BMI(肥満度を示す体格指数)が30以上という住民の割合は? アメリカ50州すべてで見ると、実際には20%を越えているとのこと。

そんな肥満の原因としてもっとも多いのは、ファストフードや運動不足になります。しかしながら、新たに発表されたマウスを使ったある調査で、一部の人たちに見られる太りすぎの根本的な原因として、ある遺伝子の存在が浮上したそうです。

「全米科学アカデミーの紀要」に発表されたこの研究では、“アンキリン-B”と呼ばれる遺伝子が原因で、脂肪細胞が本来よりもかなり速いスピードでブドウ糖を吸収するようになり、その結果、脂肪細胞の大きさが通常の2倍以上になる現象が見られたそうです。

「これを『fault-free obesity(障害のない肥満)』と我々研究者は呼んでいます」と言うのは、バン・ベネット博士。

博士はデューク大学医学部で生命化学を研究する医師で、この研究論文をとりまとめた人物です。 「『私たちの祖先が飢饉に直面し、エネルギーを蓄えなければならない状況となったときに、この遺伝子が役立った可能性がある』と考えられています。しかし、食べ物が豊富にある現代では、“アンキリン-B”の変種が肥満の蔓延を助長している可能性があるとも言えるのです」と、博士は研究のなかで述べられています。

深刻な肥満になる恐れのある人たちを特定できる可能性

この研究では、白人(コーカサス人種)の1.3%、アフリカ系アメリカ人の8.4%に、この“アンキリン-B”の変種が見つかったそうです。両者の数を合わせると、この遺伝子の変種をもつアメリカ人は、数百万人にも上る計算になります。この研究はマウスを使って行わたものであるため、”アンキリン-B”と人間の肥満との関係をよく知るためには、さらに多くの調査を行う必要があるでしょう。

この遺伝子が「人にどんな影響を及ぼすのか?」を本当に理解するには、肥満の人の家族の病歴や身体的な特徴、それに彼らに見つかった“アンキリン-B”の変種にみられる新陳代謝の様子などを調べなくてはなりません。

「この遺伝子を手がかりに、深刻な肥満となる恐れのある人たちを特定することができる可能性が浮上します。そうした人たちは、口にする食物を通じたカロリー摂取量に注意し、同時に運動量を増やすことで、自分の体重を一定の値以下に保つようにすべきですね」と、ベネット博士は言います。

肥満は成人の死因でもっとも多い病気に関連している

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アメリカ人の食事を全体として見ると、決して健康的とは総じて言えません。(『The Hungry Brain: Outsmarting the Instincts that Make Us Overeat』という著書もある)肥満の研究者であるステファン・ガイネット博士は、「メンズヘルス」の取材に対して、「クッキーやケーキのような穀物素材のデザート、砂糖入りの炭酸飲料、ピザの3つが、私たちの摂取するカロリーの大半を占めている」と述べていました。

そして、肥満に伴うリスクが深刻な結果をもたらすこと、周知の事実です。高血圧、高コレステロール、糖尿病、心臓病のようなアメリカ人成人の死因でもっとも多い病気も、すべて肥満に関係しています。

この点について、ワシントン大学医学部に所属する医学と栄養学に関する専門家サミュエル・クライン医師は、「体重を5%落とすだけでも、深刻な健康問題に直面する可能性を大きく下げられる」と以前「メンズヘルス」に語っていました

少しの自己管理だけで、病気になるリスクを減らすことができるのです。

Source / Men's Heaith US
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。