今知っておきたい世界の自動車業界のトピックをざっくりお届けする【WORLD CAR NEWS】。今回はEV界の巨人、テスラの2020年7月~9月の決算の話題に加え、アルピーヌブランドの今後、そして、GMの電気自動車工場への取り組みについてお届けします。

テスラ、5年連続の四半期利益を計上。EVの収益力も改善

 テスラは長い間、電気自動車業界の話題となっています。ですが、その収益性については疑いの眼差しが向けられることもありました。しかし、現地時間10月21日に発表された2020年7月~9月の決算では、最終利益が3億3100万ドル(約345億円)と前年同期の2.3倍に増加。さらに、5四半期連続の利益を報告したことで、収益力への疑念は消えつつあります。

 特筆すべきことは、その内訳です。

 環境規制に伴い、他社に温暖化ガス排出枠を販売した排出枠販売益ではなく、本業の収益力が高まり、収益の質が向上しています。その背景には、新型コロナウイルスの感染拡大から脱却した中国での販売が特に好調で、全体の売上高は87億7100万ドル(約9183億円)と39%増を記録。量産体制が軌道に乗り始めたと言えるかもしれません。

 今回の決算について、「テスラの将来を、今日ほど楽観的になったことはありません」とイーロン・マスクCEOは話しました。

ルノーのアルピーヌ、目指すは“ミニフェラーリ”!?

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ALPINE
アルピーヌ「A110」。

 ルノーが抱えるスポーツカーブランド、アルピーヌ。「A110」のセールスは今後のさらなる伸びが期待されますが、ルノーの新CEOのルカ・デ・メオ氏は、アルピーヌを将来的にルノーの戦略上の柱に据えることを願っており、「アルピーヌを“ミニフェラーリ”にしたい」と考えているようです。カーニュースメディアの「Automotive News Europe」が伝えています。

 デ・メオCEOが就任後に行った最初の大きな決断は、2021年に向けてF1ルノーチームをアルピーヌにリブランディングすることでした。そして、F1をビジネスの中心にした、生産・流通・エンジニアリングを備えたブランドづくりを視野に入れているとのことです。

 市販車の面では、EVの製造とポルシェ「911」の競合となるようなモデルが登場する未来を描いています。アルピーヌは、ルノーが販売する大衆車よりも高価なモデルが多いのは事実。アルピーヌは今後のルノーにとっては、良い収益源になる可能性もあります。

GM、EV製造へ大規模投資。EV化への姿勢鮮明に

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Cadillac
スプリングヒルの工場での製造が予定される「リリック」。

 ついに、電気自動車(EV)に本格的に乗り出したゼネラルモーターズですが、今後はエンジニアリングだけでなく、製造にも多額の資本が必要となるでしょう。

 現地時間2020年10月20日、GMはテネシー州スプリングヒルの工場への大規模な投資を行い、EVの生産を開始すると発表しました。同社にとって3カ所目、ミシガン州外では初のEV生産工場となります。 2022年から、キャデラックブランドにおける初のEVとなるSUV車「リリック」の生産が予定されています。

 約20億ドルが追加投資され、工場の拡張やEV生産設備の増強、包括的な組み立てラインの改修などが行われる見込みです。

 また、これに関連する動きとしては、現地時間同年10月16日に総工費およそ22億ドルを掛けて、ミシガン州デトロイトのハムトラク工場を改修し、EV専用工場の“ファクトリーゼロ”と改名することも発表されています。

 まずは、先日発表されたGMC「ハマーEVピックアップ」や自動運転車の「クルーズ・オリジン」の製造が予定されています。稼働開始は、2021年後半が見込まれています。ちなみにファクトリーゼロに費やす22億ドルという投資額はGM史上、単一工場への最大額の投資となります。

Source / Road & Track
Translation / Esquire JP
※この翻訳は抄訳です。