ファッション業界が長年抱え続けている環境汚染に関する問題に真っ向から取り掛かり、カーボンフットプリント排出量を抑え、エコフレンドリーな素材の開発を続けているサンフランシスコ発のブランド「Allbirds(オールバーズ)」。環境に配慮したモノづくりが共感を呼び、2019年には東京・原宿にも初の店舗をオープンし、急成長を遂げている注目のブランドです。

 そんな「オールバーズ」が次なる目標としたのは、「レザーに替わる素材を生み出す」ということ。まず「オールバーズ」は、⾰新的な素材を開発する⽶国イリノイ州の企業「ナチュラル・ファイバー・ウェールディング(以下NFW)」とそのMirum®テクノロジーに対して、200万ドルを投資します。

 NFWは、2015年にルーク・ハヴェラール氏が創業した革新的な新素材を開発する企業です。そして同社が、最初に市場展開した製品がMirum®になります。これは天然由来の生物分解性ポリマーでつくられており、ポリウレタンでコーティングしたり、合成接着剤も使用しません。手触り感の調整や複雑な構成など、あらゆる工夫が可能な新しい時代のエコ素材です。

 そうしてこのたび、この技術を利用した世界初となる100%植物由来の「プラントレザー」の開発が見事成功したのでした。

従来のレザーと比較し、
カーボンインパクトを1/40に軽減

 この「プラントレザー」は植物油や天然ゴムなどのバイオ素材を原料としており、将来的には自然に還ることが可能な素材であり、世界で最もサステナブルなエコレザーと言えます。

 もちろん、その製造工程も従来の天然⽪⾰に⽐べて1/40、⽯油由来の合成⽪⾰と⽐べても1/17のカーボンインパクト(⼆酸化炭素による環境への影響)を軽減することに成功しています。

「オールバーズ」が、100%植物由来のサステナブルな"プラントレザー"を開発
Allbirds

ファッション業界に求められるのは
競争ではなくパートナーシップ

 「Allbirds」の共同創業者であるジョーイ・ズウィリンジャー氏は、この開発成功にあたり、プレスリリースでこのように述べています。

 「多くのファッション企業は、環境より⽣産スピードとコストを優先させるために、環境に悪影響な⽯油由来の合成素材やサステイナビリティに⽋けるレザーを⻑く使⽤し続けてきました。NFW社はスケーラブル(拡張可能)かつサステイナブル(持続可能)なプラントレザーを開発しており、これらの素材は⼆酸化炭素排出量を98%も抑えられるポテンシャルを秘めています。今回のパートナーシップ及びそのテクノロジーによって開発されるプラントレザーは、ファッション業界から⽯油系素材を失くすための⼤きな⼀歩となるでしょう」と話しています。

 「オールバーズ」は素材開発だけでなく、「地球のためにCO2e排出量を知る」ことを誰もが意識できるようになることを目指し、全商品におけるカーボンフットプリントの表⽰などの"カーボンゼロ"に向けたさまざまな取り組みを行っています。これらの活動によって、サステイナブルな未来が実現可能なものであると証明される日が来ることを目標に挑戦し続けているのです。

 ファッション業界が「気候変動」という難題に⽴ち向かうために必要なことは、“競争”ではなく、“パートナーシップ”であることを「オールバーズ」はわれわれに教えてくれているのではないでしょうか。このエコ素材の開発成功という大きな一歩に、多くの企業が賛同し、そして、よりよい体制がつくられていくことを切に願いたいものです。

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