※本記事は、ニューヨーク市を拠点に活動するフィットネス・ライター兼トレーニングコーチであるデヴィッド・オテイ氏による監修記事です。

《目次》

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トレーニングを監修する際に、私(筆者デヴィッド)からクライアントに必ず伝えていることがあります。トレーニングを行なうときにまず知っておかなければならないのは、「私たちの身体の筋肉の部位は、いずれも密接につながり合っている」、ということです。

頭の先から爪先まで、私たちの身体はすべてが連携しているのです。つまり、どのようなトレーニングであれ、ある種の“身体的なチームワーク”があって初めて成立すると言えるのです。特に腹筋をターゲットにする際には、腹筋だけを独立したものとして鍛えようとする人々も少なくありません。そんな人ほど、そのほうが“より効果的に目標を達成できる”というように誤解しているのです。ですが、“本物の(割れた)腹筋”を得ようとするのであれば、全身を使ったアプローチを意識するべきなのです。

◇実用性のある腹筋とは?
体幹を強化する複合的メリット

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腹筋を鍛えようとする場合、そこに“どれだけ大きな力を加えられるか”という点に意識を集中してしまいがちです。「それは全くの間違いだ!」とも言えませんが、ジムの外でも“役に立つ腹筋”を求めるのであれば、話はちょっと変わってきます。

全身を使ったアプローチを行なうことで、はじめて日常的な動作の役に立つ体幹(コア)の強化を実現することができると私は考えています。そこで効果が及ぶのは、なにも腹部だけではありません。

例えばランニングの際に悩まされる、腰痛の問題を解消するのにも役立ちます。職場での立ち仕事の際に、ついつい猫背になってしまうようなこともなくなるでしょう。トレーニングの効果について、後から不安を覚えるようなこともなくなることが大いに期待もできます。

私がおすすめする体幹(コア)エクササイズとは、上半身、下半身、背中を、体幹を全て連携させることを目的としています。それに加えて複数の筋肉を動員することで、より多くのカロリーを燃焼させることも期待できるようプログラムしています。

では、まずは今回活躍してもらう筋肉のチームメイトをご紹介していきましょう。

ここでは、「コア・フォー(Core Four=4つの体幹)」と名づけたいと思います。腹筋は複数の筋肉で構成されているものですが、シックスパックを思い描くときにまず必要になるのが、このコア・フォー(4つの筋肉:体幹)の存在なのです。

◇腹筋に欠かせない4つのコアとは?

【1】腹横筋(ふくおうきん=Transverse Abdominis)

「コア・フォー」を構成する4種類の筋肉のうち、最も深くに位置し、最も薄い層の筋肉になります。腰部骨盤(腰から臀部)を支える役割を担っているほか、腹腔内圧を高め腹部を中央から安定させることで、呼吸や咳などに必要となる動作を補助することも期待できるでしょう。

お腹に手を当てて仰向けに寝ころがって、咳をしてみてください。すると、あなたはきっと腹部の収縮を感じるはずです。そしてそれを、「腹横筋とその他いくつかの筋肉が機能している証拠だ」と気づくはずです。

【2】内腹斜筋(ないふくしゃきん=Internal Obliques)

腹横筋の一層上にあるのが、内腹斜筋です。それは、肋骨と骨盤との間を埋める胴体部分の腹部の両側に広がる薄い筋肉の層です。斜めの形状から、「腹斜筋」と呼ばれています。

そして、その部位は腹圧を高めるのが主な役割となっています。左右両側の内腹斜筋が収縮することで、上半身は前方へと屈曲します。片側の内腹斜筋だけが収縮すると、その方向へと身体が曲がるわけです。

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【3】外腹斜筋(がいふくしゃきん=External Obliques)

外腹斜筋は、腹斜筋の中で最も表層に位置し、体幹の外側を覆うように筋繊維(きんせんい)が下向きに、また内側に向けて走っています。左右に収縮することで体幹(コア)、つまり肩から腰にかけてのラインを屈曲させるのがこの外腹斜筋の機能と言えます。

