米コロンビア大学医学部の助教授を務める精神科医ドリュー・ラムジー氏は、不安障害やうつ病の治療を受けている患者に対し、新たな選択肢を提供しています。

 彼が患者に処方するのは、世界的に使用されている「Prozac(プロザック)」や「Zoloft(ゾロフト)」、「Celexa(セレクサ)」などの抗うつ剤ではなく、なんと食べ物の牡蠣(カキ)なのです。ラムジー氏いわく「『海のミルク』と呼ばれる栄養豊富な牡蠣は、メンタルヘルスの改善に効果的だ」と説明しています。

 鍵となる成分は、牡蠣に含まれるビタミンB12とオメガ3系脂肪酸。「ビタミンB12には脳萎縮の抑制効果」が、そして「オメガ3系脂肪酸には不安症状を軽減する効果」が期待できると、ラムジー氏は米紙「NYタイムズ」に説明しています。

 そんな彼の治療法に満足している患者は多いようで、軽度のうつと不安障害に悩まされていた48歳のある男性患者にいたっては、週末に36個の牡蠣を完食。それを聞いて、ラムジー氏も「牡蠣をすすめた患者の中で、36個も食べたのはあなただけですよ」と驚いたそうです。

 書籍『Eat Complete』や『Fifty Shades of Kale』、『The Happiness Diet』など、過去に脳と食べ物の関係をテーマにした書籍を多数執筆しているラムジー氏は、そのほかにも「不規則な食事が心に不調をきたす」と主張し、正しい食べ物を選ぶことで予防改善できる病気や体の不調はあるとしています。つまり当然ながら、心の健康づくりに役立つ食べ物は牡蠣だけではない…とうことなのです。

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 ラムジー氏は、薬物療法の代わりとして食事療法を行っているわけではありません。彼が得意とするのは、栄養指導に抗うつ剤やセラピー、カウンセリングなどを組み合わせた独自の治療方法です。

 2日間で36個の牡蠣を食べた前述のラムジー氏の患者も、彼に絶大なる信頼を寄せています。その患者は、現在も脂肪分の多い肉や加工食品、揚げ物を控えた食生活を続けており、「NYタイムズ」に「うつ病を軽減し、気分をよくするための治療の一環として、牡蠣を食べているだけです」とコメントしています。

 栄養満点で、健康効果も大いに期待できると言われている牡蠣…。最近なんだか気分が優れない…という人は、試してみる価値はあるかもしれませんね。


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Translation / Reiko Kuwabara
※この翻訳は抄訳です。