長時間のフライトでは機内食を食べたり、エンターテインメントを楽しんでいることでしょう。
飛行機に乗っているとき、あなたの身体に異変が起きているのかもしれません…。
飛行機に乗っていて恐ろしいこと、それは小さなシートに詰め込まれ、ゆったり眠ることさえできず、味気ない機内食を食べることでしょう。しかし、私たちの身体は自覚さえしないままに、空中でさまざまな反応を起こしているのです。ファーストクラスのチケットを買っても、それは防げません。
搭乗中の身体は、下記の8項目、これほど賢い反応を示すのです。このことをよく理解しておくと、次の旅の自己管理に役立てられるでしょう。
【1】体内のガスが膨張する
高度が高くなればなるほど、機内の気圧は下がります。人体は多くのガスから構成されており、気圧の低下に対しても敏感に反応します。
《症状》
気圧が下がれば下がるほど消化器系、とくに腸の内部のガスが膨張します。その結果、ひどい腹痛が起こったり、便秘になったりすることもあります。ガスを取り除くべきときは、遠慮せずに出してしまいましょう。
《対処法》
気圧の変動は、静脈洞や耳にも影響を与えます。あくびをすることで、この問題を解消できることもあります。
【2】痛みが悪化する
気圧の変化に反応するのは、消化器系だけではありません。循環器系と関節の中で体液やガスの濃度が増し、関節そのものにさらに圧力を与えることがあるのです。
関節炎のような炎症性の関節痛を患っている人は、長距離フライト後に症状が悪化することがよくあります。ややもろくなっている関節や、過去に炎症を起こしたことのある関節は、フライト後に落ち着くまで時間がかかります。ただ、腫れるかもしれませんが心配はいらないでしょう。というのも、これは神経を保護する優れたメカニズムがきちんと作動していることを意味しているのですから。
【3】風邪をひきやすくなる
機内の空気のおよそ半分は循環しており、免疫系は機内に潜む細菌に絶えず曝されています。そのため、飛行機に乗っているときは、普段の100倍も風邪をひく可能性が高くなるのです。
《対処法》
そこで、普段から健康的な食事を摂り、定期的に運動して、免疫力を高めていくのがいいでしょう。飛行機に乗っているときは、頻繁に手を洗うのもいいですね(あるいは除菌ローションを活用しましょう)。
【4】いつもより喉が渇き、疲れやすい
3時間のフライトで、最大1.5リットルの水分を失う可能性があります。湿度は4%程度と低く、空気が循環しており、肌の水分はすぐに吸収されてしまいます。これにより、口や鼻、喉の粘液分泌腺も乾いて、喉の渇きを感じ、出発時のように爽やかな呼吸ができなくなります。
《症状》
脱水による影響については、みなさんお馴染みでしょう。疲労感と集中力の低下を覚え、筋肉痛を起こす場合があります。怠さについても、高度が上がると酸素レベルが低下することに起因しています。これはスキーや登山のときと同じ感覚です。キャビンは通常の大気圧の75%の気圧に保たれています。血液内の酸素濃度の低下(「低酸素症」と呼ばれる)により、目眩や頭痛、吐き気、疲労を覚えることもあります。
《対処法》
飛行機に乗っているときは、アルコールは避けましょう。アルコールは水分補給の役に立ちません。フライト中は、水分を多めに取ることがカギです。肌に水分を与える保湿剤を定期的に塗ってもよいでしょう。
【5】筋肉の凝りを感じる
長時間座っていると、筋肉や関節が張ってしまいます。それこそが、乗客がよく足首や脚が浮腫み、血液の貯留を起こし、さらに深刻な場合は、血栓ができてしまう原因です。だから、スタイリッシュな加圧ストッキングを履いている人をしばしば見かけるのです。
《対処法》
血液循環を促進するには、フライト中に活動的に過ごすことが欠かせません。頻繁に足首をほぐし、脚を動かし、さらには一時間ごとに機内後方でストレッチをしたり、「機内ヨガ」をしたりするのも、血流を良くする良い方法です。こうした運動は酸素レベルを上げるのにも役立ちます。
【6】知覚を失う
2010年の研究によると、高度では鼻の粘液の蒸発によって甘味と塩味を感じる能力が30%失われ、味覚と嗅覚の中枢も影響を受けることが明らかになりました。味蕾のおよそ3分の1は、機内食がミシュランの星からほど遠いことを考慮しても、フライト中に麻痺してしまいます。これが、機内でトマトジュースを飲みたくなる理由です。乾燥した空気のせいで、普段よりも塩味を感じにくくなっているのです。
また、飛行機に乗っているときの湿度と気圧の変化によって、一時的に聴力も落ちてしまいます。数時間は会話を止める、うまい言い訳になります。
【7】体内時計が狂う
時差ぼけについては、きっとご存じかもしれません。西から東へ飛ぶには、複数のタイムゾーンを移動し、昼間の時間が増えるため、体内時計がさらに狂うのです。脳は24時間周期ではなく、実際は25時間周期で活動するようになっています。イギリスからオーストラリアやニュージーランドなどへ旅行するとき、時差ぼけを克服するのはさらに難しくなるでしょう。
《対処法》
搭乗前に身体を慣れさせるのが有効です。午後に昼寝をして、いつもより遅めに就寝するのです。
【8】宇宙放射線に曝される
例えば、ロンドンからニューヨークへのフライトだと、7時間のフライトでレントゲン検査と同等の放射線に曝されることになります。ロンドンからオーストラリアへ旅行するときの被ばく量を想像してください。高度が上がり、地球の大気による保護も少なくなり、宇宙放射線被ばく量も増加します。
でも、心配ありません。
公式の被ばく限界量は、年間1ミリシーベルト(mSv)です(胎児にも適用されます)。この被ばく量は、ロンドンからシンガポール、そしてメルボルンへ23回飛ぶことに相当します。定期的に週10~20時間も飛ぶクルーなら、この被ばく量など簡単に超えてしまいます。ビジネスであれレジャーであれ、平均的な旅行者であれば、これを理由に飛行機に乗るのを止める必要はありません。
Source / ESQUIRE UK
Translation / MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。