。

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 そんな両ブランドがコラボしたスニーカーが、2020年春夏オートクチュールコレクションで初披露されたわけです。それも最低でも一着100万円以上するオール・ハンドメイドのドレスとともに…です。

 それはスニーカーがデビューするには、いささか場違いな気もしますが…。これには、2つの意味を示唆している可能性があります。

 1つは、このコラボスニーカーは「オートクチュール価格」で販売される超限定版であり、庶民は決して軽々しく足を踏み入れることができないという可能性…。

 そしてもう1つは、超高級ファッションに対する巧妙な対抗策であり、「スタイルはすべての人にとって自由であり、誰もが自由に装うべきだ」という親和性を謳うものであるという可能性になります。

 我々は後者であることを期待して、今後の発売予定日や価格についての公式発表を待つことにしましょう。

Source / ESQUIRE UK