記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がEsquireに還元されることがあります。
記事中に記載の価格は、記事公開当時の価格です。
慢性疾患や病気と共存するセレブ15人「この病気は私の一部…」
多くのセレブたちは自身の名声をあえて活用し、それぞれの病気に関する知識や意識を高めようと活動しています。それはとても素晴らしいことではないでしょうか…。
憧れのセレブリティたちと言えでも、当然同じ人間なのです。そんなわけで、多くの人々にとって憧れの存在となる人々の中にも、日々付き合っていかなければならない「慢性的な病気」を抱えている者も少なくありません。
そんな彼ら彼女らは、毎日自らの難病と向き合い、その健康問題と戦っているのです。
そして、その上で同じ病気仲間のために募金活動をしたり…その病気に対する世間の意識を高めるよう活発な活動をしているのです。これはある種、「Noblesse Oblige(ノブレス・オブリージュ)」の一片とも言えるでしょう。
そこで今回は慢性的であったり、何らかの病気を抱えているセレブリティたち15名をご紹介しましょう。
トム・ハンクス:2型糖尿病
この名優トム・ハンクスさんは、「恐らく、私の過去のダイエット方法と若いころのライフスタイルが原因で、(2013年に)2型糖尿病と診断されることなったのだろう」と語っています。
新型コロナウイルスの感染が世界中で猛威を振るうなか、ハリウッド俳優トム・ハンクスがインスタグラムを通じて2020年3月12日、「自身と妻が新型コロナウイルス(COVID-19)に感染したこと」を明らかにしました。
2型糖尿病であると告白しているトム・ハンクスさん。
新型コロナウイルスについては、現時点でどのような人が重症化しやすいかは、十分なエヴィデンスもなく明らかにされてはいませんが、通常の肺炎などと同じように、高齢者や基礎疾患のある人のリスクが高くなる可能性があると言われています。
その基礎疾患の1つである糖尿病に関して、「日本糖尿病学会」は次のように発表しています。
「現時点では、糖尿病は他の基礎疾患と同じく、重症化のリスクの一つである可能性が指摘されています。ただし、アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control = CDC)のガイダンス(2020年2月12日付け)では糖尿病に加えて、高齢、呼吸器疾患、がん罹患、心不全、脳血管疾患、腎疾患、肝疾患、免疫不全状態、妊娠と幅広い疾患を重症化するリスクの可能性ありとされており、当初の症状が軽微であっても、これら基礎疾患がある場合には肺炎への進行が起こる可能性を念頭に起き、治療にあたるのが望ましいとされています」
◇「2型糖尿病」とは?
「国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター」によれば、「2型糖尿病」は血液中のブドウ糖(血糖)が正常より多くなる病気だと説明されています。初期のころは自覚症状がほとんどありません。ですが、血糖値を高いまま放置すると、徐々に全身の血管や神経が障害され、いろいろな合併症を引き起こします。またこの「2型糖尿病」は、すい臓から分泌されるインスリンの働きの低下、つまり「インスリンの作用不足」が原因で起こる傾向にあるようです。
また、「国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター」によると、この「インスリンの作用不足」には2つの原因があるそうです。
1つはすい臓の働きが弱くなり、インスリンの分泌量が低下するため(インスリン分泌低下)。そしてもう1つは、肝臓や筋肉などの組織がインスリンの働きに対して鈍感になり、インスリンがある程度分泌されているのに効きにくくなるため(インスリン抵抗性)だそうです。
アレック・ボールドウィン:ライム病
俳優ボールドウィンのライム病との戦いは、数年の間にそれぞれ違うダニに2回刺されたことから始まったそうです。ボールドウィンは、インフルエンザのような症状や異常に汗をかくということを経験談として話しています。
ちなみに「ライム病(Lyme disease またはLyme borreliosis)」とは、ノネズミや小鳥などを保菌動物とし、野生のマダニ(マダニ属マダニ)によって媒介される人獣共通の細菌(スピロヘータ)による感染症を指します。
国立感染症研究所によれば、19世紀後半より欧州で報告されていたマダニ刺咬後に見られる原因不明の神経症状で、1970 年代以降、アメリカ北西部を中心に流行が続いていると報告されています。マダニ刺咬後に見られる関節炎、および遊走性皮膚紅斑(ゆうそうせいひふこうはん)、良性リンパ球腫、慢性萎縮性肢端皮膚炎、髄膜炎(ずいまくえん)、心筋炎(しんきんえん)などがライム病の一症状であることが、現在明らかになっているそうです。
キム・カーダシアン:乾癬(かんせん)
リアリティー番組で、一躍大物スターの仲間入りを果たしたキム。彼女は、「皮膚に鱗(うろこ)のような赤い斑点がみられる自己免疫疾患症にかかっている」と打ち明けていました。また、彼女の母であるクリス・ジェンナーも乾癬(かんせん)だそうです。
この「乾癬」という病気は、皮膚の炎症症状を伴って慢性の経過をとる病気です。
