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鼓膜ではなく、骨を振動させることで音が聞こえる「骨伝導イヤホン」。テレワークによるウェブ会議の普及によって、骨伝導イヤホンが日本でも注目を浴びています。
従来のイヤホンと違って、耳を塞(ふさ)がなくとも音が聞こえるので、生活音が遮断されず、長時間着けていても疲れが少ないと好評です。このページでは、骨伝導イヤホンのメリット・デメリットを解説するとともに、「AfterShokz」「BoCo aeropex」などの人気ブランド製品も紹介します。
骨伝導イヤホンとは?
通常のイヤホンは空気の振動で。「鼓膜を震わせて」内耳に振動を伝達します。ですがこの骨伝導イヤホンは、鼓膜の代わりに「骨を震わせること」で音を脳に伝えます。 実は骨の振動も、内耳に伝わって音になるのです。
これは2000年代から製品化されるようになった比較的新しい技術で、耳を塞がないので周囲の音も同時に聴くことができます。
骨伝導イヤホンはこめかみ周辺の骨を震わせることで音を伝えているので、耳の穴を塞がずに音を聴き取れます。そのため、音楽を聴いていても耳からは周囲の音が聴こえてきます。そういった特性から、ジョギング時の音楽再生にも適していますし、自転車競技などのプロスポーツの現場でも重用されています。
実は骨伝導イヤホンも、音漏れが生じます。こめかみ周辺の部分が振動しているわけなので、それが空気を震わせ近くにいる人へと音を伝えることになります。音量にもよりますが、電車ですぐ隣に人が座っている環境で使うのには向いているとは言えません。
骨伝導イヤホンの2大メーカーの紹介
アフターショックスは、2011年にNYで創業した骨伝導イヤホンのリーディングカンパニーです。300を超える骨伝導に関する特許を持ち、2020年時点で530万台以上を出荷しています。
こめかみから振動を伝える方式に統一されており、代表作はわずか26gの「Aeropex(エアロペクス)」。最近では1万円を切るリーズナブルなモデルもラインナップされ、売れ筋になっています。
英語で“骨伝導”を意味する、「Bone Conduction」の頭文字を取ったBoCo(ボコ)。2015年創業で、東京に本拠を置く骨伝導技術専門のベンチャー企業です。
2019年には世界初の完全ワイヤレス骨伝導イヤホン「PEACE」が、クラウドファンディングで1億3200万円を集め話題になりました。他社の真似ではない、オリジナリティあふれる製品が魅力です。
おすすめの骨伝導イヤホン7選
AfterShokz OpenMove
現在、一番人気の骨伝導イヤホンメーカー「AfterShokz(アフターショックス)」の良さを、1万円を切るリーズナブルな価格で味わえるのがこの「OpenMove」です。
上位機種と比べても大きく見劣りしない内容と評判で、USB-C充電やBluetooth5.0などの最新スペックに対応しています。初めての骨伝導イヤホンにおすすめの製品です。
- 連続再生時間:約 6時間
- 重量:29g
- 特徴:リーズナブル
AfterShokz Aeropex
AfterShokz(アフターショックス)のスタンダードモデルが、「AEROPEX(エアロぺクス)」です。重さはわずか26gと市販の骨伝導イヤホンで最軽量級。着けていることを忘れてしまうほどの軽さです。
軽さと同時にこだわったのは音の良さで、素直でクセのないサウンドが評判。これだけ軽量ながらマイクも備えているので、外出先で通話する機会の多い方にもおすすめです。
- 連続再生時間:約 8時間
- 重量:26g
- 特徴:超軽量
AfterShokz Xtrainerz
音楽プレーヤーを内蔵したタイプです。4GBのストレージで約1200曲の音楽を保存できるので、ランニングなどの際に別途スマホなどの音楽プレーヤーを持ち歩かずにすみます。
それでいて重さは30gと軽量。連続再生時間も8時間をキープしています。防塵防水性能はIP68と「OpenMove」、「Aeropex」の2機種より強化されていて、プールでも使用可能です。
