愛しの伊製スーパーカー10台 ― フェラーリからランボルギーニ、そしてパガーニまで
写真は世界5台限定で、1台なんと3億円超のスーパーカー「パガーニ ゾンダ "レボリューション"」。
あなたは、イタリアのスポーツカーは好きですか? いや、絶対に好きですよね。幼いころから、このフォルムを見ただけで胸が高鳴りませんでしたか?
その問いを1000人にしてみれば、大抵、この10台に絞られます。編集部の個人的な感情抜きで、ここに人気のイタリアンスーパーカーを10台紹介しましょう。
この10台は、ある人からすれば、「嫌い」という人もきっといることでしょう。いや、むしろ間違いなく「嫌い」と言い放ち、批判する人もいるに違いありません。それが、イタリアンのスポーツカーの魅力でもあるのです。
個性を追求したクルマたちは、愛する人は深く愛し、愛せない人はまったく許せなくなる…まるで、魔性の女性ような存在なのでは?と思うのです。しかし、嫌いな人はつまりは、その車が気になってじっくり分析したから大嫌いになるのです。なので、それがいつひっくり返って、「ゾッコン」になるか…まったくもって予想できません。
そんなエッジーなスポーツカーの中でも、人気の10台をぜひご覧ください。
フェラーリ「288GTO」
1947年に創業したイタリアの自動車メーカーであるフェラーリが、1984年から1986年にかけて製造・販売したリアミッドシップエンジン・後輪駆動のスポーツカーになります。
「288GTO」の発表は、1984年開催のジュネーブモーターショー。70年代後半に人気車となっていた「308GTB」をベースに、同じくピニンファリーナがボディデザインを担当しました。
当初は競技参加を前提として開発され、競技車両規定グループBのホモロゲーションに沿って製作されエンジン搭載方式が縦置きに。そして軽量化のため、一部外板パーツにカーボン樹脂製のものが使われるなど大改造を図り、外装・内装ともにほとんどのパーツが専用の設計になっています。
1986年の事故によりグループBが廃止となったことを受け、ラリーおよびレースに参戦することはなかった。そしてフェラーリは、生産モデルへと切り替えたのでした。総生産台数は272台。
ランボルギーニ 「ミウラ」
「ミウラ」こそ、世界初のスーパーカーだと豪語する人はたくさんいます。ではなぜ、そう、すんなりと言えるのでしょうか?
それはV型12気筒DOHCエンジンをキャビン後ろに、いわゆるミッドシップに横置きしたことに他なりません。実に見事に見えるのです。当時、12気筒の大排気量をミッドシップに積んだクルマの前例はありませんでした…。 そしてのちに、各メーカーはこれを真似たともいえるスーパーGTを登場させたのですから…。
フェラーリ「458スペチアーレ」
「458スぺチアーレ」よりも、ターボエンジンを搭載している「488 GTB」のほうが高速ですが、ここまでの領域となると、それは問題ではないようです。
2013年8月に、この「458スペチアーレ」を発表されます。
先に発表された「458イタリア」が570PSに対し、こちらは35PS増えて「605PS」に。0-100km/h加速は「458イタリア」の3.4秒に対して、こちらは3.0秒と短縮されています。
限定生産モデルではありませんが、英BBCの人気自動車番組『トップ・ギア』の司会の一人として人気を得た自動車評論家ジェームズ・メイが、イギリスに割り当てられたオーダー数が満了となった締め切り後に注文。いわば彼のために1台増やされています。
ここで言いたいのは、口うるさい評論家も無理を承知(?)でお願いしてしまうほど、完成度を高いクルマということです。
パガーニ「ゾンダ」
パガーニとは、スーパーカーのみを生産するイタリアの自動車メーカー。創始者は、アルゼンチン出身でランボルギーニに在籍していたデザイナーであるオラチオ・パガーニ(Horacio Pagani )。
創設は1992年で、約7年かけて初号車となる「ゾンダC12」を開発。そして、1999年のジュネーブモーターショーで発表しました。そこで、卓抜したカーボン成型技術、独特の車体と圧倒的な性能が好評となります。さらには高額な価格がプラス効果に働いて、発売と同時に世界の注目を浴びるようになります。
そして2011年には、「ゾンダ」の後継者となる新たなモデル「Huayra(ウアイラ)」が発売開始に。こちらは「ゾンダ」と同様に、AMG製V型12気筒エンジンを搭載し、さらにツインターボによる過給も。トランスミッションは近年高級スポーツカーにおいては、主流となっているデュアルクラッチ式ではなく7速シーケンシャルを採用。ドアに関しては「ゾンダ」と大きく異なり、ルーフ部分にヒンジがあるガルウィングドアと、さらなる驚きをクルマ業界へ放つことに…。
