「画伯、『ラファーヴォラ』というブランドご存じでしょうか? もともと自分が着るために趣味で作っていた服が業界人の間で評判となり、ブランド化してしまったという変わった背景を持ったブランドです。ホームページもインスタもないためボクも詳しくは知らないのですが(笑)」と、担当Oくん。

若いキミが知らない新進のブランドをおじさんのボクが知るワケないじゃん! ということで、今回は知る人ぞ知るラファーヴォラのデザイナー平 剛さんを訪ねて、西麻布のショールームにお邪魔した。

「初めまして。本日はよろしくお願いいたします」と、ちょっと照れくさそうに迎え入れてくれた平さん。白シャツにジーンズのラフなスタイルにガバッと羽織ったネイビーブレザーは、上襟をノボらせ、肩線から袖にかけてゆるやかにカーブを描き、そして動くたびに揺れる、ウエストから裾に向かって広がるボディラインがなんともスポーティでエレガントだ。

当たり前だけど、とても趣味で作り始めた服とは思えない。ここだけの話、実は一流テーラーで修業された経験がおアリですよね?

「いえ、テーラリングに関しては独学です(笑)。学校を出てから婦人服の縫製会社に就職しまして、そこで仕事をしながら服作りの基本的なことを覚えました。一方で、趣味としてテーラードの服を見よう見まねで作っては親交のある元ドレステリアディレクターの森 万恭さんやサイの宮原秀晃さんに見てもらい、そのたびにダメ出しでしたよ」

hiroshi watatani
Hiroshi Watatani
フィレンツェとナポリのサルトリアで出合ったPコートから着想を得て作られた一着。サルト仕立てがベースなだけあり、Pコートとしては珍しくフロントダーツが入っており、体のラインに沿う美しいシルエットが特徴的です。生地にはメルトンより軽く光沢感のあるカルゼを使用しているので、エレガントな見た目ながら着心地はとても軽やか。10万7800円(ラファーヴォラ/ラファーヴォラ TEL 050-5218-3859)

で、8年前に森さんからようやく『売り物の服になったね』と褒めていただき、翌年、自分用に仕立てたジャケットを着てピッティ開催中のフィレンツェを訪れたところ、現地の方から『その服どこの? いいね』『欲しい』と声をかけていただき、リップサービスだろうと思ったら本当にたくさんの注文が入ったんです。それがブランドを始めたきっかけです」と平さん。

独学ゆえの独自性か、平さんの服はスタイルを選ばない。それは2年前からスタートしたプレタにも息づいている。画家をイメージしたというカーディガンジャケットはボクも欲しい一着だ。もちろんリップサービスではない。

綿谷画伯がたどり着いた、
進化した今の
トラッドスタイルがこちら
hiroshi watatani
Hiroshi Watatani
画伯も一目ぼれした白のカーディガンジャケットは、油絵の絵描きが着るスモックを参考に作られたもの。カーディガン以上、ジャケット未満のちょうどいい使い勝手の良さで、オフはもちろんリモートワーク時にもおすすめ。滑らかな風合いと起毛感を両立させるため、そ毛ウールに特殊な加工を施しているのもポイント。6万4900円(ラファーヴォラ/ラファーヴォラ TEL 050-5218-3859)

●問い合わせ先/
ラファーヴォラ
TEL 050-5218-3859

(メンズクラブ2021年11月号より)
※掲載内容は発売日時点の情報です。価格の変更や売り切れの場合がありますので、最新情報については問い合わせ先よりご確認ください。