左右どちらかの外腹斜筋が収縮することで、その方向に身体は曲がり、体幹が回転しようとします。腹筋を鍛えようと頑張る人々が、やたらと身体をひねっているのを目にしたことがあるかもしれません。それが、この部位を攻める方法のひとつです。私もまた、トレーニングプログラムに回転の動作(例えば「ロシアンツイスト」)を多く組み込んでいく予定です。私たちは日常的なあらゆる動作の中で、なんらかの回転運動をしています。その動作をより強く、正確に、そして楽々と行えるようにするための早道と言えるのが、この回転を伴うエクササイズだと私は考えています。

【4】腹直筋(ふくちょくきん=Rectus Abdominis)

腹筋群の中で、最も表層に位置するのが腹直筋です。胸骨から恥骨(骨盤の底部)まで連なる、長い帯状の筋肉です。体幹を曲げるのが主な役割です。

あの割れたシックスパックの外観を生む腱性線維(けんせいせんい=「白線」と「腱画」と呼ばれています)が、筋肉の間を走っています。

◇腹筋の後部、背筋を鍛える重要性

ご存じのとおり、体幹とは身体の中心を全方位的に支えるものです。つまり、頑丈で真っ直ぐな身体を保つために機能しているのは、「表面的に目に映る筋肉だけではない」ということなのです。

実際のところ、私たちが鏡に映して見ることのできる筋肉など、ごくわずかな部分に過ぎないのです。残りは、身体の奥深くに隠れているのです。隠れているとは言え、目に見える筋肉と同様にハードなトレーニングが必要というわけです。

例えば腹横筋は、私たちの力強い動作に欠かせない深層筋のひとつです。が、目に見ることができないコアマッスルということで、トレーニングの際に見落とされてしまいがちなのも事実。

さらに私たちの身体の背面(背中側)にも、腹筋の機能に重要な役割を果たす筋肉が存在しています。これからトレーニングを行なう中で、どの筋肉をターゲットにしていくか? それは個々によって異なる筋肉の特性を見極めながら進めていく必要もあります。

例えば、腹筋トレーニングを行なう中で「背中や腰、脚の前方に疲労を覚える」という人であれば、その人は背筋のほうにより負荷が加わっている可能性が高いでしょう。というわけで、ここでは背筋について、それがどのような筋肉で、また、いかなる役割を担うものなのかもおさらいしておきましょう。

◇腹筋の後部にある筋肉群を解説

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  • 腰方形筋(ようほうけいきん=Quadratus Lumborum=QL):肋骨下部と骨盤とを結ぶ、四角い筋肉です。腰椎(腰)を横にひねったり、伸ばしたりする動作を支えます。
  • 大腰筋/小腰筋(だいようきん Psoas Major / しょうようきん Psoas Minor):大腰筋は股関節を支える主要な屈筋で、下記の腸骨筋と連動して動きます。小腰筋はより短く、大腰筋と直接連動するわけではありませんが、いずれも腰椎を屈曲させる働きを担います。
  • 腸骨筋(ちょうこつきん=Iliacus):股関節の主要な屈筋軍である腸腰筋の一部をなし、脚を引き上げたり、反対に胴体を引き下げたる動作のための主要な役割を担うのが腸骨筋です。腹筋運動の最中、股関節屈筋が引っ張られるように感じたことがあるという人は、「腸骨筋の助けを借りて腹筋運動をしている」と言えます。それは「腹筋を効果的に鍛えられていない」というより、「ターゲットを誤っている」と言えるでしょう。

つまるところ、結局はさまざまな筋肉が一体となって胴体を安定させているのです。人の身体を支え、活動的で強靭な肉体を維持するため、非常に多くの筋肉が集結しているのです。なので、身体の要求を無視せず、素直に受け止めて必要な強化を行なっていきましょう!

Source / Men’s Health US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。