『エスクァイア』US版のクリエイティブ・ディレクターであるニック・サリバンが、お届けするコラム「Dialed In」へようこそ! 時計業界で起きているさまざまな出来事や最重要ニュースをお届けしています。
「オカバンゴ・デルタ」とは南アフリカと接する国ボツワナ北部にある湿地帯で、2014年に世界遺産に登録された世界最大の内陸デルタ(三角州)を形成しています。そそしてそこは、野生動物にとって貴重な水場となっています。
腕時計メーカーの「オリス(Oris)」と言えば、すぐに思い浮かぶのは「ダイバー」の一語ではないでしょうか。1904年、スイスのヘルシュタインで生まれた歴史ある老舗ですが、ダイバーのための機能的な腕時計をつくり続けてきたことで有名です。
その一方で、特にパイロット用の腕時計に対する熱意でも良く知られています。1938年に生まれた「ビッグクラウン(Big Crown)」は、1910年前後の航空技術開発の黎明期に誕生した数々の腕時計の伝統を引き継ぐモデルとして愛されてきました。そして現在も「ビッグクラウン プロパイロット(Big Crown ProPilot)」として、機能的デザインを備えた本格的なスイス時計として、魅力的な価格で提供し続けています。
このたび、アフリカ・ボツワナ共和国にある世界遺産であり、世界最大の内陸デルタ(河口付近に形成される三角州)である「オカバンゴ・デルタ(Okavango Delta)」の遠隔地で、緊急医療を行うために2011年に開始されたプロジェクト「オカバンゴ航空医療レスキュー隊(Okavango Air Rescue=O.A.R.)」の10周年を記念して、プロパイロットに特別エディションが登場しました。
アフリカでも最も多様な動植物の生息地のひとつとして知られる「オカバンゴ・デルタ」ですが、人里を離れた土地であり、陸路からの到達が不可能な場所も数多くあります。そこでスイス人企業家クリスチャン・グロスとドイツ人医師ミシャ・クラックはこの事業を立ち上げ、デルタ地帯に暮らす5つの民族(それぞれが独自の言語を持つ、異なる民族です)や観光客のために緊急避難や医療支援のサービスを続けてきました。
クリスチャンは実業家であると同時に自然保護活動家でもあるということで、これまでアニマル・マネジメント・コンサルタンシーやアラブの絶滅危惧野生動物繁殖センターなどの環境保護団体を設立してきました。そしてミシャは、医師として国際赤十字やスイスの航空レスキュー隊レガでの任務をはじめ、幅広い経験を持つ人物です。
そんな二人は2011年にボツワナに移り住み、それぞれの経験を生かして、個人資金による民間団体としてオカバンゴ航空医療レスキュー隊(Okavango Air Rescue=O.A.R.)を設立。総合病院とともに、ヘリコプターと固定翼機による質の高い医療サービスを地域住民とボツワナを訪れる旅行者たちに提供し続けています。
そして、「対処が優先、清算は後追い」のポリシーで支援にあたるO.A.R.のおかげで、地元民であれ旅行客であれ、支払い能力とは無関係に高い医療サービスを受けることができるているのです。この事業は、デルタ地帯を訪れる旅行客からの資金提供により支えられている、パトロンサービスでもあるのです。
2011本限定での販売となった「オカバンゴ エアレスキュー(Okavango Air Rescue)」ですが、なにより目を引くのは3Dエッチングで施されたグリーンの文字盤です。
デルタ地帯で見られる、葦(あし)を模したレリーフとなっています。また、このモデルのために特別につくられたグリーンのストレッチストラップは、「エリカズオリジナルズ(Erika’s Original)」特製で、実によくマッチしています(ストレッチストラップであれば、夏場にも快適)。植物性染料で仕上げられたなめし革製のレザーストラップと、サファリ風の折り畳み式レザーポーチもオプションとして用意されています。
【SPEC】
- ケース径:41.0mm
- ケース素材:マルチピース ステンレススティール
- ストラップ:オリス特製エリカ社グリーンテキスタイル、ブラウンレザーストラップ付属
- 防水性:10気圧(100m)
- ムーブメント:自動巻き、Cal.Oris 751(SW220-1ベース)、38時間パワーリザーブ、毎時28,800振動(4Hz)、26石
- 仕様:時・分・秒・日付表示、グリーンダイアル、ファインタイムデバイス、クイックデイトチェンジ、ケースバックに特別刻印
- 限定:2011本、レザー製トラベルポーチ付属
- 価格:30万8000円(税込)
- 発売予定:2021年8月下旬
Source / Esquire US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。