ロンジンといえば、1832年の創業以来、時計史に残る傑作を数多く生み出してきたスイスの名門ブランドとして日本でも有名です。
例えば現代の国際派ビジネスマンに人気のGMTウォッチですが、1908年に2つの時間帯を文字盤上で表示できる懐中時計を発明し、1925年に初代ズールータイムを発表するなど複数のタイムゾーン表示機構の先駆者も実はロンジンなのです。
クロノグラフしかり、航空時計しかり、クラシック時計もまたしかり。そんな卓越したウォッチメイキングの技術とパイオニア精神、長い歴史に裏付けられた物語性、さらには上質なエレガンス。これらを巧みにコレクションに落とし込み、なおかつコンテンポラリーなデザインセンスを持つブランドは、世界を見渡してもロンジンのほかには、なかなか見当たりません。
ロンジン
マスター コレクション
特徴的なブレゲ数字インデックスはCNCマシンで彫った高品位な仕様。筆記体のブランドロゴやリーフ針と併せ、昨年の登場以来ヒットを続ける190周年記念モデルのディテールを踏襲しつつ、新作はやや小ぶりなサイズとスモールセコンドの採用で、よりクラシックに。
シボ加工を施したアンスラサイトの文字盤と絶妙なピンクカラーの組み合わせが、控えめに大人の色気を演出します。
37万8400円公式サイト
ロンジン
フラッグシップ ヘリテージ
1950年代後半に誕生した「フラッグシップ」にオマージュをささげた人気コレクションから、ムーンフェイズ搭載の新作が登場。オリジナルに着想を得たドーム型ダイヤルは、シルバー地にゴールドカラーのアプライドインデックスを配した端正な顔立ち。
日常使用に便利なポインター式の日付表示を6時位置のインダイヤルに併設しつつ、時代を超越したエレガンスをまといます。
47万8500円公式サイト
ロンジン
スピリット Zulu Time
1920~30年代にロンジンが先駆けとなった、複数時間帯表示付き航空時計の経験と知見を受け継ぐGMTモデル。
リューズは1段引きでローカルタイム設定用に短針だけ可動し、2段引きで24時間針も連動する抜群の操作性や傷に強いセラミックベゼル、約72時間駆動などの現代的スペックも大好評。既存の42mmに加え登場した最新作の39mmケースは、腕の細い人にもフィット。
47万1900円公式サイト
スイス時計界でも有数の長い歴史を誇る名門中の名門ブランドが、ロンジンの名を得たのは1867年。同年のパリ万博での銅賞にはじまり、その後の万博で10回のグランプリと28個の金メダルを獲得しました。革新に挑むその姿勢は、途切れることなく現代に続いています。
長い歴史を持つ名門は
復刻モデルにも秀作が多数
高品質な時計を効率的に作るため、有能な職人たちを集めて一貫生産する自社工場をレ・ロンジンに建設した1867年、社名を現在のロンジンに改称。1878年にクロノグラフ搭載のポケットウォッチを発表し、1911年に世界最初期の腕時計型クロノグラフのひとつを開発するなど、高い技術で名声を得るとともに、上品でエレガントなデザインでも人気を博しました。
持ち前の高精度&高機能モデルによって、1899年アブルッツィ侯爵の北極圏探検や、1927年のリンドバーグ大西洋単独横断無着陸飛行など、数多くの冒険を支えたことでも有名です。リンドバーグの体験をもとにした「アワーアングル ウォッチ」や、1959年に誕生したプロ用ダイバーズウォッチなど、その実績は多くの傑作にフィードバックされました。
近年では伝統的意匠を丁寧なディテールで表現する「ロンジン マスターコレクション」や、航空黎明期のパイオニア精神を継ぐ「ロンジン スピリット」など、幅広いジャンルでロンジンらしいモデルを展開。2006年から国際スキー連盟の公式計時を務めるなど、スポーツ界との絆も強めています。また、最新技術で復刻した往年の名機を新品として楽しめるのも、190年以上にわたり時計作りを続けてきたロンジンならではの魅力です。
ロンジンの軌跡
1832
オーギュスト・アガシがスイスのサンティミエに時計工房を設立。
