お腹周りの脂肪を減らすのに役立つ16種のトレーニング
お腹周りの脂肪を減らすためには、身体全体における脂肪の割合を減らさなければなりません。それには、これから紹介するトレーニング16種が効果を発揮してくれるはずです。
洗濯板のように固く引き締まったお腹ほど、見栄えのする勲章はそう多くはありません。それはあなたがジムでトレーニングに励み、食事にも注意を払って、お腹周りの脂肪を撃退することに成功したことの証でもあるのですから。
引き締まったお腹を安全かつ正しく手に入れたのだとすれば、それはあなたが健康を維持し、食べ物に気をつかっていることを示す証なのです。つまり、これさえやれば誰でもお腹周りの脂肪を根絶やしにできるという万能のアプローチはなく、例えどんな怪しげなアドバイスを耳にしたところで、お腹の――あるいは特定の部位の――脂肪をターゲットにすることは難しいわけです。
ですが、お腹周りの脂肪を減らすことを最終的な目標にすることは、「できない」と全否定するべきことでもありません。それも他と同じくらい立派な目標ですし、もしあなたがそうしたいのであれば、科学は間違いなくその手助けをしてくれるでしょう。
◇肥満における健康上のリスクと研究結果
「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に掲載されたある研究で、お腹周りの脂肪にはあなたを死へと追いやるリスクが潜んでいることが明かになっています。その研究では250万人を対象に、ウエストのサイズが増すにつれて死亡原因となるすべての要素も増していくという結果が報告されています。その内容は? 恐ろしいことにそこでは、ウエストのサイズが約10cm(4インチ)増すごとに死への危険性が11%高まるという数値が導き出されたと言います。
「お腹周りの脂肪というのは、腹部の臓器周辺に蓄えられている脂肪であり、これが過剰になると高コレステロール、高血圧、心臓病、糖尿病、脳卒中へつながることが考えられます。ですので、お腹周りの脂肪が増えると、これらの病気で命を落とすリスクが高まることになるのです」と語るのは、この研究論文を執筆したトロント大学栄養科学科のタウシーフ・アーマド・カーン博士です。
「体重やBMI(=体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数)ばかりでなく、もっとウエストにも気を配る必要があります。ウエストはお腹周りの脂肪量を示すよい指標であり、人は特定部位の脂肪をターゲットにして減らすことはできませんが、ダイエットやエクササイズによって体重を減らすことがウエストサイズを…ひいては、お腹周りの脂肪を減らすことになります」と、カーン博士は説明します。
カーン博士の言うとおりで、体重を減らして体脂肪率を落すことが最終的にお腹周りの脂肪を減らすための唯一の方法なということになります。でも、どのようなエクササイズをやれば目標を早く達成できるか? を知りたいというのであれば、「メンズヘルス」はそのお手伝いをすることができます。
◇お腹周りの脂肪のタイプと、その危険性
トレーニングに移る前に、まず大事なことをお話しておきましょう。それは、「すべてのお腹周りの脂肪は同じようにつくられているわけではない」ということです。
ハーバード公衆衛生大学院によれば、お腹周りの脂肪にはふたつの種類があるとのこと。
- 皮下脂肪…皮膚のすぐ下にある柔らかい層――ぶよぶよしている――で、たいていは無害です。
- 内臓脂肪…これは具体的にその存在を知ることができないもので、臓器の周りに形成されています。そして、心臓病や糖尿病、ガンになるリスクを高めることも研究で報告されています。
あいにく、お腹周りの脂肪は代謝的に活性で、食欲や気分や脳の機能をコントロールするホルモンの妨げとなる炎症性物質をつくるのが得意という研究結果もあります。また、これはコルチゾール・レベルに影響を与えて、あなたのストレス・レベルも上昇させる可能性もあるという報告もあるのです。
もしあなたが、幸いにも自分自身それを理解しているのであれば、それを防ぐことは簡単なことだと言えるでしょう。ただし、それに大きく関わってくるのがトレーニングの種類になります。
ところがそれらは多分、あなたが考えになっているようなエクササイズではないでしょう。それではまず、誰もがやっている(あるいはやったことがある)けれど、あなたがやるべきではないトレーニングから見ていくことにしましょう。
◇お腹周りの脂肪を“燃焼させにくい”エクササイズとは?
