まるでSF映画にインスパイアされたかのような先鋭的なデザインのEVばかりが目につく昨今ですが、MINIから新たに発表されたEVのコンセプトカー「エースマン コンセプト」はひと味違ったアプローチで他とは一線を画しています。

この新型クロスオーバーは、従来の近未来的なSF作品と言うよりも、任天堂(Nintendo)の「どうぶつの森」や「スーパーマリオブラザーズ」といったビデオゲームシリーズからインスピレーションを受けたかのようなルックスが採用されています。MINIはこの「エースマン」を、MINI「ハッチバック」と「カントリーマン」の中間のクラスに位置づけており、遠くない将来の市販化を目指すものとしています。

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MINI
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「エースマン」の生産が開始される時期は未定ですが、「クラブマン」の販売が2024年で終了する予定であることを考えると、その前後に市場投入されるのではないか? 推測されています。詳細なスペックも未公開ですが、航続距離については「クーパー エレクトリック」の110マイル(約177キロ)を上回ることが期待されています。

気になるのが、「エースマン」というネーミングです。2013年から2016年まで「カントリーマン」の2ドア仕様として市販されていた「ペースマン」とひと文字違いであるという点に気づいた人もいるでしょう。今回コンセプトモデルが発表された「エースマン」のほうが車幅も車高もあることから、車内空間は拡張されているはずです。

4ドア仕様、プラスチックパーツが用いられたキャビン、幾何学的なホイールのデザイン、ルーフラックの装備などかわいいもの好きの人々に加え、よりタフな志向の人々にもアピールする設計となっています。

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「エースマン」の基本構造がMINIであることは紛れもない事実ですが、ディテールはまるで8ビットのコンピューターグラフィックや異世界モノのアニメから飛び出してきたかのような仕上がりです。扇形に広げたトランプを思わせるホイールに、マトリックスLEDヘッドライトと、LED満載のグリルというビジュアルは近未来感が漂いつつも、どこか“懐かしさとかわいらしさ”に包まれています。

片目でウィンクを送ったり、ユニオンジャックの上半分を表示したりと、遊び心にあふれたマトリックスLEDヘッドライトですが、車に近づけば近づくほどにその明るい輝きが鮮明になります。テールライトもまたユニオンジャックの半分を模したピクセルによるデザインを採用。グリーンのルーフやブルーのフロントバンパーなど、カラフルなアクセントも魅力を加えます。

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車内には、円形のメインディスプレイと布張りのダッシュボードに映し出される色彩豊かなアニメーションが搭乗者を待ち受けています。3種類のエクスペリエンスモードがあり、ダッシュボードに映像や地図などが投影される仕組みに。停車中のダッシュボードにはゲームのような丸文字が躍るモードも用意されており、アニメーションはサウンド付きです。

クロームやレザーを素材として用いていないことを強調するかのように、インテリアの大部分が布製です。ベロアを使ったステアリングホイール、刺しゅうのシート、モジュール式のセンターコンソール、鮮やかな紫色のシートベルト、夕焼け空のようなオレンジ色のスピーカーなど、インテリアの随所にこだわりが見て取れます。

まるで、アニメに描かれる未来の世界を体現したかのような「コンセプト エースマン」ですが、同時にMINIのレガシーを示すことも忘れてはいません。ルーフラックのクロスバーはユニオンジャックをモチーフにデザインされており、ルーフやインテリアの随所にブリティッシュ・レーシング・グリーンの色彩があしらわれています。

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この電動クロスオーバーですが、現地時間2022年8月24日(水)からドイツのケルンで開催されるゲームショー、「gamescom 2022」の会場で実際に公開されることになるようです。見逃すわけにはいかないでしょう。

Source / CAR AND DRIVER
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です