「かんせん」という名前から「人から人にうつる」と誤解されやすいのですが、他の人に感染する病気ではありませんので、正しい知識をここで覚えておきましょう。皮膚症状の見た目や現れる場所は人によってさまざまです。が、頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざなど比較的外からの刺激を受けやすいところに出やすいという傾向もあるそうです。
典型的な症状は、皮膚から少し盛り上がった赤い発疹(紅斑)のうえに、銀白色のフケのようなもの(=鱗屑(りんせつ))がくっついてポロポロとはがれ落ちます。
また、高知大学の佐野栄紀教授が発表している「日本臨牀」によると、「乾癬になりやすい体質は遺伝すると考えられていますが、乾癬の家族内発症頻度(親や兄弟、祖父母に乾癬患者さんがいた場合の発症率)は5%程度といわれており、過度に心配する必要はありません」とのことです。
不必要に心配することなく、こちらも知識として覚えておきましょう。
チャーリー・シーン:HIV
米国の人気TV番組『チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ(Two and a Half Men)』でおなじみの人気スターは、2015年にHIVと診断されたことを世間に告白しています。
「今の私には責任があります。自分自身を良くすることと、他の人々を助けるということ…。今日、私たちがしていることで他の人たちを勇気づけ『ありがとうチャーリー』って言ってくれることを願っています」と、米NBCのテレビ番組『トゥデイショー』で語りました。
HIVについては、以前ご紹介した「『HIVのリスク』について正しく知っておくべき6つの事」という記事をぜひ確認してみてください。
ヒューゴ・ウィーヴィング:癲癇(てんかん)
映画『マトリックス』や『ロード・オブ・ザ・リング』の俳優と知られる彼も、13歳のときに「癲癇(てんかん)」と診断されています。彼は人生において起きた発作に関して、オープンに伝えています。
「WHO(世界保健機関)」によれば、「癲癇(てんかん)」とは「種々の成因によってもたらされる慢性の脳疾患であって、大脳ニューロンの過剰な発射に由来する反復性の発作(てんかん発作)を特徴とする」とされています。
また、「日本てんかん協会」によると、「てんかん」の原因は個人差がありますが、大きくは「症候性てんかん」と「特発性てんかん」に分けれられるそうです。
「症候性てんかん」とは、脳に何らかの障害や傷があることによって起こる「てんかん」で、例えば、生まれたときの仮死状態や低酸素、脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷をさします。
そして「特発性てんかん」とは、さまざまな検査をしても異常が見つからない原因不明の「てんかん」と言われています。
発症年齢は乳幼期から高齢期まで幅広く発病しますが、3歳以下の発病が最もおおく、80%は18歳以前に発病すると言われています。しかし近年、人口の高齢化に伴い、高齢者の脳血管障害などによる発病が増えてきていると「日本てんかん協会」が伝えています。
そして、「てんかん」のほとんどは「遺伝しません」と報告されています。一部のてんかんには発病に遺伝子が関係していたり、発作の起こりやすさを受け継ぐことが明らかになっているそうですが、そうした「てんかん」の多くは良性であり、治癒しやすいようです。
最後に「日本てんかん協会」は、「てんかん」に関して「不治の病ではありません」と伝えています。
「発症率100人に1人と言われているそうで、つまり、日本全国に100万人の患者がいると考えられます。現在の医療では、適切な治療で発作を70~80%の人でコントロール可能であり、多くの人たちが普通に社会生活を営んでいます。しかし2割の人は、薬を飲んでも発作をコントロールできない状態で、『難治性てんかん』と呼ばれるものもあります」とのことです。
病気は正しい知識をつけることが大切だと、改めて教えてくれます。
ベラ・ハディッド:ライム病
トップモデルであるベラもまた、自身の「ライム病」をありのまま告白しています。「いつも疲れていて、ベッドから数日起き上がることもできなかった10代のころが一番辛かった」と語っています。
また、2016年10月8日にライム病感染症を撲滅することを目指す団体「グローバル・ライム・アライアンス」がニューヨークで行ったガラパーティーに出席した彼女。母ヨランダ・フォスターも、何年も前からライム病で苦しんでいることを告白しました。
実はベラ、乗馬の名手であり、その実力は2016年リオ五輪を目指していたほどとのこと。残念ながら2012年から患っているライム病の影響で、オリンピック出場は断念せざるを得なかったことを告白しています。しかしながら今でも、乗馬を楽しんでいる様子をSNSで公開しています。
マイケル・フェルプス:ADHD(発達障害)
この五輪と世界水泳選手権の金メダリストであるフェルプスは、子どものころにADHDと診断され、集中力のなさと常にじっとしていられない性分のため、彼の教師は両親に対し、「何をやっても成功はしないだろう」と明言していたそうです。
そんな個人の見込みなど、彼の家族そして彼自身がものともせず、「水泳の怪物」として君臨し、最もメダルを得た五輪アスリートへと成長したのでした。生涯における世界新記録樹立は、なんと39回にもおよびます。
