グラスヒュッテ・オリジナル
―― その名に込められた
大いなる歴史

グラスヒュッテ・オリジナルは1845年の創業以来、機械式時計の製作伝統を一度も途絶えることなく継承し続ける真のマニュファクトリーです。その真摯かつ情熱的なものづくりへの姿勢は、“伝統を守り続ける”匪石之心(ひせきのこころ)だけでなく、同時に“革新的な進化を目指す”探求心”にも表れています。

そもそもは、ドイツ時計の聖地とも言えるドイツ東部ザクセン州の小さな街・グラスヒュッテに本部を構える時計メーカーに始まります。やがて街の産業振興のため、フェルナンド・A・ランゲが1845年に開設した時計工房を起点に、ドイツの時計ブランドがそこに集まりGUB(Glashütter Uhrenbetriebe/グラスヒュッテ・ウーレンベトリーベ)と呼ばれるひとつの傘下に統合されます。

そうして次第に多数の時計工房やパーツ製作所が街に建設されるようになり、優れた技術者と精密な時計が生み出される時計の一大生産地として発展。これがザクセン州の時計産業の基盤となって、すぐにグラスヒュッテの時計は世界的な名声を得るにまで至ります。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Glashütte Original - On the trail of the Original
Glashütte Original - On the trail of the Original thumnail
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2度の世界大戦を経験すると、そんなグラスヒュッテにも大きな影りが…街の住民はそこで大きな正念場を迎えることになりますが、残った時計職人たちを中心に街の住人たちは困難な政治・経済状況に屈することなく、匪石之心と探求心をもってその職人技にいっそうの磨きをかけます。

そしてベルリンの壁が崩壊し、ドイツの再統一された後の1990年10月16日にはGlashütter Uhrenbetrieb GmbHが商業登記されます。続いて1994年に、正式なブランド名を「グラスヒュッテ・オリジナル」として今日に至るのでした。

さらにその歴史を詳しく知りたい人は、公式サイトへ。

その歴史の奥深さに
ワクワクする躍動感を付与した
気になる新作

現在では、「パノ」「セネタ」「ヴィンテージ」「スペシャリスト」「レディ」の5つのコレクションをメインに優れた時計を展開。白鳥の形をしたスワンネック緩急調整パーツや細かい彫金装飾などの美しいデザインと、ドイツの伝統的な時計づくりの匠を継承しながら自社で時計の製造を一貫して行うマニュファクチュールブランドとして、世界でも一線を画す存在となっています。

「使用するパーツは、95%以上が自社で製造している」とのこと。つまりムーヴメントのみならず、優れたケースメーカーと文字盤メーカーを傘下に収めたことで、内外装のほとんどをドイツ国内でまかなっているのです。そんな高い自製率を得たことで、より際立った個性も「グラスヒュッテ・オリジナル」の強みとなっているというわけです。

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Glashütte Original
2023年の新作に中で、エスクァイア日本版スタッフOが注目したのが、この「シックスティーズ・スモールセコンド」です。225万5000円
公式サイト
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筆者(編集スタッフO)が2023年の新作時計の中でひと際ほれ込んだのが、1960年・1970年代のクラシカルなデザインをインスピレーションにつくられた“アイコンウォッチ”とも称される「ヴィンテージ」コレクションからの新作モデル「シックスティーズ・スモールセコンド」。その名のとおり、60年代をデザインモチーフとしたタイムピースです。

まずそこで、食い入るように見つめてしまったのが文字盤です。「12」時と「3」時、そして「9」時の3カ所に配置された数字のフォントとともに、6時方向にあるスモールセコンドが織りなす絶妙のバランス…その美しさはもう感動の領域…。

変わりゆく時代の躍動を
豊かに感じさせるデザイン

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そこには、世界の概念に対してダイナミックな変革をもたらしたとされる60年代に沸き立った独創の薫りが、現代的な解釈で昇華された絶妙のニュアンスとなっているのが感じ取れるのです。

60年代にはカルチャーシーンで、さまざまな変革が起こりました。特に音楽シーンではビートルズの登場するとすぐに若者の心をとらえ、一気に“ロック・ミュージック”がメインストリームとなります。一方で米西海岸の“サイケデリック・ムーヴメント”などのカウンター・カルチャーの象徴としての機能も担い、時代の流れと呼応しながら表現の幅を広げて若者の衝動は芸術の高みへとさらに進化していくのです。

