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一口に「ダッチオーブン」と言っても、素材によって数種類に分類されるうえ、コールマンやロッジ、キャプテンスタッグなどさまざまなメーカーから販売されていて、どれを選べばいいかわからない人もいるかもしれません。
そこでこのページでは、ダッチオーブンの選び方やダッチオーブンのおすすめ商品を紹介。また、キャンパーの憧れ「ブラックポット」を目指すためのシーズニングなどお手入れ方法も解説します。
ダッチオーブンとは。
メリットや作れるレシピは?
ダッチオーブンとは、蓋(ふた)に炭火をのせられる分厚い金属製の鍋のことを指します。実はアメリカの西部開拓時代から使われている、歴史ある調理道具。諸説ありますが、オランダ系移民が売っていたことから「ダッチオーブン」と呼ばれるようになったとも言われています。
ダッチオーブンでは「焼く」「煮る」「蒸す」「炒める」「揚げる」といったさまざまな調理ができ、まさしく“万能鍋”と言えるアイテムです。素材によって違いはあるものの、一般的な鋳鉄のダッチオーブンであれば熱伝導性と蓄熱性に優れているとされ、食材のうまみが凝縮された料理をつくれると評判です。
さらに、先ほどの通り蓋に炭火をのせて「オーブン」のように使うこともできます。きちんと下処理した鶏肉や牛肉と野菜、調味料をダッチオーブンに入れたら、基本的にはあとはほったらかしでOK! ローストチキンやローストビーフなどのレシピがつくれるとも。
ダッチオーブン1つで多彩な料理がつくれるので、荷物をなるべく減らしたいキャンプや、バーベキューなどのアウトドアシーンできっと重宝するはずです。
ダッチオーブンの選び方
ダッチオーブンの素材は、主に鋳鉄・ステンレス・黒皮鉄板の3種類があります。それぞれの特徴を知れば、自ずと選択肢が絞られるはず。さっそく見ていきましょう。
鋳鉄(イガネ)|経年変化を楽しみながら使える
ダッチオーブンの素材として、最もポピュラーなのが鋳鉄です。比較的安価な商品が多いうえ、サイズやデザインのバリエーションも豊富。メンテナンス次第では、「ブラックポット」と呼ばれる黒々とした光沢を放つダッチオーブンへと経年変化を楽しめます。
ただし、使う前の慣らし作業であるシーズニング(鍋全体に油の被膜をつくることで、丈夫な鍋に育てていくための慣らしの作業)をする必要があることや、サビが発生しやすいことがデメリットとなります。また、使用後は洗剤で洗わず、油でコーティングをしなければなりません。そのため、お手入れをしながら長く愛用したいといった志のある人におすすめです。
ステンレス|ダッチオーブン初心者におすすめ
ステンレスは鋳鉄のようにシーズニングをする必要がなく、手軽に使えます。また、使用後は食器用洗剤で洗うだけでOK。メンテナンスの手間を省きたい人はもちろん、ダッチオーブンを初めて使う人にもおすすめです。IHや電気プレート、ガスコンロといった熱源に対応している商品が多く、自宅で使うのにも向いています。
一方、炭火で使用すると表面が汚れやすかったり、耐熱性にやや劣るところはデメリットと言えます。例えばキャンプで焚き火にくべて使いたい場合には、あまり向いていないでしょう。
黒皮鉄板|衝撃や温度変化に強い。キャンプにもGood
黒皮鉄板は、表面にある微細な凹凸により油が馴染みやすく、中華鍋やフライパンなどにもしばしば用いられる素材です。「黒皮(ミルスケール)」という酸化皮膜で覆われており、たわしなどでゴシゴシとこすり洗いをしても、劣化しにくいのが特徴です。またサビが発生しにくく、衝撃や急な温度変化に強いところも魅力です。
しかし、全くサビないというわけではないので、メンテナンスは必須。あらかじめサビ止めのワックスが塗布されている商品もあるため、使用前のシーズニングが必要な場合もあります。鋳鉄と同じく、お手入れをしながら長く愛用したい人に向いています。
ダッチオーブンのサイズは、8インチ・10インチ・12インチが主流。3サイズの中から、自分にとって使い勝手のよいものを選びましょう。
8インチ|ソロキャンプに丁度いい
3サイズの中で最もコンパクトな8インチは、1〜2人で使うのに丁度よく、ソロキャンプにもおすすめです。コンパクトゆえに持ち運びやすいのも美点。ちょっとしたおつまみをつくるのにもおすすめです。
10インチ|汎用性が高い
3サイズの中で特に使い勝手が良いと言われているのは、10インチのもの。サイズ10インチのダッチオーブンは4人前の料理をつくるのに適しているうえ、家庭用のキッチンコンロにも収まる…というところで、さまざまなシーンで活躍する可能性が高いというわけです。
12インチ|4人以上で使用する場合に
