[目次]

▼ 家庭用3Dプリンターで何をつくれるのか?

▼ 家庭用3Dプリンターの選び方

▼ おすすめの3Dプリンター7選

▼ まとめ


3Dデータを元に、立体物を造形できる3Dプリンター。ここ数年で技術革新が進み、購入しやすい価格帯の製品が続々と登場しました。以前はプロ向けのツールでしたが、現在は家庭用として3Dプリンターを購入、活用するユーザーが増えています。

ここでは、3Dプリンターでつくれるものや選び方を解説。さらに初心者から上級者まで幅広いニーズに対応できる、熱溶解積層方式と光造形方式のおすすめ製品をご紹介します。

各製品のプリントサイズ、利用できる素材、スライサーソフト、本体サイズ・重量などを比較検討することで、用途や予算に合った最適な1台を見つけられるはずです。

家庭用3Dプリンターで何をつくれるのか?

3dプリンター
timandtim//Getty Images

3Dプリンターは、立体物を造形できるプリンターです。家庭用として販売されている3Dプリンターは細い線状の樹脂(フィラメント)を熱でやわらかくして積み上げていき、造形物を作成する仕組みになっています(樹脂は冷えると固くなります)。

雑貨などの小物をつくれるほか、なくしてしまった家具のパーツや製品化する前のプロトタイプをつくることもできます。中には、オリジナルのフィギュアなどを作成して販売している人もいます。樹脂でつくれるものであれば、工夫次第でさまざまな活用が可能です。

家庭用3Dプリンターの選び方

3dプリンター
Jakub Zerdzicki//Getty Images

プリントできるサイズをチェック

3Dプリンターは製品によって、プリントできる上限サイズが決まっています。小型の家庭用3Dプリンターですと、10cm四方のものが限界というものもあれば、30cm四方に近い大きさのものをつくれる製品もあります。

3Dプリンターは樹脂を射出するパーツがブレてしまうと、造形物が狙った形になりません。そのため、本体の強度を高める必要があるのですが、大きくなるほど強度を保つためのコストが高くなります。

また、大きな造形物を一気に造形しようとすると、反りや歪みが出て精度が低下しやすくなるという面も。つまり、3Dプリンターは必ずしも「大は小を兼ねる」と言えないのです。

よって、自分がつくりたい造形物のサイズを考え、その大きさがカバーできる中で小さめの3Dプリンターを選ぶことをおすすめします。大きな造形物をつくりたい場合は、パーツに分割して造形するとよいでしょう。

使えるフィラメント素材をチェック

3Dプリンターは細い線状の樹脂(フィラメント)を、熱でやわらかくして造形していきます。そして、製品によって使えるフィラメントの素材が違います。

プラスチック製品に幅広く使われる「ABS樹脂」、天然素材で嫌な臭いが少ない「PLA樹脂」、透明性があり耐久性が高い「PET」などがよく使われる素材になります。

そのほかにもゴム状の合成素材や、木や竹を混ぜ込んだ素材などもあります。めずらしい素材ほど使える3Dプリンターは少なくなるので、事前に使える素材をチェックしておくとよいでしょう。

対応しているスライサーソフトを確認

3Dプリンターで造形物をつくるには、設計図にあたる3Dデータが必要です。3Dデータは3DCADや3DCGツール、または3Dスキャナを使ってつくる方法などがあります。

そして、これらの3Dデータを3Dプリンター用に変換するためのソフトが、「スライサーソフト」と呼ばれるものです。このスライサーソフトにはオリジナルのものと、汎用(はんよう)のものがあります。

3Dプリンター初心者は、スライサーソフトがセットになった3Dプリンターを選ぶとわかりやすいでしょう。また、無料の汎用ソフトに対応している製品なら、低コストではじめられます。

サイズと重さも忘れずチェック

3Dプリンターは大型のアイテムと言っていいでしょう。比較的小さなものでも、ビジネスホテルなどにある小型冷蔵庫ほどあり、設置にはある程度広い場所が必要です。

また3Dプリンターは、重い機器でもあります。比較的小型のものでも8kg程度、中型のものだと12kg程度あり、中には20kgを超えるものもあります。設置にはしっかりした台が必要になるため、サイズと重さを購入前に確認しましょう。

より精密につくりたいなら「光造形方式」も検討を

家庭用の3Dプリンターの多くは細い線状の樹脂を熱でやわらかくして積み上げ、造形物をつくる「熱溶解積層方式」です。そして、もう一つ「光造形方式」と呼ばれるタイプがあります。

光造形方式は液体状になった樹脂(レジン)に、紫外線(UV)を照射して固めることで造形を行います。熱溶解積層方式より造形が緻密かつ滑らかで、フィギュアなどの作成に向いています。

太陽に当て続けると破損しやすく、完成した造形物は水やアルコールで洗浄する必要があるなどの違いもありますが、緻密な造形物をつくりたい人は検討してもよいでしょう。

おすすめの3Dプリンター7選


Creality Ender-3

Ender-3

Creality Ender-3

¥24,900
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家庭用3Dプリンターを数多く手掛ける、Shenzhen Creality 3D Technology社のベストセラー製品です。Ender-3には多くの派生型がありますが、基本となるこの製品は初心者から上級者まで幅広くおすすめできるスタンダードモデルと言えます。