ですが、多くのクルマファン、スーパーカーファンの心の中には、まだまだ、この「ゾンダ」が特別なポジションを保持しているようです。
「ゾンダ」の製造は1999年~2010年と、もう、昔と言ってもいいほどの時間は経っています。なのに、あの独特で革新的なフォルム、そして炭素繊維のボディ、壮観にデザインされたインテリア、そして幻想的な響きを奏でる7.3リットルAMG V12…は、発売当時の感想のまま。これまで観てきたイタリア車の中でも最高峰へと一挙にランクインしたときの心境そのままで存在しているようです。
最初のページで紹介している「パガーニ ゾンダ "レボリューション"」は、トラック専用のスペシャルモデルとして開発されたもの。究極のエアロダイナミクス特性の最適化がはかられ、パワーユニットにはAMG製M120型6.0リッターV型12気筒エンジンを搭載。自然吸気エンジンながら、800馬力を叩き出します。
フェラーリ「F50」
ざっくり言えば、フェラーリが創設50周年を記念して製作したスポーツカーになります。
当然、40周年を記念して製作した「F40」の後継車種として、1995年(50周年となる1997年を前に)に発売されました。開発コンセプトに掲げられたのは、「公道を走るF1」です。これはエンツォ・フェラーリの息子であるピエロのアイデア、「F1のエンジンを積んだロードカーを創る」というシンプルなコンセプトから実践したものになります。
リムーバブルのトップゲート型マニュアルトランスミッション、そして素晴らしい4,698ccのV型12気筒DOHCエンジンは、ドライバーをF1パイロットの気持ちにさせてくれました。
このフェラーリ「F50」は、数あるフェラーリのモデルの中でも最も望ましいフェラーリのひとつと言っていいのです。
ざっくり言えば、フェラーリが創設50周年を記念して製作したスポーツカーになります。
当然、40周年を記念して製作した「F40」の後継車種として、1995年(50周年となる1997年を前に)に発売されました。開発コンセプトに掲げられたのは、「公道を走るF1」です。これはエンツォ・フェラーリの息子であるピエロのアイデア、「F1のエンジンを積んだロードカーを創る」というシンプルなコンセプトから実践したものになります。
リムーバブルのトップゲート型マニュアルトランスミッション、そして素晴らしい4,698ccのV型12気筒DOHCエンジンは、ドライバーをF1パイロットの気持ちにさせてくれました。
このフェラーリ「F50」は、数あるフェラーリのモデルの中でも最も望ましいフェラーリのひとつと言っていいのです。
デ・トマソ「パンテーラ」
アルゼンチン出身のアレハンドロ・デ・トマソが1959年、イタリアのモデナに設立した自動車メーカー「デ・トマソ」。
そんな「デ・トマソ」の3作目のスーパーカーとなるのが、この「パンテーラ」になります。「パンテーラ」とは、イタリア語で「豹」の意味。豹のように美しく、低い姿勢で疾走するイメージでしょうか…。
1960年代を代表するレーシングカー「フォード GT40」へのリスペクトを込めて誕生したこのクルマ、イタリア製のボディにアメリカ製の大排気量エンジンを搭載するという、デ・トマソとフォードによる伊米合作のスーパーカーになります。フォードの希望により、この種の車としては初めて大量生産性を重視して製作されました。ちなみにエンジンは、フォード製の排気量5.8リッターの水冷V型8気筒OHVエンジンを搭載。330馬力、トルク45kg/mを発生させますが、特にチューニングもされずされたものではなく、コストダウン重視でほとんどノーマルのままミドシップに搭載していました。
このエキゾチックなパワートレインが魅力と言う人もいれば、欠点だと言う人も多かったようでした…。
ランボルギーニ「ウラカン ペルフォルマンテ」
「ウラカン ペルフォルマンテ」は、ライバルたちであるフェラーリ「458スペチアーレ」やマクラーレン「675LT」といったスーパーカーにモデルに対しての、ランボルギーニからの答えになります。
エンジンは90°V 型10気筒、 IDS+MPI デュアルインジェクション。5.2リッターで最高出力は631馬力であり、0-100km加速は2.9秒、最高速度は325km/hということです。
2016年10月5日には、ニュルブルクリンクで市販車最速の6分52秒01の記録を叩き出しました。しかし2017年9月に、ポルシェ 「911 GT2 RS」にこの記録を破られ、現在は2番目に速い市販車となっています。
フェラーリ「F40」
