国産時計の最高峰、グランドセイコーの歴史＆人気モデルを深掘り！

大自然への敬意を
ダイヤルで美しく表現

並外れた高精度に優れたエネルギー効率、長時間パワーリザーブなど、グランドセイコーに搭載されるムーブメントは技術的に世界で高く評価されています。3種類の駆動方式をそろえているのも他社にはない魅力で、メカニカルは岩手県雫石、スプリングドライブとクオーツは長野県塩尻の各工房で自社製造しているのです。

夜明け前、穏やかにさざめく諏訪湖畔を立体的に映し出す。

グランドセイコーを生み出すこの2つの故郷には、季節ごとに表情を変える自然豊かな日本の原風景が広がります。2019年からTHE NATURE OF TIMEのフィロソフィーを掲げ、工房近くの情景と時の移ろいを表現したダイヤルは、極めて日本的にしてドラマチック。ザラツ研磨や多面カットの時分針など、匠の技でつくり込まれたディテールも圧巻です。

グランドセイコー
エボリューション9 コレクション
SLGA021

SLGA021【SPEC】スプリングドライブ自動巻き、SSケース、ケース径40mm、日常生活用強化防水（10気圧）

塩尻の「信州 時の匠工房」に近い諏訪湖の水面が、夜明け前のそよ風に揺らぐ様子をダイヤルに表現。熟練職人が手作業で彫った金型をもとにつくる「ミナモパターン」は、正面からは黒っぽく見える深いブルーのダイヤルですが、斜めから見ると、さざめく湖畔の波が現れ、静けさのなかに時の移ろいを連想させます。最大約120時間駆動のスプリングドライブCal.9RA2を搭載。価格：115万5000円公式サイト

シースルーバックから、厳寒期の信州で見られる霧氷を表現した繊細な仕上げが鑑賞できます。ブルースチール針がパワーリザーブ残量を表示。

雲海に包まれた気高き岩手山の情景が、光を受けてさまざまに表情を変える。

グランドセイコー
ヘリテージコレクション キャリバー9S
25周年記念限定モデル
SBGH311

SBGH311【SPEC】自動巻き、SSケース、ケース径37mm、日常生活用強化防水（10気圧）

精度や持続時間などに自ら高いハードルを課した「新GS規格」に基づき、1998年に誕生したキャリバー9Sの25周年を記念。「GSスタジオ 雫石」から見える岩手山を包み込む雲海をモチーフに、夜明けの広大な情景をシルバーカラーのダイヤルに施した有機的な模様で演出。光の当たり方によって表情が変わり、見る者の感性に訴えてきます。世界限定1200本。価格：88万円公式サイト

毎秒10振動、約55時間駆動のCal.9S85搭載。陽極酸化処理によるブルーのチタン製ローターは、岩手山の雲海の上に広がる青空を表現。

GSに搭載される
3種類の実力派ムーブメント

グランドセイコーでは現在、3つの駆動式のムーブメントを展開しています。ここでは、それぞれの駆動式を代表する高性能ムーブメントを紹介します。

9S メカニカル

ゼンマイがほどける力を動力源に、機械部品だけで時を刻み、秒針がチチチと細かく動くのが特徴。1個のムーブメントは200～300個の部品で構成されています。革新的なデュアルインパルス脱進機を搭載した次世代型Cal.9SA5は、毎秒10振動による高精度と約80時間駆動を両立しており、水平輪列構造による薄型化も実現しています。ゼンマイがほどける力を動力源に、機械部品だけで時を刻み、秒針がチチチと細かく動くのが特徴。1個のムーブメントは200～300個の部品で構成されています。革新的なデュアルインパルス脱進機を搭載した次世代型Cal.9SA5は、毎秒10振動による高精度と約80時間駆動を両立しており、水平輪列構造による薄型化も実現しています。

Cal.9SA5

9R スプリングドライブ

セイコーが発明した独自の駆動方式。メカニカルと同じくゼンマイがほどける力を動力源としながら、水晶振動子とICで制御する精度はクオーツ式とほぼ同等。時の流れと調和するかのような、秒針の滑らかなスイープ運針が特徴で、低重心化を図った120時間駆動のCal.9RA5はメカニカルCal.9SA5と並び称される最新キャリバーです。セイコーが発明した独自の駆動方式。メカニカルと同じくゼンマイがほどける力を動力源としながら、水晶振動子とICで制御する精度はクオーツ式とほぼ同等。時の流れと調和するかのような、秒針の滑らかなスイープ運針が特徴で、低重心化を図った120時間駆動のCal.9RA5はメカニカルCal.9SA5と並び称される最新キャリバーです。

