ケンブリッジ大学の研究チームが、画期的な研究結果を発表しました。
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Scientists Have Discovered A New Material Could Charge Your Phone Battery In Minutes
バッテリー切れとなった携帯電話を充電し、また使えるようになるのを待つほど退屈なことはほかにありません。
皆さんは充電残量表示のバーを見て、そこが空になっていたら、どのような気持ちになりますか?
多くの人は自らに哀れさを感じ、中には、それに気づかなかった自分のことなど忘れ、人を責めたり物に当たったりする人も少なくないでしょう。「お前は南海の孤島に迷い込んだぞ…」と、その画面は訴えているようにも思えるでしょう。でもそれは、「北海の孤島」ほどの極限さではないはずです…生きる死ぬかの問題でもないでしょう。でも中には、大きな仕事の交渉最中の人もいるかもしれません…。
でもそれは、冷静になったときに考えてば、自分自身の責任以外なにものでもありませんよね? 普段から細目にバッテリーチェックをして、事前に充電可能環境下で補うよう心掛けましょう。
しかしながら、そのときの環境とタイミングによって気をつけていても、この失敗を逃れることができないこともあるはずです。
ですが、少しばかりこの事態は好転の方向にシフトしているようです…この問題の解消に役立ちそうな複数の素材を、ケンブリッジ大学の研究者のチームが見つけ出したとのこと。この素材を使ったバッテリーが実用化された場合、ほんの数分間で、携帯電話の充電を完了できるようになる可能性があるそうです。
充電速度の高速化に加え、バッテリーの駆動時間も長くなる可能性がある
科学誌「ネイチャー」に論文が掲載されたこの研究によると、バッテリーの素材にニオブとタングステンの酸化物を使うことで、通常の場合に比べて数百倍も高速に分子が動き回るようになるそうです。
通常、バッテリーの充電スピードには限界があります。簡単に言えば、正の電気を帯びたリチウムイオンと呼ばれる分子が負の電気を帯びた電極に向けて、移動できる速度が速いほど、バッテリーの充電スピードは速くなります。また、携帯電話やその他の機器のバッテリーに使われているセラミック製の電極は素早いものの、これらはそれだけ急速に充電できるということになるのです。
しかし、ニオブとタングステンの酸化物は違います。
1965年に発見されたこの酸化物はオープンな構造をしており、それによってリチウムイオンは極めて速いスピードで負の電気を帯びた電極に向かって進むことが可能となっています。この素材を利用した次世代のバッテリーでは、充電速度の高速化に加え、蓄電能力が向上させ、そしてバッテリーの駆動時間も長くなる可能性があるそうなのです。
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さらに、「この素材は価格も安く、合成するのも簡単だ」と、この研究論文の著者の一人であるケント・グリフィス氏は語っています。そして、「これらの化合物は簡単につくれ、ほかに化学薬品や溶剤も必要としない」とも「ガーディアン」紙に語っているのです。さらに研究チームでは、この技術が電動の自動車やバスに劇的な変化をもたらす可能性があるとも考えています。
電脳社会となった現在、最も不安材料のひとつでもあった「バッテリー持続時間に対しての不満や不安」が、この発見によってなくなる日が見えてきたのではないでしょうか…。
By Tom Nicholson on July 28, 2018
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ESQUIRE UK 原文(English)
TRANSLATION BY Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