4人以上で使用する場合は、サイズ12インチのダッチオーブンがおすすめ。具だくさんなシチューや丸鶏を使ったローストチキンなど、一度に多量の料理をつくるのにもぴったりです。
ダッチオーブンを家庭で使うことが多いのなら、対応熱源のチェックをお忘れなく。特に自宅のキッチンコンロがIHの場合は、説明書などを参照し、IHに対応している商品かどうかをきちんと確認しておきましょう。
また、ダッチオーブンの中には鍋底に脚が付いているタイプと、脚が付いていないタイプがあります。家庭で使う場合は、脚がついていないタイプが向いています。購入前に使用するシーンを想定し、適した商品を選んでください。
キャンプで使用するダッチオーブンを探しているなら、蓋に炭火を乗せられるタイプがおすすめです。鍋を下からも上からも熱せられるため、中の食材にじっくり火を通すことができます。うまみがギュッと凝縮された、おいしい料理ができるでしょう。
またキャンプでは、焚き火にくべて使うことが多いため、鍋底に脚が付いているタイプのほうが重宝するでしょう。地面がデコボコしている場所でもしっかりと自立し、安定感バッチリ。調理中に、鍋が倒れてしまった…ということもないはずです。
さらにダッチオーブンは調理すると高温になるため、ハンドルがあると安心。トライポッド(キダッチオーブンを吊るせる「三脚」のこと)に吊るして使うこともできます。ちなみに、ハンドルにくぼみがあると安定感が倍増。もし風に煽られても、倒れにくくなるでしょう。
ダッチオーブンのおすすめ11選
スノーピーク コンボダッチデュオ
大人気アウトドアブランド「スノーピーク」による、新潟・燕三条でつくられる鋳物に特有の薄さ・軽さを活かしたダッチオーブンセットです。
リッド・スキレット・ポット・プレートが同梱され、これ1つでさまざまなレシピにチャレンジも可能。特に熱伝導性や蓄熱性に優れているため、煮込み料理にぴったりです。全アイテムは重ねて収納でき、コンパクトに持ち運べるのもおすすめポイントです。
- 素材:鋳鉄
- サイズ:-
- IH対応:-
キャプテンスタッグ ダッチオーブン14cm
アウトドアブランド「キャプテンスタッグ」のダッチオーブンです。焚き火はもちろん、ガスコンロ・IH・シーズヒーターなどの熱源に対応。この1台でごはんを炊いたり、たまごをスモークしたりもでき、こだわりの本格アウトドアクッキングが楽しめます。
- 素材:鋳鉄
- サイズ:直径14cm
- IH対応:◯
コールマン ダッチオーブン10インチ
創業120年の歴史を誇る老舗ブランド「コールマン」のダッチオーブンは、シーズニング不要ですぐに使いはじめられるのがメリット。
熱くなった蓋を持ち上げる際に便利な、リッドリフターがセットになっているところも見逃せません。専用の収納ケース付きで、持ち運びもラクラクです。
- 素材:鋳鉄
- サイズ:10インチ(直径約25cm)
- IH対応:◯
SOTO(ソト) ステンレスダッチオーブン12インチ
極地に挑む冒険家や登山家の想いから生まれた燃焼器具の総合メーカー、「SOTO(ソト)」のオールステンレス製ダッチオーブンです。
サビや衝撃、温度変化に強い上、食洗機の使用もOKとのこと。残った料理を鍋ごと保管できるところもうれしいポイント。IHやガスコンロ、電気プレートにも対応しており、さまざまなシーンで使えるでしよう。
- 素材:ステンレス鋼
- サイズ:12インチ(直径約30.6cm)
- IH対応:◯
ユニフレーム UFダッチオーブン10インチ
ユニフレームのUFダッチオーブンは、衝撃やヒートショックに強い黒皮鉄板を採用。熱伝導率が良いため鍋全体がムラなく加熱され、料理がとてもおいしく仕上がるのが特徴です。
人気のダッチオーブン料理を29種類も掲載したレシピブックが付属。脚が付いていないタイプなので、自宅で使用するときにも重宝するでしょう。
- 素材:黒皮鉄板
- サイズ:10インチ(直径約26cm)
- IH対応:◯
ロッジ キャンプオーブン深型12インチ
厚みのある鉄製となっているので熱伝導が全体にゆっくりと行き渡り、食材のうまみを芯から引き出すことが魅力として謳(うた)われています。そんなわけで、キャンプの朝食にパンを焼いたり夕食にローストビーフをつくったりと、バリエーション豊かに楽しめるはず。
また、シーズニングが不要なところもこのダッチオーブンの魅力。お湯で洗うだけで使いはじめられるため、ダッチオーブン初心者に特におすすめです。
- 素材:鋳鉄
- サイズ:12インチ(直径約30cm)
- IH対応:◯
PETROMAX(ペトロマックス) ダッチオーブン
1910年にドイツで創業した灯油ランタンブランド「ペトロマックス」による、高品質な鋳鉄製ダッチオーブンです。食材に熱をじっくり伝えられるので、本来のうまみを最大限に活かした料理をつくれます。
直径18cmサイズを含め直径25.5〜44cmまで全7サイズもあり、使用する人数などに応じてお好きにチョイスできます。