Cal.9RA5

9F クオーツ

1988年にグランドセイコーを復活させた年差±10秒の超高精度クオーツの進化型。電池を動力源に毎秒3万2768振動の水晶振動子とICで時を刻み、秒針が1秒ずつステップ運針するのが特徴。Cal.9F85は機械式のような歩度調整が可能な緩急スイッチや、太く重い針も動かせる独自技術も搭載しており、職人が手作業で組み上げます。1988年にグランドセイコーを復活させた年差±10秒の超高精度クオーツの進化型。電池を動力源に毎秒3万2768振動の水晶振動子とICで時を刻み、秒針が1秒ずつステップ運針するのが特徴。Cal.9F85は機械式のような歩度調整が可能な緩急スイッチや、太く重い針も動かせる独自技術も搭載しており、職人が手作業で組み上げます。

Cal.9F85

国産時計の歴史を紡いだ
グランドセイコー

1881年に創業し、1913年に国産初の腕時計「ローレル」を発売したセイコーは、技術の粋を結集したグランドセイコー（GS）を1960年に世に送り出しました。その後もGSは「世界最高峰の腕時計」を目指して進化を継続。近年では国際的な時計賞の受賞が続き、世界に躍進中 ！

正確で美しく見やすい
究極の腕時計を目指す

グランドセイコー（GS）の誕生は、翌年に腕時計輸入自由化を控えた1960年。スイス時計に対抗できる国産腕時計の開発が急務でした。1959年の「クラウン」をベースにした新ムーブメントは、国産で初めて当時のクロノメーター優秀級と肩を並べ、その6年後にはクロノメーターを上回る「GS規格」を自ら制定。これは5姿勢の平均日差がマイナス3秒～プラス6秒という厳しい自主基準でした。

長野県の「信州 時の匠工房」では、グランドセイコーのスプリングドライブとクオーツが製作されている。

こうした「正確さ」に加え、GSは「美しさ」や「見やすさ」も徹底追求。1967年の「44GS」で普遍的な「セイコースタイル」が確立され、以後このデザイン文法は頑なに守られていきます。　

1970年代半ばに系譜が途切れたものの、1988年に年差±10秒のクオーツで復活し、1998年に機械式が再登場。2017年にはセイコーから独立し、ダイヤルロゴもGS単独に。

岩手県の「GSスタジオ 雫石」ではメカニカルが製作されている。

時計界のアカデミー賞と呼ばれるジュネーブ時計グランプリ（GPHG）では、GSが2014年プティット・エギュィーユ部門賞を獲得。続いて2021年メンズウォッチ部門賞、2022年クロノメトリー部門賞を受け、2年連続3回目の栄誉に。国産最高峰として「スイスに追いつき、追い越せ」を合言葉に技術を磨き続けて60余年、GSは世界に認められ、いまや一目置かれる存在となったのです。

グランドセイコーの軌跡

1960
初代グランドセイコー誕生。当時のスイス・クロノメーター優秀規格と同一の社内検定を行っていた。

初代グランドセイコー

1964
カレンダー機能を搭載した2代目GS発売。

1967
現代まで続くセイコースタイルを確立した「44GS」発売。
GS初の自動巻き「62GS」発売。ゼンマイを手動で巻く必要がないことを強調するため、リューズを4時位置に目立たないよう設置していた。

「44GS」

「62GS」

1968
国産初の自動巻き10振動モデル「61GS」発売。巻き上げ方式は独自のマジックレバーを搭載。

「61GS」

1969
月差±1分以内の超高精度を誇る10振動モデル「45GS V.F.A.」発売。V.F.A.とは「Very Fine Adjusted」の略。

「45GS V.F.A.」

1970’s
GSの名が一時、途絶える。

1988
クオーツ搭載による「95GS」により、グランドセイコーの名が復活。年差±10秒を誇った。

「95GS」

1992
メンズモデルのペア用に女性向けクオーツモデル「3FGS」発売。

1998
新GS規格のもと、満を持して機械式GS「9S5シリーズ」発売。

「9S5シリーズ」

2004
ゼンマイの力で駆動しながら、クオーツと同等の高精度を実現したスプリングドライブ搭載の「9R6シリーズ」発売。

「9R6シリーズ」

2007
スプリングドライブを搭載した、GS初のクロノグラフ「9R8シリーズ」発売。

2014
GMT機能付きの10振動モデル「9S86」が、2014年度ジュネーブ時計グランプリ（GPHG）「プティット・エギュィーユ」部門賞受賞。

「9S86」

2018
約50年ぶりの新開発となる小型自動巻きキャリバー9S25を搭載したレディス機械式モデル発売。

キャリバー9S25搭載のレディス機械式モデル。

2021
「エボリューション9 コレクション SLGH005」が、2021年度GPHG「メンズウォッチ」部門賞受賞。

2022「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」が、2022年度GPHG「クロノメトリー」部門賞受賞。