1867
1852年に経営を引き継いだ甥のアーネスト・フランシロンがサンティミエの通称「Les Longines(細長い原野)」に自社工場を設立。
1878
ロンジン初のクロノグラフ機構を搭載したポケットウォッチを生産する。
1899
アブルッツィ侯爵が北極圏探検にロンジンのクロノメーターを携行。
1908
オスマン帝国での依頼により、トルコ時間と西洋時間の2つのタイムゾーンを同じ文字盤上に表示するロンジン初の懐中時計を発明。
1911
パイロット向けに世界初のリストクロノグラフのひとつを製造。
1912
ロンジン初の電気機械式スポーツ計時システムを開発。1912年にバーゼルで開催されたスイス陸上競技大会で初めて使用。
1913
キャリバー13.33Zの開発により初のコンパクトサイズの腕時計クロノグラフが誕生。
1916
毎時36万振動のムーブメントを搭載した高周波タイマーにより1/100秒が計測可能に。
1924
スイスで初開催されたスキー大会の計時をロンジンが担当。
1925
初めてのフライバック式腕時計型 クロノグラフを製造。
同年、ロンジン初の第2時間帯表示付き腕時計を発表。
1929
ツェッペリン飛行船が世界一周に成功。飛行中のナビゲーションはロンジンのクロノメーターに頼っていた。
1931
航空航法を確立したウィームス米国海軍将校から学び、1927年に大西洋単独無着陸飛行を成功させたチャールズ・リンドバーグの依頼が着想源となった「リンドバーグ アワーアングル ウォッチ」が完成。
1932
アメリア・イアハートがロンジンのクロノグラフを腕に、女性で初めて大西洋単独無着陸飛行に成功。
1936
ロンジンがフライバック クロノグラフで特許取得(前年に申請)。
1949
1/100秒単位を計測し、タイムを撮影できる全自動計器、クロノカメラを発表。1950年に国際自動車連盟に採用され、F1モナコグランプリの計時をロンジンが担当。
1959
双方向インナーディスクを備えたスーパーコンプレッサー(現レジェンドダイバー)を開発。
1969
初のクオーツ駆動の腕時計を開発。
1983
SMH(現スウォッチ グループ)傘下となる。
2005
「ロンジン マスターコレクション」を発売。
2006
国際スキー連盟の公式メインパートナー・公式タイムキーパーに就任(現在まで継続)。
2020
「ロンジン スピリット コレクション」を発売。
タイムレスなエレガンスに、由緒正しい歴史と伝統、そし機械式時計の全てに5年保証が与えられたロンジンのタイムピースは、これまで紹介してきた以外にも豊富なラインナップがそろいます。新作を含めた人気の現行モデルから7本をピックアップ!
[エレガンス]
創業時から常にエレガンスを追求したロンジンにとって、タイムレスな美しさは持ち味のひとつ。長方形の「ロンジン ドルチェヴィータ」や伝統美の「ロンジン マスターコレクション」など独自のスタイルを確立しています。
ロンジン マスター コレクション
190年を超える時計作りの技術と理念、情熱を体現する2005年初出の頂上コレクション。クラシックなエレガンスとクオリティを追求し、全モデルが自動巻きムーブメントを搭載した本格派。そのラインナップは、3針からクロノグラフ、アニュアルカレンダーなど実に多彩。
サンレイ文字盤に多彩な表示を見やすく配したテクニカルな表情が秀逸。12時の小窓で月と曜日、文字盤外周にポインターデイトを備えたトリプルカレンダー・ムーンフェイズに、クロノグラフも搭載。
54万3400円公式サイト
ロンジン ドルチェヴィータ
イタリアのライフスタイルを表した「ドルチェヴィータ(豊かな人生)」という自由な精神を通して、コンテンポラリーなエレガンスを表現する1997年誕生のコレクション。レディースが中心ですが、メンズモデルも展開されており、甘美な時間をペア時計で刻むにも都合よし。
光の角度で華やかに表情を変えるフランケ装飾の文字盤にローマ数字インデックスを組み合わせた「ロンジン ドルチェヴィータ」のメンズモデル。アールデコ調のレクタンギュラーケースも目を引きます。
