hiroshi watatani
Hiroshi Watatani

過日、『オールドジョー』のデザイナー髙木雄介さんを訪ねて、世田谷区若林のプレスルームにお邪魔した。

オールドジョーといえば、ヴィンテージのような面構えをした味出しデニムパンツやレザージャケットなどを得意とするこだわりのラギッドブランドというイメージだけど、髙木さんから意外な答えが返ってきた。

「“ラギッド”で括られるとちょっと…。自分たちは、もっとニュートラルな意識でデザインしているので。確かにブランド立ち上げ当初はヴィンテージをイメージしたアイテムを数多く展開してましたし、ボク自身も手間暇惜しまず作り込んだ1930年代から1950年代にかけてのプロダクトが大好きで、ものづくりをするうえで多くのインスピレーションを受けてきました」

hiroshi watatani,old joe
Hiroshi Watatani

「でも、だからといって昔のものを復刻したリプロダクトにはしたくない。継承はするけど新しいものへと進化したい。そういう意味でもカテゴライズとは無縁のジャンルレスなブランドでいたいと思ってます」

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Hiroshi Watatani
糸から製作を手掛けたブランド定番のデニムシリーズ「946」。生地に特殊な防縮加工をかけているため、通常のリジッドデニムのような固い質感にはならず、ふんわりと柔らかな仕上がりに。シャツインした際の色移りを防ぐライニングの仕様や、負荷のかかる部分にマチを配していたりと、見えない部分にも並々ならぬこだわりが詰まっています。2万8600円(オールドジョー/オールドジョー フラッグシップストア TEL 03・5738・7292)

なるほど。まさにこのタイトルどおり“トラッド進化論”ですね!って、トラッドのカテゴリーも余計か(汗)。そういえば、定番のデニムパンツやレザージャケットの他にモダンなアイテムも多く見受けられますね。「画伯、試しにこれを着てみてください」と、袖を通させていただいたのはなんとも国籍不明なジャケット。

「これは着物と同じ直線裁断で、デザインはチャイナ風。それをツイーディーなタッチの服地で仕立てました。着ると洋服とはまた違うドレープが現れて面白いでしょ?」と髙木さん。

シンプルだけど個性的。着る人の職業が想像できない服だけど、これをカッコよく着こなせたらただ者じゃないね。上手に着こなすコツってあるのかな。

「こういうリラックスしたジャケットにはドローコードのイージーパンツを合わせがちですが、あえてテーラードのトラウザーでセットアップにして普通に、シンプルにです。ハズシ技とか考えず、革靴を合わせて欲しいですね」

この秋はモダンな服をアンダーステイトメントに、だな。古くて新しい大人のクラシック、ここにアリだ。

綿谷画伯がたどり着いた、
進化した今の
トラッドスタイルがこちら
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Hiroshi Watatani
民族衣装を彷彿させる直線的なパターンが特徴的なチャイナジャケット。テーラリングの手法を取り入れており、他にはないクラシックなたたずまいが際立ちます。デザイナー自ら工場を探し製作したという、オリジナルのツイードも必見です。ジャケット8万2500円、パンツ4万6200円(2点共オールドジョー/オールドジョー フラッグシップストア TEL 03-5738-7292)

公式サイト

(メンズクラブ2021年11月号より)
※掲載内容は発売日時点の情報です。価格の変更や売り切れの場合がありますので、最新情報についてはブランドのHPよりご確認ください。