「F40」はフェラーリが創業40周年を記念して、1987年に製造した特別車で、リアミッドシップ・後輪駆動の2シータースポーツカーです。公称となる最高速度は324km/h。発売当時としては、世界最速を誇っていました。
前出のとおり「F40」は、フェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリ氏がその生涯の最後に、同社の「そのままレースに出られる市販車」という車作りの基本理念を具現化したものになります。歴代のフェラーリの中でも、根強い人気を誇るモデルとして有名。ボディデザインは、もちろんピニンファリーナによるものであり、開発時のコードネーム「LM」は、ル・マン24時間レースを意味します。
そして、「F40」を運転したことのある人は誰もが口にします…「フェラーリのなかで一番いいクルマだ」と…。Tipo F120A型2,936ccの排気量を誇るV型8気筒DOHC ツインターボから繰り出す478馬力、卓越したバランスをもったシャシー、そして80年代の粋を集めて描かれた曲線による外観、さらにはポップアップヘッドライト…、目の前にしたら、きっとため息が出るはずです。
マセラティ「MC12」
フェラーリ「エンツォフェラーリ」をベースとしたマシンを、FIA GT選手権に導入する予定だったマセラティ。しかし、諸事情でキャンセルすることになったといいます。そこで、その代わりに「エンツォフェラーリ」の構成部を流用したレースカーを開発することに。その結果誕生したのが、この「MC12」になります。
当初レースカーの名前は「MCC(Maserati Corse Competizione )でしたが、のちに「MC12」に改められます。そして2004年、マセラティ創立90周年を記念して、ジュネーブモーターショーで発表されました。
エンジンは、「エンツォフェラーリ」用のエンジンをベースにした6.0L V12 DOHCエンジンを搭載しています。最高出力は632PS/7,500rpmで、トルクは66.5kg·m/5,500rpmを発生させます。0-100km/h加速3.8秒で、最高速度330km/h。
ホモロゲーションモデルでもありますが、インテリアは豪華。マセラティブルーに染められたレザー、アルミ・カーボン素材で構成。シートはスパルコ製のセミバケットシートを採用しています。ちなみにエアコンは装備されていますが、カーステレオはありません。
「MC12」は1台約1億円といわれ、2004年に30台(うち5台は販売用ではない)、2005年に25台が生産。ちなみに日本では、保安基準に適合しないため現状ではナンバー登録して公道走行はできません。しかし、基準に合わせで変更すれば、登録できるとのこと。
ランボルギーニ 「カウンタック」
「ミウラ」と同様に、多くの人々はこの「カウンタック」をスーパーカーの代表的モデルのひとつと考えていることでしょう。日本ではとくに…。日本でスーパーカーブームが巻き起こった70年代後半には、日本全国で多くのイベントが開催されました。そこには必ずと言っていいほど、この「カウンタック」が登場。それを観にいった思い出が刷り込まれている方も多いはずです。世代的には上になりますが…。
この「カウンタック」は、ランボルギーニが1974年から1990年にかけて製造していたスーパーカーになります。 「Countach」の発音を可能な限り忠実にカタカナにすれば、「クンタッシ」になります。これはイタリア北西部ピエモンテ地方の方言で、「驚き」を表す言葉とのこと。
スーパーカーブーム時代には「最高速300km/h」という公称値が話題となって、ここに優位性と男のロマンを感じ、ファンになった方も多かったと思います。ですが実際には、1974年に発売が開始された市販モデル「LP400」の最高速は300 km/hまで届いていませんでした。
ボディは空力的に問題が多く、その対策としてLP400以降のモデルにはエアロパーツやオプションでリアウイングが装備されるようになりました。このリアウイングも少々問題があり…と、クセも強いのでしが、やはり、その男心も鷲づかみにする黄金比からできているかのような外見、そして、個性的なシザードアの存在によって、いまもなお愛され続けているキング・オブ・スーパーカーの1台なのです。
ミッドシップによる後方視界の悪さから、バックするときにはこのドアを上方に開け、上半身を外に乗り出すように後方を確認しながらバックする、いわゆる「カウンタック・リバース」に憧れる人も多いようです(笑)。そんな方は、このクルマを見ただけで笑顔が止まらないことでしょう。
From Road & Track
Translation / Esquire Digital
※この翻訳は抄訳です。