《目次》

▶ケトジェニック・ダイエットとは?

▶「アトキンス・ダイエット」と「ケトジェニック・ダイエット」違いとは?

▶日本人成人の1日に必要なエネルギー量

▶身体活動レベルの目安

▶40歳男性でシミュレーション

▶まとめ

◇【おさらい】ケトジェニック・ダイエットとは?

 「肉類や上質な脂肪分の食べ物なら、好きなだけ食べていてもOK…それでも減量ができるのがケトジェニック・ダイエットだ…」と、思ってはいませんか…。大のステーキ好きのあなたにとっては、これは願ってもみないダイエットに思えるかもしれません。ですが、ちょっと待ってください。

ケトジェニック・ダイエット(The Ketogenic Diet)とは…、しっかりと食べた上で痩せて、健康になるという食事法です。十分な量のタンパク質と、大量の脂肪を摂取し炭水化物を可能な限り避ける食事療法の一種となります(他にも「ケトン食」「ケトン式・ダイエット」「ケトジェニック療法」…とも呼ばれています)。

 それゆえ、人気の高いダイエット法として注目されている現在。

 ルールとは、上記した通り脂肪分を多く摂り、炭水化物の量を制限し、タンパク質類を食べるというのが一般的な知られています。「この基本ルールを忘れている人が多いのではないでしょうか」というのは、米国オハイオ州立大学ウェクスラー・メディカル・センターのリズ・ウェイナンディー博士です。

 「ケトジェニック・ダイエットを始めると、多くの人が許容されるよりもはるかに大量のタンパク質類を摂る傾向にあるのです」と、ウェイナンディー博士は指摘します。「多くの方が実行しているのは、『アトキンス式(Atkins)』と呼ばれるダイエット法になっているのです」。



◇「アトキンス・ダイエット」と「ケトジェニック・ダイエット」違いとは?

 アトキンス・ダイエット(The Atkins Diet)とは、心臓病専門医であるロバート・アトキンス医師が提唱した食事療法の一種になります。

 炭水化物の1日の摂取量を20g以内に抑えて、タンパク質と脂肪の摂取量を増やすことによって、脂肪がエネルギー源として常時消費され続ける状態に誘導する方法と言えます。そして、炭水化物が多いものを避けるか、その摂取量を減らす代わりに、タンパク質と脂肪が豊富な食べ物を積極的に食べるといった食事法になるわけです。

 このアトキンス・ダイエット他には、「低炭水化物ダイエット」「ローカーボ・ダイエット」「低糖質食」などとも呼ばれています。

 一方、ケトジェニック・ダイエットの目指すところは、体内でケトン体(脂肪の合成や分解における中間代謝産物=アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称)をつくり出し、体を「脂肪燃焼モード」に誘導することになるわけです。

 通常、私たちの肉体は脳を働かせる燃料としても、理想的な炭水化物の力によって活動しています。その炭水化物を厳しく制限することで、肝臓によって脂肪からケトン体が合成され、それがあなたにとっての主要なエネルギー源となるという考え方です。

 肉体の新陳代謝の仕組みを変えるのですから、そう簡単なことではありません。ということで、正しいケトジェニック・ダイエットの方法と基礎知識をここで再認識しておきましょう。

まずは、正しいマクロ栄養素の計算に基づく食生活が重要

 あらゆる食材は、炭水化物、脂質、タンパク質などの主要栄養素の組み合わせによりできています。「正しいケトジェニック・ダイエットでは、毎日必要なカロリーの70%を脂質で摂取することになるのです」と、ウェイナンディー博士は言っています。残る30%のカロリーのうち、20%をタンパク質から、10%を炭水化物から摂るように制限することを推奨しています。

 「一般的に炭水化物の摂取量は、約30グラム程度に制限されることが多いようですが、この量には個人差が認められます」とも言っています。

《ケトジェニック・ダイエットにおける毎日必要なカロリーの割合》

  • 脂質:約70%
  • タンパク質:約20%
  • 炭水化物:約10%

 当然、対象となる人の性別年齢身体活動レベルなどによって、「何を」「どれだけ」食べたらいいのか、個々人による異なった諸要素によって摂取すべき必要な栄養は変わってくるのです。

▶計算サイト「ke!san」では、 目標体重と身体活動レベルから、1日に必要なエネルギー量を簡単に算出してくれるものもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
計算サイト:1日に必要なエネルギー量を算出

◇日本人成人の1日に必要なエネルギー量

 農林水産省によると、一般的に活動量の低い(下記「身体活動レベルの目安」参照)成人男性は約2200 ± 200 kcal程度が目安で、成人女性の場合は約1400~2000 kcal程度とされています。

◇身体活動レベルの目安

 この身体活動レベルとは、日常生活や運動などの活動量に応じて3つの段階に分けられています。

  • 【低い(Ⅰ)】…デスクワーク等、自宅でも仕事でも1日のうち座っていることがほとんどの方
  • 【ふつう(Ⅱ)】…座り仕事が中心だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等の運動をする方
  • 【高い(Ⅲ)】…立ち仕事や移動が多い仕事の方、またはスポーツなど活発な運動習慣をもっている方
     

40歳男性でシミュレーション

例)40歳・男性・165cm・55kgの場合
・1日に必要なエネルギー量:2000 kcal

…例えば、上記のような1日に必要なエネルギー量が2000 kcalの40歳男性が、仮に50 kcalオーバーで、1日2050 kcal摂取の生活を3年間続けた場合、3年後には62.8kgになっているという計算になります。

・50 kcal×365日×3年=54,750 kcal
・54,750 / 7000 = 7.8kg
※脂肪1kg減らすには7000 kcalのカロリーダウンが必要
・55kg + 7.8kg=62.8kg

 ちなみに各栄養素1gあたり、おおよそ下記のカロリーに換算することができます。

  • 脂質=1gあたり9kcal
  • 炭水化物=1gあたり4 kcal
  • タンパク質=1g当たり4 kcal

 カロリーをグラム変換するにあたっては、カロリー総量を各栄養素ごとに1g当たりのカロリー量で割ることになります。

◇まとめ

 ケトジェニック・ダイエットにおいて、把握しておくべきマクロ栄養素について最後にまとめてみましょう。

 ケトジェニック・ダイエットを成功させるには、大きな覚悟を持った取り組みが必要ですし、また、いくつかのツールを活用するのもダイエットの継続につながるひとつの要因になり得るでしょう。

 摂取するタンパク質の量など、間違いが生じやすい数字を正確に把握するために、高価なものでなくてもいいので、計量機(はかり/キッチンスケール/クッキングスケール)をひとつ購入すると良いでしょう。

 また、スマホのアプリを使って、食事ごとの分量の計算と記録を行うのも便利です。また、この方法だと摂るべき栄養素に関する必要情報なども知ることができますので、自分に合ったものをぜひ探してみてください。

Source / Men's Health
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。