27万6100円公式サイト
* * *
[スポーツ]
スポーツの世界に関わり続けてきたロンジンの真骨頂。航空系の「ロンジン スピリット」や、ダイバーズ系の「ハイドロコンクエスト」「レジェンドダイバー」「ウルトラ-クロン」などの充実したコレクションがそろいます。
ロンジン ハイドロコンクエスト
逆回転防止ベゼルやガード付きのねじ込み式リューズ、高い防水性など、ダイバーズに求められる機能をほぼ満載するコレクション。スポーティ&ダイナミックなデザインで人気を博し、定番のブラックやブルーのほか、グリーンやブラウン、コンビなど多彩なカラー展開も魅力。
ハイスペックなダイバーズスタイルのベストセラーに、ロンジン独自のGMTムーブメントを搭載した新作「ロンジン ハイドロコンクエスト GMT」。ブラックセラミックベゼルとグリーンダイヤルが好相性。
43万5600円公式サイト
ロンジン スピリット
偉大な冒険家たちを支えてきた歴史的背景からインスピレーションを得て、彼らが信頼した時計や計器の意匠を受け継ぐ「ロンジン スピリット」が2020年に誕生。パイオニア精神への敬意を表したコンテンポラリーな傑作が、先に紹介した「Zulu Time」のほかにも続々と登場。
1920年代からフライバック クロノグラフを作ってきた同社が、満を持して2023年に発売した「ロンジン スピリット フライバック」。サンレイ文字盤とセラミック製回転ベゼルを美しいブルーで統一。
71万600円公式サイト
ロンジン レジェンドダイバー
1937年から続く防水技術への取り組みと数々の伝説を受け継ぎ、2007年に登場した人気コレクション。1959年の同社スーパーコンプレッサーを規範に、60年代ダイバーズを再解釈。36mmと42mmの2サイズに豊富なカラーバリエーションがそろいます。
アイコニックなインナー回転ベゼルやボックス型サファイアクリスタル、2つのねじ込み式リューズなどの意匠を、36mmサイズに凝縮。クラシックなグラデーション文字盤により、腕元がスマートに。
38万8300円公式サイト
ロンジン パイロット マジェテック
ロンジンは長年、航空界と密接な関係を持ち、20世紀前半には航空時計やクロノグラフ、航空用計器を数多く製造しました。その伝説的な名機、たとえば「リンドバーグ アワーアングルウォッチ」や「ビッグアイ」などを復活させたコレクターズアイテムが多数!
旧チェコスロバキア軍の依頼で1935年に供給を始めた歴史的航空時計の直系モデル「ロンジン パイロット マジェテック」。オリジナルを踏襲したクッションケースにマーカー付き回転ベゼルを装備。
59万5100円公式サイト
ロンジン ウルトラ-クロン
1914年に1/10秒計測、2年後に1/100秒計測が可能なストップウォッチを開発したロンジンは、1968年に毎時3万6000振動の「ロンジン ウルトラ-クロン ダイバー」を発表。そのオリジナルから着想を得て、2022年に毎時3万6000振動モデルを復活。
赤い目盛りを配したサファイアインサート付きの逆回転防水ベゼルや、インデックス&指針など、オリジナルのデザインを見事に再現した現行「ロンジン ウルトラ-クロン」。交換用NATOストラップ付属。
60万1700円公式サイト
●問い合わせ先/
ロンジン
TEL 03-6254-7350
公式サイト
Model Photograph / Takemi Yabuki(W)
Still Photograph / Masanori Yamaguchi
Styling / Masahide Takeuchi(CODE)
Hair & Make-up / Kazuya Matsumoto(W)
Model / Takashi Sakurai(T.)
Text / Takahiro Ohno(Office Peropaw)
Edit / Kazuyuki Okumura
※メンズクラブ2023年10月号掲載記事の転載です。