「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」

5つのコレクションで
構成される
現行ラインアップ

2017年に独立ブランドとなったグランドセイコー（GS）は、翌年から全ラインを再構築。｢マスターピース」｢エボリューション9｣｢ヘリテージ｣｢スポーツ｣「エレガンス｣の5つのコレクションと、それぞれを代表する人気モデルを紹介します。

［マスターピースコレクション］

マスターピースの名のとおり、ゴールドかプラチナモデルのみを展開し、珠玉の傑作が属するハイエンドなカテゴリー。スプリングドライブの複雑時計や最高級品に特化する長野県塩尻の「マイクロアーティスト工房」が手掛けています。

SBGD202【SPEC】スプリングドライブ手巻き、18kpgケース、ケース径43mm、日常生活用強化防水（10気圧）

SBGD202
漆黒の奥から無数の粒子がきらめくスターダストダイヤルと、18Kピンクゴールドケースを合わせたラグジュアリーモデル。8日間のロングパワーリザーブを実現した手巻きスプリングドライブCal.9R01搭載。価格：533万5000円公式サイト

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［エボリューション9 コレクション］

審美性、視認性、装着性という3つの進化を軸に、2020年に誕生した新デザイン文法「エボリューション9 スタイル」に基づき、日本の美意識を体現。力強い造形は重厚かつスタイリッシュで、腕時計としての使いやすさも徹底追求。

SLGH005【SPEC】自動巻き、SSケース、ケース径40mm、日常生活用強化防水（10気圧）

SLGH005
「GSスタジオ 雫石」の近くに広がる白樺林をダイヤルに型打ちで表現。次世代Cal.9SA5をレギュラーモデルとして初搭載し、ジュネーブ時計グランプリの2021年メンズウォッチ部門賞に輝いた新定番。価格：115万5000円公式サイト

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［ヘリテージコレクション］

1967年にセイコースタイルを確立した「44GS」や1967年誕生の初の自動巻き「62GS」など、歴代の名作を規範にGSの美学を現代的にアレンジ。5つのコレクションで最も数多くのモデルが、普遍的な美しさを競い合っています。

SBGA211【SPEC】スプリングドライブ自動巻き、ブライトチタンケース、ケース径41mm、日常生活用強化防水（10気圧）

SBGA211
9Rスプリングドライブ誕生時の王道デザインを継承しつつ、ケースは軽量で高硬度なブライトチタン。繊細な雪の質感を表現した“雪白”ダイヤル上を、焼き入れしたブルースチール秒針が滑ります。価格：81万4000円公式サイト

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［スポーツコレクション］

クロノグラフ、GMT、ダイバーズなどの多彩な顔ぶれは、いずれも幅広いシーンで高パフォーマンスを発揮するよう設計され、質実剛健なデザインが持ち味。腕時計の本質を強化し、さらなる信頼に応えることを目指す存在です。

SBGC253【SPEC】スプリングドライブ自動巻き、ブライトチタンケース、ケース径44.5mm、日常生活用強化防水（20気圧）

SBGC253
GSのシンボルである獅子を体現した屈強クロノグラフが初のレギュラー化。塊を切り落としたようなラグ形状はライオンの爪に着想を得たもので、シャイニーホワイトのダイヤルには毛並みを型打ちで表現。価格：163万9000円公式サイト

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［エレガンスコレクション］

優れた実用性はそのままに、日本の美意識と洗練されたデザインを融合して、目指すのは永遠のエレガンスの具現化。ベゼルやラグのスリムなシルエットが特徴で、人生の特別なシーンにふさわしい華やかな気品をまとっています。

SBGK007【SPEC】手巻き、SSケース、ケース径39mm、日常生活用防水

SBGK007
GS初のスモールセコンドを9時位置に配したドーム型ダイヤルを、11.6mm厚の薄型ケースと組み合わせたドレスウォッチ。パワーリザーブ表示針や分針、サファイアクリスタルも優雅なカーブで呼応。価格：91万3000円公式サイト

STGF279【SPEC】クオーツ、SSケース、ケース径26mm、日常生活用強化防水（10気圧）

STGF279
ドレスモデルやジュエリーウォッチもラインナップするエレガンスコレクションのフェミニンな26mmサイズ。白蝶貝ダイヤルと40個のダイヤモンドが表情豊かにきらめきます。年差クオーツによる高精度も魅力。価格：66万円公式サイト

●問い合わせ先／
セイコーウオッチお客様相談室
TEL 0120-061-012
公式サイト

Photograph / Masanori Yamaguchi
Text / Takahiro Ohno(Office Peropaw)
Edit / Kazuyuki Okumura

※メンズクラブ2023年5月号掲載記事の転載です。