では、発達障害とは何でしょう? それは、生まれ持った発達上の個性(特性)によって、日常生活に困難をかかえている状態のことを言います。その症状は外見からは分かりにくく、周囲とのミスマッチから社会生活に困難が発生することがあるそうです。
日本の厚生労働省は、「発達障害の特性を『自分勝手』『わがまま』『困った子』などと捉えられてしまい、『親の育て方が悪い』『怠けている』と批判されてしまうことも少なくありません。得意・不得意ゆえの困難さは、特性に合わせた方法で関わり教育をしていくことで、周囲がその子の個性・能力・希望などを理解したうえで、その子に合ったサポートをしていくことが大切です」と啓発しています。
ジョージ・クルーニー:慢性疼痛(まんせいとうつう)
世界的にも、政治的言動も多く人道的活動を熱心である名優として知られるジョージ・クルーニー…。
そんな彼が、2005年映画『シリアナ』撮影中に重傷を負ったことは皆さんご存知でしょうか。『ハリウッド・レポーター』誌によれば、クルーニーが演じていたキャラクターが拷問を受けているシーンの撮影中、彼は椅子から倒れ、頭部が裂けてしまったのです。
その怪我はかなりの重症で、のちに彼は硬膜(こうまく=脳と脊髄を覆う3層の髄膜のうち一番外にある膜)まで避け、髄液が漏れてしまっていたことを知るのです。最終的には、2005年12月25日に手術を受けたものの、その後も慢性的な頭痛に苦しんでいるようです。
マイケル・J・フォックス:パーキンソン病
この名優の代表作はいったい、世界中で何億回観られているのでしょうか…いや、桁は兆にまでおよんでいるはずです。
マイケル・J・フォックスはこのパーキンソン病の根絶と、この病に対する人々の意識を高めることを目的として、自身でパーキンソン病の研究助成活動を始めます。そして、「マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団」を設立。また、自伝『Lucky Man(ラッキー・マン)』 を発売し、国際的にベストセラーに。その売上金も寄付するなど、大きな貢献をしています。
ウィル・アイ・アム:ADHD(発達障害)
ヒップホップのミクスチャ-グループで人気を得たグループ「The Black Eyed Peas(ブラック・アイド・ピーズ)」の創立メンバーであり、イギリスの人気オーディション番組『ザ・ヴォイス』の審査員も努めている彼は、これまでどのようにしてADHD(発達障害)と向き合い、そして、どのようにして彼の成長にこの病気が(良くも悪くも)影響を与えてきたのかを積極的に語っています。
そう、この病気こそが、彼に音楽を通じて「どのように自己コントロールをすべきなのか」を教えてくれたのです。
ボノ(U2):緑内障
U2のリードシンガーであるボノ。実は、彼の目は光に非常に敏感になるといった慢性的な状態のため、濃いサングラスを常用しているのです。
セレーナ・ゴメス :ループス(Lupus = 全身性エリテマトーデス)
「ループス=全身性エリテマトーデス」とは、全身のさまざまな部位・臓器に、多彩な症状を引き起こすという意味を持っています。
発熱、全身倦怠感などの炎症を思わせる症状と、関節、皮膚、そして腎臓、肺、中枢神経などの内臓のさまざまな症状が一度に、あるいは経過とともに起こってきます。その原因は今のところわかっていませんが、免疫の異常が病気の成り立ちに重要な役割を果たしています。
日本にも実は、約6~10万人程の患者がいると考えられています(「難病情報センター」参照)。
ゴメスはこの「ループス」との戦い、また、この病に対抗して生き延びるために、腎臓移植をしなければならなかった過去をオープンにし、この病気の啓発に努めています。
ニック・ジョナス:1型糖尿病
2018年8月、インド・ムンバイで、女優プリヤンカー・チョープラーと婚約セレモニーをおこなったニック・ジョナス。
彼は16歳でこの病だと診断されながらも、歌手として活動を続けていました。そして2015年に、慈善団体「ビヨンド・タイプ1」とともに1型糖尿病に対する世の中の意識を高めるために声を上げ続けています。
1型糖尿病とは、以前はIDDM、インスリン依存型糖尿病、小児期に起こることが多いため、小児糖尿病とも呼ばれていました。ですが、これは主に自己免疫によっておこる病気て。自分の体のリンパ球があやまって内乱を起こし、自分自身のインスリン工場、膵臓にある膵島β細胞、の大部分を破壊してしまうことで発病するものであることがわかってきました。
「生活習慣病でも先天性の病気でもありませんし、遺伝して同じ家系の中で何人も発病することも稀です。過去のウイルス感染がリンパ球の内乱のきっかけになっている場合が多いそうですが、自己免疫の病気で感染症ではありませんので、1型糖尿病が他人にうつることはありません」と、「日本IDDMネットワーク」に記載されています。
マジック・ジョンソン:HIV
元NBAバスケットボールの花形選手マジック・ジョンソンは、HIVポジティブであることを1991年に告白しています。
それ以来、彼はスポーツアナリスト、ビジネスマン、アクティビストとして活動。抗レトロウイルス療法が、健康的かつアクティブな人生へと導くことを支えているそうです。
《関連記事》
マジック・ジョンソン、ほほ笑みの魔術師【インタビュー】
「HIVのリスク」について知っておくべき6つの事