- 連続再生時間:約 8時間
- 重量:30g
- 特徴:音楽プレーヤー内蔵
AfterShokz OpenComm
「Xtrainerz」と並ぶAfterShokzの上位機種の1つで、通話を重視したモデルです。他の製品にもマイクは内蔵されていますが、ブーム付きで口の近くにマイクが来るのはこれだけです。
「Aeropex」がベースなので音の性能はほぼ同等ですが、バッテリーが強化されているので16時間もの連続再生が可能です。耳を塞がないので長時間のウェブ会議でも、快適に使えるでしょう。
- 連続再生時間:約 16時間
- 重量:33g
- 特徴:ウェブ会議も快適
BoCo earsopen PEACE TW-1
市販で唯一の完全ワイヤレス骨伝導イヤホンです。AfterShokzの製品のようにこめかみに当てるのではなく、イヤリングのような形状の本体を耳に挟み、耳の軟骨から音を伝えます。
音質は一般的なイヤホンとは異なる傾向ではあるものの、中音域が聴き取りやすく、かつ外の音もよく聴こえるため、仕事や家事をしながらBGMを聴くのにも適していると評判です。
- 連続再生時間:約 5時間
- 重量:片耳9g/ケース43g
- 特徴:完全ワイヤレス
BoCo earsopen BT-5 CL-1002
コチラもイヤリングのように耳を挟むように装着するタイプですが、骨伝導イヤホンで唯一のネックバンド式となっています。なので、本体の重さよりずっと軽いつけ心地が魅力です。
ネックバンドに大きめのバッテリーを内蔵することで、連続再生時間は10時間を達成。日本国内製造という安心感もあります。こめかみタイプが合わない方にもおすすめです。
- 連続再生時間:約 10時間
- 重量:48g
- 特徴:ネックバンド式
BoCo earsopen FIT BT-1
BoCo(ボコ)の骨伝導イヤホンには、完全ワイヤレスやクリップ式などさまざまなタイプがありますが、この製品はAfterShokzと同じ、こめかみから振動を伝える方式です。
再生時間や重量などこのクラスの平均的な性能を持ち合わせており、日本製ながら価格も比較的手頃。生活防水にも対応しているので、スポーツ時に使うのにも適しています。
- 連続再生時間:約6時間
- 重量:34g
- 特徴:エントリーモデル
骨伝導イヤホンは難聴予防に効果的? 難聴者も使用可能か?
骨伝導イヤホンが難聴予防になり、難聴の方でも使えると話題になっていますが、これは正解でもあり、不正解でもあると言えるでしょう。骨伝導技術そのものは、1970年代から補聴器に採用されている実績があります。そのため鼓膜に原因がある難聴に対しては、骨伝導イヤホンは有効であるとされています。
しかし、聴覚神経に原因がある難聴には、骨伝導イヤホンは効果を発揮しません。例えば長時間大きな音を聞き続けた結果、聴覚神経が傷つき難聴になるとされる「スマホ難聴」は、聴覚神経に原因がある難聴の1つと思ってください。
一方、骨伝導イヤホンは、難聴の予防という観点では有効であると考えられています。骨伝導イヤホンは、周囲がうるさい環境でも音量を過度に上げなくても聴き取れるため、「スマホ難聴」の予防策になり得ると考えられています。
出典:New WHO-ITU standard aims to prevent hearing loss among 1.1 billion young people|WHO
まとめ
骨伝導イヤホンはまだ新しい製品ですが、骨伝導技術そのものは補聴器用途として1970年代から開発が続いており、意外なほどの歴史があります。そうした経緯を踏まえると音楽鑑賞というより、テレワークによる「ウェブ会議」の増加で一気に人気が高まったのも納得できます。
スポーツ時など、外の音を聞きながら音楽を楽しめる性能も唯一無二のものですが、なによりウェブ会議を快適にしたい方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。