※本記事は、ライターのジャスティン・カークランド(Justin Kirkland)が「エスクァイア」に寄稿した記事を抄訳し、日本版編集部も加筆したものになります。

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 航空自衛隊に所属する曲技飛行隊“ブルーインパルス”による、「世界中のひとりでも多くの方々に笑顔をお届けできるように」と願いを込めた展示飛行も終了し、東京2020オリンピックがとうとう開幕です(ソフトボールおよびサッカーは、開会式を前に競技の実施が行われています)。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

そもそもオリンピックとは?

 われわれが現在「オリンピック」と呼んでいるのは、正しくは「近代オリンピック」のことになります。この「オリンピック」のルーツは、古代ギリシアのオリンピアで4年に1回行われた当時最大級の競技会であり、祭典とされています。それは紀元前8世紀から紀元後4世紀にかけて行われ、ギリシア四大大会のひとつと言われています。この紀元前(記録に残っている最初のオリュンピア祭は、紀元前776年に行われた)に始まった競技会を「古代オリンピック」と呼んでします。

 そして「古代オリンピック」は、「近代オリンピック」とはかなり異なるスタイルで行われていたようです。それはなんというか、猟奇的な催しとも言えるほどの雰囲気の中、力自慢のアスリートたちが優劣や華やかさを競い合っていたようです。大勢の詩人や作家が駆り出され、勝者を称える歌を吟じ、戦闘馬車のレースも行れていたとも。ギリシャの神ゼウスのため、そして大会の成功を祈って、100頭もの牡牛が生贄として捧げられたことさえあったようです。とにかく、ドラマチックなものだったわけです。

 それから2700年余年という時が流れ、2021年、オリンピック委員会により「段ボール製のベッド」が発表されたその瞬間の、全知全能の神ゼウスの失望を想像してみてください。

 ここでは「ヤレないベッド」と言いたいところですが、生々しすぎるので「やるせないベッド」と呼ぶことにしたいと思います。

◇選手村「段ボール製のベッド」海外の反応

 さて、その「やるせないベッド」ですが、オリンピック史上初となるリサイクル可能な素材を用いてつくられたものになります。これは素晴らしい! われわれも環境問題は大好きです。グレタ・トゥーンベリさんもにっこりですね。

 しかしながらこのベッド、ご覧のとおりダサいのです。そして、信じたくないほどの安っぽさ。申し訳ありませんが、たった一度の激しい行為の振動や、しっとりとした濡れ場の湿度に耐えられず、哀れなアスリートたちを支え切れずに崩れ落ちてしまわないとは言い切れません。

「段ボールベッド」採用は性行為の防止狙い!?

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AKIO KON//Getty Images

 この「段ボールベッド」が公表されて間もなく、「これはオリンピック期間中のアスリートたちの“親密な交友関係”を防止する狙いで、あえて採用されたものなのではないか?」という憶測が、SNS上を飛び交いました。

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 しかしその説は、「ニューヨーク・タイムズ」に掲載されている通り、既にいくつかの証言により否定されています。ちなみにオリンピック委員会は、アスリートたちの健康と安全を守るために不要不急な触れ合いを避けるようには呼びかけています。

◇アイルランド体操男子代表がベッドの耐久性を検証

 そこで、アイルランド体操男子代表のリース・マクレナガン(Rhys McClenaghan)選手がこの話題に、この「やるせないベッド」疑惑にメスを入れます。

 そこで「これはフェイクニュースである」と否定しているのです。彼はベッドの上で飛び跳ねるパフォーマンスを披露し、段ボール製のフレームがかなりの耐久力であることをアピールして見せました。

 提供元であるエアウィーヴ社(日本企業)も声明の中で、「段ボール製のベッドは、木製や金属製のものよりも頑丈である」とコメント。最大で、200kgの耐荷重があるとしています。見たところ、「リース・マクレナガン選手が4人乗っても大丈夫」といったところでしょうか。

 筆者は科学者ではありませんし、段ボールベッドの開発者を非難する気も毛頭ありません。しかし過去に、ウォルマートのデッキチェアを3脚以上、それから友人宅のプールサイドのラウンジチェアを1脚壊したことのある身としては、どうも納得がいきません。

 事実として、メーカーが公表している数値のとおり、オリンピアンたちの睡眠を支えるに足るものであるのかもしれません。ですが、仮にそうだとしても、スポーツ界の頂点で選び抜かれた選手たちの夜の集団生活を支えるオリンピック委員会が、あえて軽量の段ボールベッドを彼らに提供したという事実を、ここで無視することはできないはずです。

 我が家の猫を見てみましょう。配達用のアマゾンの箱だって、その上で4、5回も寝転がれば弱体化し、結局、崩れ落ちることになるのです。オリンピックがアスリートたちの性の祭典であるという昔ながらの伝統が今なお残っているのだとすれば、崩壊した段ボールの山に埋もれる選手が続出する可能性は大いにあります。とは言え、これも大会が始まれば、自ずと分かってくることでしょう。

「選手村でコンドームを使用することではなく、それを自国に持ち帰り避妊具の認知度向上に貢献する!?」

 これまでのオリンピックにおいては、「アスリート同士の“そのような関係”など存在しない」かのように主催者側が振る舞ってきた歴史的伝統がありますが…。そんな中、今回のオリンピック組織委員会がどのような声明を出しているか? 「Japan Today」紙を見てみましょう。

「私たちの意図し、目指すところは、選手たちが選手村でコンドームを使用することではなく、それを自国に持ち帰ることにより、避妊具の認知度向上に貢献することです」

 つまり、運動能力も体力も最高峰のレベルで有する何千人ものアスリートたちが、ただ競技のためだけに東京を訪れ、そして自国における性行為の安全性を促進させるために配布されるコンドームをスーツケースに収める、という筋書きなのでしょう。なるほど、説得力があります。

◇まとめ

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AKIO KON//Getty Images

 選手村で寝起きする者すべてが、足元にじゅうぶん注意して過ごさなければならないでしょう。なぜなら彼らには、コンドームが配布されるからであり、そして、彼らの使う段ボールベッドの耐久性が未知数だからです。

 これから東京で繰り広げられる昼間の「スポーツの祭典」、そして夜の「性の祭典」は、古(いにしえ)のアテネで生贄となった100頭の牛ですら、生ぬるい過去にしてしまうかもしれません。

◇選手村の日常を動画撮影

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Tokyo Olympic Games Village
Tokyo Olympic Games Village thumnail
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 最後に選手村の中と、日常を撮影して動画配信しているアイルランド体操男子のリース・マクレナガン選手をご覧ください。選手村の中がどうなっているのか? 少しは味わえることでしょう。

Source / Esquire US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。