腹部のエクササイズ…。簡単に言うと、数えきれないほどの回数の腹筋運動(シットアップ)をやったところで、「ジャーナル・オブ・ストレングス・アンド・コンディショニング」の研究によれば、実質的には、お腹の脂肪に何の影響も与えないことが報告されています。
もちろん、そういった種類のエクササイズはお腹の筋肉を鍛えるのには役立ち、お腹を引き締めることもできるでしょう。ですが、腹筋の上についた脂肪の層を取り除くことに関しては難しいということなのです。
一部の人たちは、ある信念を持っていることでしょう。それは、「身体の特定の場所をターゲットにして、体重を減らすことはできる」という伝説です。
これは“部分やせ”の名で知られていますが、残念ながら大多数の研究では、このプロセスの信頼性に疑問を投げかけています。
ですので、はっきり言わせていただきましょう。お腹の脂肪を減らすためには、身体全体の体脂肪率を下げる必要があるのです。そして、残念なお知らせばかりで誠に恐縮ですが、身体のどの部分の脂肪が最初に減るのかを自分でコントロールすることもできません。
しかしそれは、以下にご紹介するトレーニングの数々――かなりの努力を要する全身運動の組み合わせ――が、「ただちにあなたの身体の脂肪を減らし始めることはないし、そのうちお腹のぜい肉が落ちて腹筋が浮き出るようなこともない」、という意味でもありません。
そう、満を持して姿を現すことができたあなたの腹筋は、力強い、くっきりとしたものになっていることは大いに期待できるのです。
それでは、肩と腰の間にある多くの筋肉を鍛えて、同時に代謝もよくする、脂肪燃焼エクササイズからスタートです。お腹の脂肪を燃焼させるのに最適なトレーニング16種と、その望ましいやり方を紹介していきます。
【1】バーピー|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
お腹の脂肪を減らしたいなら、できるだけ多くの筋肉を働かせる必要があります。「バーピー」はまさに、それを実現させるためのものと言って過言ではないでしょう。
激しいエクササイズで――腕立て伏せの姿勢からジャンプして、またプッシュアップの姿勢に戻る――頭からつま先まで、ありとあらゆると言っていいほど多くの筋肉を使います。
実際にアメリカスポーツ医学会の研究で、これを速いペースで10回やるだけで、30秒の全力疾走に相当する代謝量になることがわかっています。なので、これまで以上の速さでお腹の脂肪を燃焼させることが期待できるのです。
■バーピーの効果的なやり方
- 両脚を肩幅に広げて、まっすぐ立ちます。
- 前かがみになり、両方の手のひらを肩幅の間隔で床につけます。
- 両脚を勢いよくうしろに蹴り出し、腕立て伏せをやります。次に、今度は逆の動きをやって直立の姿勢に戻り、最後にジャンプします。ここまでが1回(1レップ)の動作内容です。関連記事:「バーピー(Burpee)」のメリットと留意点
【2】マウンテンクライマー|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
マウンテンクライマーは、動きのあるプランクだと考えてください。膝を胸のほうに勢いよく引きあげながら、ミニクランチを行います。
ですがこの動きは、脚が床から離れるたびに、コアを使って身体をまっすぐな姿勢に保たなければならないので、非常に難しくものになっています。
■マウンテンクライマーの効果的なやり方
- 両手を肩の真下で床について、頭からかかとまでが一直線になっている腕立て伏せの姿勢をとります。これが最初のポジションです。
- 右脚を床から上げて、膝を胸のほうへ勢いよく引きあげます。
- 右脚を床について、最初のポジションへと戻ります。左右の脚で交互に、同じ動作を繰り返します。関連記事:【1日30秒】下腹部を引き締める、腹筋トレーニング7種
【3】ケトルベルスイング|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
ケトルベルスウィングは、あらゆるエクササイズの中でも最もカロリーを消費するもののひとつかもしれません。重い鉄の塊を動かすためには、大臀筋、腰、大腿四頭筋など、脂肪を効率よく燃焼させることが期待できる大きな筋肉を使う必要があるからです。
激しい動きなので心拍数を急上昇させますが、コアも鍛える効果もあります。
■ケトルベルスイングの効果的なやり方
- 腰を曲げ、目の前の床に置かれたケトルベルを両手で握ります。ケトルベルを両脚の間で軽く前後にゆすります。
- それから大臀筋に力をこめ、腰を前方にぐっと突き出して、ケトルベルを肩の高さまで振りあげます。この動きを両脚の間で繰り返します。関連記事:ケトルベルおすすめ8選
【4】メディシンボールスラム|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
