※本記事は、「エスクァイア」UKの英国人ジョニー・デイヴィス(Johnny Davis)による寄稿です。


1970年代を象徴する“ラグジュアリー・スポーツウォッチ”に対する世間の関心が冷める気配は、いまのところ全くと言っていいほどありません。そう、あのスティール製の「ブレスレット一体型スポーツウォッチ」の大流行です。

このトレンドに乗り遅れまいとするブランド各社は、オリジナルモデルの復刻や、50年前のトレンドをデザインに取り入れた新作時計の発表に余念がありません。

しかし、そんな昨今のトレンドを注視する熱心な時計マニアにとってさえ、「ピアジェ」がその流れに加わるか否かは、予想の難しい問題でした。

時代の象徴と言える「ピアジェ ポロ(Piaget Polo)」

オリジナルの「ピアジェ ポロ」の誕生は、1979年にまでさかのぼります。当時の“ラグジュアリー・スポーツウォッチ”の潮流に則ったデザインではありましたが、ゴールドにブラックのストライプという、思わず目を見張るようなデザインの文字盤(ダイアル)が異彩を放つ、まさに異色の1本でした。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

クリケットのボールとちょうど同じ重量であり(=クリケットボールの重量は156~163グラム)、当時において大流行したクオーツ式ムーブメントが採用された「ピアジェ ポロ」でしたが、ピアジェの売り上げの実に3割以上を占めるヒットとなりました。

“The entire Polo philosophy can be summed up in one sentence: it’s a watch bracelet rather than a mere wristwatch” この『ピアジェ ポロ』に込められた哲学をひと言で表すとするならば、『単なる腕時計などではなく時計を備えたブレスレットである』ということだ」と語った、イヴ・G・ピアジェ氏(『ピアジェ』の4代目で社長を経て会長に就任)の言葉は有名です。

今回の「ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー オブシディアン」(=「Obsidienne」は「黒曜石」を意味するフランス語)のリリースにより、その卓越した技術力がいまだ健在であることが証明されたと言えるでしょう。

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曜日や日付、年を正確に表すべく設計された「パーペチュアルカレンダー」モデルは進化を遂げ、時分表示はもちろんのこと、6時位置のムーンフェイズ表示、12時位置の月表示、9時位置の日付表示が、絶妙な美しさで配置されています。

また、溶岩により形成された火山ガラスに含まれる、銀色に輝く黒曜石を文字盤に用いることで個性をさらに際立させており、それこそが今回の新作の最大の特徴と言えるでしょう。

脆性(ぜいせい)と強度とをあわせ持つ黒曜石ですが、外科手術用のメスの刃から、テクニクスのターンテーブルのキャビネットまで、さまざまなものに使用される鉱石です。

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ホワイトゴールドにブルーサファイアを添えた「ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー オブシディアン」のストラップは、贅沢なブルーアリゲーターです。

普段使い用の時計とは呼べないかも知れません。しかし、他社と同じようには1970年代回帰のトレンドに乗らないという、その確固たる姿勢こそが「ピアジェ」の信念を物語っているのでしょう。つまり、特別な時計であるということです。

Source / Esquire UK
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。