2019年2月にボーイングが、従来の戦闘機に寄り添って飛行するよう設計された新型無人機を開発していることを発表し、世を驚かせました。

 「ロイヤル・ウィングマン(Royal Wingman=忠実な僚機)」と名づけられたこの航空機は、危険な任務に臨む有人航空機をサポートするための様々なタスクをこなす汎用性の高いプラットフォームとして、オーストラリアで開発されています。

 そんなわけでオーストラリアのアバロン(ビクトリア州メルボルンの西約55kmに位置する)で開催された国際エアショーの中で発表されました。正式名称は「Loyal Wingman – Advanced Development Program」、ボーイング・オーストラリアが3機を開発しています。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。


 この無人機は高翼(固定翼を一枚しか持たない単葉機であり、胴体の上端付近に主翼が取り付けられている)で、コックピットもなく、2枚の控えめな垂直安定板を備えたステルス航空機になります。ボーイングによれば、全長は「F/A-18E スーパーホーネット」のおよそ3分の2ほどの38フィート(約11.5m)になり、航続距離は2301マイル(約3700km)になる見込みだと言います。

 その他、推進力やアビオニクス、センサーなどの詳細はわかっていません。軍事ニュースサイト「ディフェンスニュース」では、この航空機について「戦闘機並の性能を持つことになる」とするボーイングの説明を取り上げていましたが…。

 現状としては、主に諜報や監視・偵察関連の任務に使用されるようで、ボーイングは「任務に合わせて迅速なシステムの再構成が可能」としています。この無人機が将来的に武装可能なものとなるか、ボーイング・オーストラリアがその武装化を計画しているかについては実際にはわかっていません。

 この「ロイヤル・ウィングマン」は、半自律的に飛行できるものとなりますが、近くの航空機または地上の管制ステーションからも制御可能になるということです。

 「ロイヤル・ウィングマン」のコンセプトは、有人機の世界に無人航空機を統合するために考案されたもの。無人航空機は有人機の戦力を倍増させるものとなる可能性があり、有人機には危険すぎるタスクの実行にも使えることでしょう。ボーイングは「ロイヤル・ウィングマン」について、「空軍のパワーを存続させながら、より組織的にすることで増強していく航空機」と表現しています。

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Courtesy of Boeing


 武装の有無に関係なく、無人航空機は様々な任務をこなすことができます。例えば無人機は、有人機で構成されるストライクパッケージ(突撃混成編隊)の前方を飛行することで、地上の防空レーダーやミサイルシステムをいち早く発見・解析し、後方の有人機の回避に役立てることができるのです。また、ストライクパッケージ(米空軍における編隊の編制方法のひとつ)のそばを飛行し、味方の航空機を標的にする敵機に対してレーダー妨害信号を放つこともできます。

 「ロイヤル・ウィングマン」のコンセプトは、数年前から話題になっていました。ですが、実際にこのような役割を担うために設計された航空機となると、これが初になります。

 そしてその初号機は、2020年に初飛行を予定しています。

Source:Defense News
From POPULAR MECHANICS 
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です。