もしあなたがメディシンボールを使ったことがないのであれば、あなたは損をしています。「コアはパワーの中心なので、メディシンボールスラムのように激しい動きを行うには、首から腰までのすべての筋肉を一緒に使う必要があるのです」と説明するのは、熟練コーチのショーン・ディウィスペラエールさんです。
また彼は、「ペースを上げ、より以上のパワーとスピードでボールを動かすようにすれば、心拍数は上昇しながらお腹のやっかいなぜい肉も燃焼させることにつながるのです」とも言っています。
重量を増やす必要はありません。ハードにやるなら3kg程度のメディシンボールで十分です。
■メディシンボールスラムの効果的なやり方
- 両脚を肩幅に広げ、頭の上でボールを両手で持ちます。
- ボールを床に思いっきり叩きつけ、跳ね返ったボールを受け止めます。これを繰り返します。関連記事:メディシンボールを用いたトレーニング4種
【5】ダンベル・オーバーヘッドランジ|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
「オーバーヘッドランジ」にダンベルを加えると、これがいきなり体幹トレーニングへと進化します。
「これをやれば、ダンベルを移動させるたびにそれを頭上で安定させるため、胴体すべての筋肉を一緒に使わなければならなくなりますので」と説明するのは、プロトレーナーのトニー・ジェンティコアさんです。
猫背や大臀筋の弱さもお腹を出っ張らす原因になるので、この動きで背中やお尻も一緒に鍛えられるというわけです。
■ダンベル・オーバーヘッドランジの効果的なやり方
- 中~軽量のダンベルを両手にひとつずつ持ちます。
- 手のひら側が内側に向くようなカタチで、ダンベルを頭上に持ちあげます。耳のところで肩が丸まらないように注意すること。
- 一歩前に踏み出してランジのポジションをとり、いったん停止した後、後ろの脚を前に持って来て両脚をそろえます。左右の脚で、交互にこれをやりながら前進します。関連記事:ダンベルおすすめ11選
【6】トレッドミル・スプリント|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
もし、お腹周りの――あるいは身体のどこかの部分の――体重を落とすことを考えているのであれば、短時間の激しい有酸素運動ほど優れたエクササイズは多くありません。
毎日5km走をやることは忘れて、HIIT(高強度インターバルトレーニング)に取り組んでください。
「ジャーナル・オブ・ストレングス・コンディショニング・リサーチ」に掲載された研究で、トレーニングの合計時間が同じでも、1回の時間が短いHIITを行った被験者のほうが、あまり激しくないトレーニングをダラダラやった被験者よりも、消費カロリーが最大で30%多かったという研究結果が発表されています。
■トレッドミル・スプリントの効果的なやり方
- まず最初は、20秒のスプリントを15セット、40秒の休息をはさみながら。以後はトレーニング:休息に関して、徐々にトレーニング側の割合を上げていきます。
- ランニングマシンの傾斜を上げ、取り決めた時間内を全力疾走してください。関連記事:ワンルームの自宅につくってみた
【7】スラスター|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
スクワットとショルダープレスを組み合わせたこの動きは、複数の関節を動かすものであり、あなたの心血管を健康へと導きながら、大臀筋、大腿四頭筋、腹筋、肩、腕を鍛えるメニューです。
主要な筋肉をほどすべて鍛え上げることが期待できる、究極の“努力に見合った価値のある”トレーニングと言えます。
■スラスターの効果的なやり方
- 両手にケトルベル(あるいはダンベル)を持って、ウエイトが肩の後ろに乗るような状態にします。
- 肩と脚の位置がずれないようにしながら、膝を軽く曲げてしゃがみます(スクワットダウン)。
- 膝をまっすぐ伸ばしながら、同時に腕を伸ばしてウェイトを頭上に持ちあげます。またスクワットダウンして、同じ動作を繰り返します。
【8】スケーター|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
脂肪をぐんぐん減らして敏捷性を向上させ、さらに筋肉を鍛えてパワーを増し、さらに健康も増進させる――そんなスケーターのメリットは単に、お腹の脂肪を燃焼を期待させるだけでないということです。
■スケーターの効果的なやり方
- 両脚を肩幅に広げて立ちます。エクササイズマットの片側に向ってジャンプし、体重を支えるのとは反対側の脚をやや角度をつけて後ろに曲げます。
- 立ち姿勢に戻って、さっきと逆の側へジャンプします。
- 体重を移動させて片脚で着地し、反対側の脚を後ろに曲げます。これを繰り返します。
【9】タックジャンプ|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
筋肉に最大限の力を発揮させるために考案されたこのトレーニングは、間違いなくカロリーを消費してくれる、脂肪を燃焼させることを目的とするエクササイズメニューとしてはぴったりのものです。
