生産開始の発表はまだありませんが、今回は私たち(アメリカのカーメディア「CAR ANDDRIVER」編集部)が一足先に試乗の機会をいただきました。もし本当に販売が開始されれば、女性受けも抜群なだけに、時代の寵児となることが予想されます。少なくとも学生用駐車場に充電設備のある大学なら、ブレイク間違いなしでしょう。ただしこれは、アメリカの場合ですが…。

私たちが試乗した1台ですが、これはもう100パーセント市販車としての完成度を備えているように感じられました。「競合相手がまだ存在しない今のうちに、大急ぎで市場に投下すべき車だ」というのが、率直な感想です。

現状におけるMINIのEVと言えば、日本国内では未発売のモデルとなります。が、ハードトップの2ドアの「MINIクーパー」をベースにした「クーパーSE」の存在があります。私たちが試乗したコンバーチブルのプロトタイプは、ドイツ・ミュンヘンで手作業により組み立てられた1台で、基本的には既存の「MINIコンバーチブル クーパー」のボディに電動パワートレインを移植したものとなります。約20秒で開閉するファブリック製の電動コンバーチブルトップも共用です。

 
MINI
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パワートレインもまた共用で、電気モーターは最高出力181馬力、最大トルクは199lb-ftです。車両重量は明らかにされていませんが、「クーパーSE」のハードトップをわずかに上回る重量といったところでしょうか。ちなみに「クーパーSE」の車重は3099ポンド(約1406キロ)ですが、コンバーチブルはそれよりおそらく100ポンド(約45キロ)ほど重くなるのではないでしょうか。なお、0-100km/h加速については、6秒台前半と予想されます。

重量増により航続距離に多少の影響が及ぶ可能性はありますが、そもそもこの電動MINIの航続距離は大したものではありません。「クーパーSE」のハードトップモデルは28.9kWhのリチウムイオン電池を搭載、EPA基準で114マイル(約183キロ)の航続距離とされています。職場などから近所に住んでいる人には問題ない数値でしょうが、それ以外の人々にとってはやや微妙かもしれません。

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試乗を行ったプロトタイプですが、そのハンドリング性能には目を見張るものがありました。低くバランスの取れた重心がバッテリーの配置によってもたらされていますが、これが電動のMINIにとって願ってもない効果を発揮しています。

また今回は、「SE」のハードトップでオートクロス(※編集注:広い空き地にパイロンでコースをつくり、そのコースを周回してタイムを競う競技のこと)も行いましたが、実に爽快な走りでした。コンバーチブルではマイアミビーチの渋滞に巻き込まれもしましたが、それも同様に楽しい時間だったと言えます。

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回生ブレーキの感触は、ごく一般的なレベルです。ステアリングの反応も良く、正確です。MINIの電動コンバーチブルに欠けているものと言えば、ハードトップモデルの広々とした後部座席と積荷の収納スペースです。運転席は人間工学的にも理に適った素晴らしい設計であり、計器類や操作系も実に論理的な配置となっています。

MINIがこの電動コンバーチブル「クーパーSE」の市販に踏み切ったとしたら、航続距離の物足りなさと約3万8500ドル(約525万円)という価格さえ受け入れることができるのであれば、満足度の極めて高い車ということになるのではないでしょうか。

Source / CAR AND DRIVER
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です