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アートシーンでもリチャード・ハミルトン、エドゥアルド・パオロッツィらが参加する集団「インディペンデント・グループ」に集うアーティストたちによって“ポップ・アート”という言葉が生まれ、これに続いてアメリカでもアンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインらが隆盛を極めます。建築シーンにおいても、「歴史」や「伝統」といったものを参照するのではなく、あくまで部品として扱おうとする「アドホック」なる潮流は盛り上がります。またファッションシーンで言えば、ミニスカートやベルボトムやタイダイ染めなど…。

そこには、自己表現や変革への衝動そして視野をワールドワイドに広げることが、何よりも重視されていた時代…そんな60年代の価値観が「グラスヒュッテ・オリジナル」の着想の源となっていることが具体的に身体に伝わってくるルックスなのです。

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Glashütte Original

丸形ケースの3針モデルがそろう「シックスティーズ」シリーズには、これまでクロノグラフ、パノラマデイト、そしてカラフルな文字盤を配した限定品がラインアップされていました。どれもクラシックさを新鮮に表現したデザインで、洗練されたレトロ感にほれ込んだ愛好家も少なくなかったでしょう。

ですが、この新作「シックスティーズ・スモールセコンド」にはグラスヒュッテ・オリジナル初のスコールセコンドが採用されています。つまり、6時位置に独立した秒表示を備えた3針モデルとなっているのです。

(素材となる溶解液に文字盤の地金を浸し、メッキ加工する)ガルバニックシルバーの文字盤、そこに記された1960年代独特の書体を用いたインデックスや数字、さらに(同心円状の溝を付ける装飾手法)レコード引きが施されたスモールセコンドで構成されたルックスは、ローズゴールド製の42mmケースというフレームで飾られた名画のように、静かながら圧倒的な存在感を擁しています。

そして、両面無反射コーティングのサファイアクリスタルからのぞく、文字盤や長針の緩やかな曲線によるドーム形状には、多くの人が感動とともに深い愛着を感じるに違いありません。

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「シックスティーズ・スモールセコンド」225万5000円
公式サイト


言うまでもなくその内側には、自社工房で入念な手作業によって製造された自社製自動巻きムーブメント「キャリバー 39-60」が組み込まれています。毎時2万8800の振動数で、時、分、スモールセコンドの各ディスプレーを確実かつ正確に駆動させます。

またそれぞれのパーツも、グラスヒュッテ・ストライプ・フィニッシュ(グラスヒュッテ・リブ仕上げ)や面取りされたエッジ、ポリッシュ仕上げのネジなど、個々に洗練された装飾仕上げが施されています。これらの優美なディテールは、スケルトンローターやブランドを象徴するダブルGのロゴとともに、サファイヤケースバックから具(つぶさ)の眺めることができるでしょう。

他とは一線を画する
愛おしいほどの
独創性を放つ新作

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Glashütte Original
マットグリーンのルイジアナ産アリゲーターレザーストラップにより、このモデルのスタイリッシュさはさらに優美なるたたずまいに。その深みのある色合いは、レトロ感の中にフレッシュさをもらたしてくれるでしょう。

この新作の「シックスティーズ・スモールセコンド」は、2023年6月よりグラスヒュッテ・オリジナルブティックや世界各国の正規販売店にて販売がスタートしています。

価格は225万5000円と、通好みの隠れた存在として名高い時計ブランドとしては少々厳しい価格かもしれません。ですが、この記事を拝読していただき、このブランドの歴史と気概を理解していただければこれにも納得してくれるはず。

近い将来、この新作時計はグラスヒュッテ・オリジナルを代表する名作中の名作…まさに「アイコンウォッチの中のアイコンになる」とエスクァイア日本版編集部は予想しています。そう、その投資額以上の価値ある名作になる可能性だって…。ぜひとも、これを機に手に取ってみてください。

Sixties Small Second
シックスティーズ・スモールセコンド
(Ref:1-39-60-01-01-04)

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Glashütte Original

【SPEC.】
ケース径/42.0mm
ケース厚/12.4mm
ケース素材/ローズゴールド
防水性/3気圧
ストラップ/マットグリーンのルイジアナ産アリゲーターレザー、ローズゴールド製尾錠
ムーブメント/自動巻き、Cal.39-60、毎時28,800振動(4Hz)、30石
仕様/時・分・秒(スモールセコンド)表示、パワーリザーブ表示、ガルバニックシルバーオパリン文字盤、サファイアクリスタルケースバック
価格/225万5000円

●お問い合わせ
グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座
TEL 03-6254-7266
公式サイト