■タックジャンプの効果的なやり方
- 脚を腰幅に広げて立ち、膝を曲げて両腕を肩の高さで前に伸ばします。
- 脚の力を使って膝をより深く曲げ、高くジャンプしながら腕で膝を抱えているように膝を高く持ち上げます。
- 着地のときは膝を曲げて、ソフトに着地するようにしてください。
【10】スクワットジャンプ|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
スクワットジャンプもカロリーを消費することを目指す(筋肉に最大限の力を発揮させるために考案された)トレーニングのひとつであり、考えられる範囲内で激しい下半身運動の基本メニューのひとつになります。
■スクワットジャンプの効果的なやり方
- 両脚を腰幅に広げて立ちます。
- 太腿と床が平行になるくらい腰を低く沈めます。
- 脚の裏で床を蹴って勢いよく、できるだけ高くジャンプします。
- 着地のときに膝が45度くらいに曲がるようにし、それからすぐにスクワットをやって、またジャンプします。
【11】フロッガー|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
この蛙のような運動のシンプルさにだまされてはいけません。これは身体全体をターゲットにしたエクササイズであり、効果的な動きで腕、腹筋、大臀筋、脚、心臓を働かせ、カロリー消費へとい導くという、私たちの目的をかなえてくれるメニューです。
■フロッガーの効果的なやり方
- しゃがんだ姿勢になり、脚の間の床に両手をつけます。
- 両脚を後ろに蹴り出して、空中で腕立ての姿勢になります。
- 逆の動きで、もとのしゃがんだ姿勢に戻ります。これで1回です。関連記事:腹筋を刺激する難易度の高い「バーピージャンプ」
【12】ブロードジャンプ|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
ジャンプが持っている複合的で瞬発的な性質は、多くのエネルギーを必要とすることを意味しています。だからこのブロードジャンプは、カロリー消費にもってこいの運動と言えるのです。
■ブロードジャンプの効果的なやり方
- 脚を肩幅に広げ、腰を落してスクワットの姿勢になります。
- 両腕で反動をつけて前方へ飛び出し、両脚を前に投げ出してさらに勢いをつけます。
- できるだけ遠くにジャンプし、着地して腰を落したスクワットの姿勢になります。
【13】ジャンピングジャック|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
ジャンピングジャックは、いい加減なウォーミングアップの一メニューなんかではありません。
カロリーを消費してくれる、心臓にもいい運動で、どんな場所でもやることが可能です。
■ジャンピングジャックの効果的なやり方
- 両脚をそろえを立ち、腕は身体の横にそえます。
- 両腕を頭上まであげると同時に高くジャンプして、両脚を横に広げます。
- 逆の動きでもとの姿勢に戻り、一時停止せずにこれを繰り返します。
【14】ジャンピングランジ|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
あなたの人生にとって必須なランジとは、ダンベル・オーバーヘッドランジだけだと思っていましたか? ちょっと待ってください、シンプルなこのジャンピングランジも効果的なカロリー消費運動と言えます。ほかのトレーニングと同じように、体幹(コア)にも効いてくれるはずです。
■ジャンピングランジの効果的なやり方
- 後ろの脚の膝が床につきそうになるくらい、大きく前に一歩踏み出します。
- 宙に飛び上がって前後の脚を入れ替えます。
- そのままの姿勢で着地して、同じ動きを繰り返します。
【15】ハイニー(もも上げ)|お腹周りの脂肪燃焼に効果的な筋トレ
ランニングマシンを使ったことがない? 大丈夫です。立っているその場でハイニー(もも上げ)をやりましょう。で、これをもっと難しくしたければ、左右のパンチと組み合わせた動きを試してみてください。
■ハイニー(もも上げ)の効果的なやり方
- 脚を腰幅に広げて立ちます。右膝を胸につけるような気持ちで高くあげます。
- 右膝を降ろして、左膝を同じように高くあげます。
- 脚を交互に替えながら、全力疾走やランニングのペースでこの動きを続けます。
【16】有酸素運動「縄跳び」で脂肪燃焼
縄跳びによる消費カロリーは、体重によって変わります。ですが、一般的に平均的な消費カロリーは、「縄跳び10分間で100kcalを消費」と言われています。
誰でもそんなに長くやれるとは限りませんが、シンプルな縄跳びの効果をあなどってはいけないということは確かです。
左右の手に縄を持って構て、縄を回してジャンプ! 膝を柔らかくすることとコアを使うことを意識してください。関連記事:縄跳びのおすすめ8選
Source / Men’s Health UK
Translation / Satoru Imada
※この翻訳は抄訳です。