《概要》

  • 航空機内の汚物から見つかった細菌の90%以上に、最低でも1種類の抗生物質に対する耐性がある
  • 抗生物質耐性菌によって引き起こされる感染症は、治療がたいへん難しく、命の危険さえある。
  • 汚物の収容と保管にもっと注意を払う必要があると、研究者は警告を発している。

◇いつでも離陸できる状態? それは抗生物質耐性菌も同じ

 ドイツ国内にある5つの異なる飛行場で、科学者のグループが航空機の汚物を検査したところ、空港近くにある汚水処理場や病院よりも遥かに大量かつ多彩な種類の抗生物質耐性菌が発見されたという調査結果を、科学雑誌『エンヴァイロンメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Environmental Science and Technology)』が伝えています。

 「抗生物質耐性菌が地球規模の問題であることはこの研究からも明らかで、人類や動物たちの健康を脅かす危険な存在へのグローバルな取り組みが求められています」と「サイエンス・ニュース」に語っているのは、ドイツのドレスデン工科大学で微生物の研究を行っているステファニー・ヘスです。 

 検査を行った187の大腸菌株のうち、約90%は最低でも1種類の抗生物質に対する耐性を持っていたと同調査は報告しています。汚水処理場から取ったサンプルでは、抗生物質耐性菌の割合が45%から60%だったことを考えると、これがいかに高い数字であるかがわかるでしょう。 

 世界保健機関(WHO)は抗生物質耐性菌が、「今日における世界の健康、食料安全保障、発展に対する最大の脅威」のひとつであるとしています。レンサ球菌咽頭炎、肺炎、淋病、食中毒などの感染症が、抗生物質耐性菌のせいで、どんどん治療が難しくなっていく可能性があるのです。 

 薬や治療に対する耐性が細菌にできるのは、細菌のDNAが少しずつ変異していくため。細菌が別の細菌と出合って、耐性のやりとりが行われることがあるのです。 

 これまでは病院が、このような抗生物質耐性菌が生まれる場所として考えられ、入念な調査が行われてきました。ですが、この調査を行った著者のグループは、空港の汚物をもっと慎重に扱うよう公衆衛生当局者に警告を発しています。

これはpollの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

Source / Popular Mechanics
Translation / Satoru Imada
※この翻訳は抄訳です。