elvis presley with guitar
Bettmann//Getty Images
『監獄ロック』(1957年)のプロモーションでポーズをとるエルヴィス。その手元には宝飾品が光る。

元妻プリシラも支援——エルヴィスのコレクションがオークションに

デビュー後瞬く間にトップスターとなり、貧困層から富裕層へと駆け上がったまさにアメリカン・ドリームの象徴であるエルヴィス・プレスリーが残した貴重なジュエリー・コレクションが、まとめてオークションにかけられることを「NBC」ら各報道が伝え、話題になっています。

元妻で、共に暮らした邸宅“グレイスランド”を全米を代表する観光地へと進化させた資産管理団体「EPE(エルヴィス・プレスリー・エンタープライズ)」の共同創立者(1982~1998年まではCEO)であり、実業家としての辣腕(らつわん)ぶりも発揮してきたプリシラ・プレスリーは、エルヴィスの遺品の偽物があまりに市場に横行しているのを見て嫌気がさしたようで、このオークションを支持しています。

彼女いわく、「全く本物ではない製品があまりにも多く出回っていて、それが心配なの…」とのこと。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Elvis Presley - '68 Comeback Special (50th Anniversary Edition) (Official Teaser)
Elvis Presley - '68 Comeback Special (50th Anniversary Edition) (Official Teaser) thumnail
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宝石をちりばめた金の指輪、カフスボタン、時計、チェーンなど200点が、このたびGWSオークション(競売品一覧)によって集められました。またその中には、1968年12月3日にNBC-TVで放送されたあの伝説のテレビ番組『'68カムバック・スペシャル』(正式名称は『ELVIS』。長期休業後7年ぶりに舞台になった番組)で、プレスリーが弾いたギターも含まれています。

品物の多くはプレスリー夫妻からマネージャーのトム・パーカー大佐(以降、パーカー)へ贈られたものであり、その後売り払われるなどして行方がわからなくなっていたものをこつこつと買い戻してきたプリシラから提供されたものになります。

オークション
United Archives//Getty Images
1990年、ドイツ・ハンブルグで開催されたエルヴィス・プレスリー・フェスティバル「Ausstellung zum Elvis-Presley-Festival in Hamburg」に伴う展覧会で披露されたジュエリーの数々とピストル。

プリシラは「ロイター」に対し、「確かに思い出がよみがえりますね」と語りながらこう付け加えます。

「パーカーはすでに必要なものはすべて持っていたので、エルヴィスは彼に何を贈るべきわからなくなっていました。そこで考えたエルヴィスは、パーカーへの贈り物はジュエリーにすることに決め、購入したりオーダーしたりを繰り返していました。それをエルヴィスと私は、お決まりのジョークのように楽しんでいましたね」、と言います。

元妻プリシラも支援——エルヴィスのコレクションがオークションに

プリシラは晩年、プレスリーのバックバンドとして貢献したリズムセクションを形成したTHE TCB BAND(TCBバンド)のロゴデザインを含め、アーティファクトの数々もデザインしていたので、それらのアイテムの保護のための活動でもあると述べています。

ちなみに 「TCB」とは、エルヴィス自身が好んで使っていたワードで、“Taking Care of Business”の頭文字をとった略になります。 彼の自伝(原書)の中に、「TCB」を好んで使っていたとつづられています。これはアメリカで1960~1970年代に流行っいた言葉らしく、アフリカ系アメリカ人の俗語で「やるべきことをきちんとやる」といった意味で使われていたフレーズですが、この言葉を格言のように使い始めた当時、エルヴィスはアーティストとしての復帰をかけ『'68カムバック~』をはじめとする仕事に取り組んでおり、「TCB」が彫られたジュエリーを贈られたTCBバンドやメンフィス・マフィアと呼ばれた彼のスタッフチームは、彼をビジネス(business)上で支え、ケア(taking care)してくれる大切なパートナーでもありました。

8th annual johnny ramone tribute
Jason LaVeris//Getty Images
プリシラ・プレスリー(Priscilla Presley)。2012年撮影

最後にプリシラの言葉から、このオークションに積極的に支援している理由を再確認しましょう。

「まったく本物とは思えないような商品がたくさん出回っていて、心配になりました…これらの品々が本当に大切にしてくれる人、愛してくれる人の手に渡されることをこの目で確認したいのです」。