※本記事は、米国人編集者ブライアン・シルヴェストロ氏による取材をもとづき作成されています。 
*****

 セレクトされた部品の集合体であるキットから、自宅のガレージなどで自ら組み立てる自動車…これを「キットカー」と言います。しかしながら、その多くはあまりパッとしないものが多い気もしてしまいます。が、このクルマだけは例外と言えるでしょう。

 それがこちらの1967年式ジャガー XKE(ジャガーEタイプの大幅な生産向上を狙って、エンジンをV型12気筒OHCのものに換装したクルマ)のレプリカキットです。ベースになっているのは1984年式マツダ「RX-7」のシャシーというのだから、さらに胸躍りワクワクは止まりません。

 日本車がベースになっているにもかかわらず、見た限りでは(見る角度にもよりますが…)本物と瓜二つです。ちなみに2020年5月現在、米国のクラシファイドコミュニティサイト「Craigslist(クレイグスリスト)」には、完成形の(いや、それ以上の出来映えのような)このキットカーが売りに出されていました。

 このクルマの売り主の説明によれば、ジャガーの純正部品も数多く使用しているので、その製作には7万ドル以上かかっているとのこと…。 これにドナーであるマツダ車の費用も加えればいくらになるでしょうか? しかし、曲線とプロポーションはどこをとっても、驚くほど見事で美しい出来映えとなっています。

 10メートルほど離れたところから見れば、「おっ、Eタイプだ…」と本物の名車に出合った歓びの満ちることでしょう。
 

◇RX-7のエンジンと遊び心を搭載

 ですが、そのボンネットの内側に収まっているのは…。忘れてはいけません、マツダ「RX-7」のエンジンなのです。

ジャガーeタイプ,
ロータリーエンジン,
マツダ,
jaguar e type,
mazdaClick 写真集でみる
Courtesy of CRAIGSLIST

 5速マニュアル・トランスミッションによって後方の活軸にパワーを伝える、燃料噴射式の13B型ロータリー・エンジンであり、(エンジンが)新品であれば111馬力のパワーと109ポンドフィート(15.07キログラムメートル)のトルクを生み出すのです。

ジャガーeタイプ,
ロータリーエンジン,
マツダ,
jaguar e type,
mazdaClick 写真集でみる
Courtesy of CRAIGSLIST

 内部を見ると本物のジャガーとの違いが、もう少しわかりやすくなっています。木製のステアリングに黒のダイアル類、さらに革張りのシートは本物に近いのですが、シフトレバーはまさに「RX-7」そのものです。

 フロントガラスと折りたたみ式の屋根は完璧です。車体の下部にさびがない点もプラスポイントとなるでしょう。
 

◇オーナーのビハインド・ザ・ストーリー

 このクルマはニューヨーク州のロングアイランドにあるウエストバビロンの「クレイグリスト」で、2万2500ドルで出品されていました。基本的には中古のマツダ車をいじくったものに支払うには、確かに高額かもしれません…。しかし、これをつくるために注ぎ込まれた努力と、その素晴らしいコンディションを考えれば、それだけの価値はあるはずです。

 こんなふうに考えてみてはいかがでしょうか…、「本物の1967年型Eタイプを同等のコンディションで手に入れることに比べたら、はるかに安い買い物だ」と。

これはpollの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

Source / Road and Track
Translation / Satoru Imada
※この翻訳は抄訳です。