- 素材:鋳鉄
- サイズ:直径18cm
- IH対応:◯
TSBBQ ライトステンレスダッチオーブン10インチ
新潟・燕三条で、ステンレス製の家庭用調理器具やアウトドア用品の製造・加工をしているツバメテック社が手がけた商品。
ステンレスとアルミの三層鋼を採用することにより、非常に軽量に仕上げられています。IH・ガス・ハロゲンヒーターなどのさまざまな熱源に対応しており、キャンプはもちろん自宅でも使用可能です。
- 素材:ステンレス鋼
- サイズ:10インチ(直径約25.5cm)
- IH対応:◯
キャプテンスタッグ 角型ダッチオーブン18cm
容器いっぱいに肉や魚、野菜を入れ、効率よく調理できる角型のダッチオーブンです。さらに蓋を裏返せば、焼肉グリルとしても使える便利なアイテム。表面の凹凸が肉の余分な脂を落とし、おいしく焼けること間違いありません。
炭火や焚き火、IHのほかにもさまざまな家庭用加熱器具で使える点にも注目です。自宅で手軽に、バーベキュー気分を楽しめるでしょう。
- 素材:鋳鉄
- サイズ:-
- IH対応:◯
ロッジ キッチンオーヴンループハンドル10 1/4インチ L8DOL3
出荷時に、すでに大豆油による慣らし作業(シーズニング)が済まされているため、お湯で洗うだけで使い始められます。面倒な手間がなく、ダッチオーブンをはじめて使う人におすすめです。
オーブンにも対応しているため、丸鶏のローストなどが手軽につくれて便利。キャンプだけでなく、自宅で使うのにももってこいの1台です。
- 素材:鋳鉄
- サイズ:直径26cm
- IH対応:◯
スノーピーク コロダッチオーバル CS-503R
スノーピークの「コロダッチオーバル」は、ちょうどレタス半分が入る大きさ。「ちょっとした副菜が欲しいな」というときに重宝するサイズと言えます。ソロキャンプにもぴったり。
深さもあるため、ごはんを炊いたりスープをつくったりするのにも便利。手軽に使えるダッチオーブンをお求めなら、ぜひチェックしてみてください。
- 素材:鋳鉄
- サイズ:直径24.2cm
- IH対応:ー
ダッチオーブンの
お手入れ方法は?
鋳鉄製や黒皮鉄板製のダッチオーブンは、使用前後に油を馴染ませる作業が必要になります。手間はかかりますが、正しくお手入れをすることにより、趣深い「ブラックポット」を目指すことができます。ここでは以下に、その方法を紹介します。
ダッチオーブンを使用する前に、鍋に油の膜をつくることをシーズニングと言います。いわば車で言う、“慣らし運転”です。
シーズニングの手順は次のとおり。なおシーズニング後は、洗剤の使用はNG。せっかくつくった油膜がとれてしまい、サビの原因になるからです。
- ワックスやシリコンオイルを、食器用洗剤で丁寧に落とす
- タオルなどで水気を拭き取り、自然乾燥させる
- 鍋の内側・外側、蓋の表面・裏面に純粋な油(オリーブオイルなど)を塗る
- 余分な油を、キッチンペーパーなどで拭き取る
- 煙がでるまで、鍋を火にかける
- 1〜5の手順を4〜5回くり返す
- 香りの強い野菜(ねぎ・しょうが・にんにくなど)のくずを、鍋と蓋で炒める
- 野菜くずを捨て、鍋の内側・外側、蓋の表面・裏面に油を薄く塗り、自然に冷ます
ダッチオーブンを使った後のケアとして、再び油で膜をつくります。手順は次の通りです。ちなみに手順1では、必ず熱湯を注いでください。高温の鍋に冷水を注ぐと、急激な温度変化により、鍋が割れてしまうことがあるため、注意してください。
- 鍋に残った料理などをキッチンペーパーで取り去り、熱湯を注いで沸騰させる
- 鍋底に付着した汚れを木や竹、専用のヘラでこそげ落とす
- 再び熱湯を注いですすぎ、火にかけて水分を飛ばす
- 鍋と蓋の両方に、油を薄く塗る
- 余分な油を拭き取り、煙がでるまで鍋を火にかける
- 煙が落ち着いたら、火からおろして自然に冷ます
もしダッチオーブンがサビてしまったら、キッチンペーパーなどを使って油を塗り、擦ってみてください。それでも落とせない場合は、ダッチオーブンにお湯を注いで温めてから、たわしなどで擦ると落としやすいと言われています。
ダッチオーブンが焦げついてしまったら、まずお湯でふやかします。そのうえで、たわしなどで擦ってみてください。それでもきれいにならない場合は、焦げが炭化するまで空焚きしてみましょう。その後、ヘラなどを使ってこそぎ落としましょう。
まとめ
ダッチオーブンが一つあれば、野菜をローストしたり、手づくりピザを焼いたり、鶏肉を揚げたりと、とても便利。素材によってはお手入れの手間がかかりますが、使えば使うほど自分好みの鍋になっていくところもダッチオーブンならではの魅力。このページを参考に、ぜひお気に入りのダッチオーブンを見つけてみてはいかがでしょうか。