低価格ながら約22 × 22 × 25cmと比較的大きいサイズのプリントが可能で、組み立ても簡単です。安定性が確保されたフレームと標準的なプリント速度(100mm/s)により、必要十分な性能を発揮します。はじめて3Dプリンターに挑戦する人にもおすすめです。

  • プリントサイズ:約22 × 22 × 25cm
  • 利用できる素材:ABS樹脂、PLA樹脂、TPUなど
  • スライサーソフト:Creality Slicer、Simplify3D、Cura、Repetier-Hostに対応
  • 本体サイズ・重量:約44 × 41 × 46.5cm・約8kg

Anker M5C

M5C

Anker M5C

¥69,990

モバイルバッテリーなどを手掛ける、Ankerの3Dプリンターブランド「Anker Make」。現在2モデルありますが、こちらは比較的手の届きやすいモデルで約7万円と安くはありません。ですが、コストパフォーマンスの高さが評判になっています。

他社の上級製品にも迫る超高速プリント(500mm/s)により、あらゆるモデルを短時間で作成。高剛性フレームにより、緻密なモデリングも正確にこなします。専用ソフト「AnkerMake Studio」が用意されているので、初心者でも迷わずスライサーソフトを選択できます。

  • プリントサイズ:約22 × 22 × 25cm
  • 利用できる素材:ABS樹脂、PLA樹脂、TPU、PETG、PAなど
  • スライサーソフト:AnkerMake Studio推奨
  • 本体サイズ・重量:約46 × 37.4 × 48cm・約9.6kg

Entina Tina 2S fdm

Tina 2S fdm

Entina Tina 2S fdm

¥29,680

重さわずか3kgという、非常に小型の3Dプリンターです。10cm四方までのプリントに対応しています。3Dプリンターがはじめての人の入門用としても、おすすめできる製品です。

組み立て済みで届いてすぐ使えます。フレームむき出しではなく、プリントヘッド部分も小さいため音が比較的静かなのも特徴です。印刷速度は速くありませんが、うっかり夜までかかってしまっても周囲への迷惑になりづらいでしょう。

  • プリントサイズ:約10 × 10 × 10cm
  • 利用できる素材:PLA樹脂、TPU、木材フィラメントなど
  • スライサーソフト付属
  • 本体サイズ・重量:約21 × 21 × 29cm・約3kg

ELEGOO Neptune 3 Pro

Neptune 3 Pro

ELEGOO Neptune 3 Pro

¥35,699

初心者にとって、必要な性能がひととおり備わった3Dプリンターです。操作用の小型液晶モニターが付属しているので、スマホなどをつないで操作する必要がなく、より簡単に使えるでしょう。

プリントヘッド部を駆動するモーターがデュアルになっており、静かで安定した動作が可能。プリント速度は標準的ですが十分な精度が期待できます。組み立てに必要なツールはすべて付属していて、はじめてでも短時間で組み立てられるでしょう。

  • プリントサイズ:約22.5 × 22.5 × 28cm
  • 利用できる素材:ABS樹脂、PLA樹脂、TPU、PETGなど
  • スライサーソフト:Cureに対応
  • 本体サイズ・重量:47.5 × 44.5 × 51.5cm・約8.1kg

Anker AnkerMake M5

AnkerMake M5

Anker AnkerMake M5

¥99,990

AnkerMakeブランドの最上級モデルです。緻密かつ高速なプリントに加え、AIカメラを搭載してプリントを見守ることでプリントの失敗をすぐに知らせ、ムダなプリントを削減できます。

本体にはアルミ合金を使用しており、15分程度で組み立て可能。部材の精度が高いため、プリントの精度も期待できるでしょう。4.3インチのモニターを備え、パソコンなどをつながなくても操作ができるのもよいところです。

  • プリントサイズ:約23.5 × 23.5 × 25cm
  • 利用できる素材:ABS樹脂、PLA樹脂、TPU、PETG
  • スライサーソフト:AnkerMake Studio推奨
  • 本体サイズ・重量:約50.2 × 43.8 × 47cm・約12.6kg

Creality K1 Max

K1 Max

Creality K1 Max

¥140,000

超高速プリント(600mm/s)を実現した人気の3Dプリンターです。高価な製品ですが、性能の高さから人気を集めています。面倒な組み立ては不要、届いてすぐ使えます。

プリントサイズは30cm四方なので、家庭用としてはかなり大きなものまで造形できます。また、AIカメラでプリントを監視し、プリントが失敗したときはすぐに伝えてくれます。箱型になっていて扉も付いているので、静音性にも期待ができるでしょう。

  • プリントサイズ:約30 × 30 × 30cm
  • 利用できる素材:ABS樹脂、PLA樹脂、TPU、PETG、ASAなど
  • スライサーソフト:Creality Print、Cura、Simplify3D、PrusaSlicerに対応
  • 本体サイズ・重量:43.5 × 46.2 × 52.6cm・約23kg(カートン含む)

Creality 【光造形方式】Creality HALOT-MAGE

【光造形方式】Creality HALOT-MAGE

Creality 【光造形方式】Creality HALOT-MAGE

¥39,900

家庭用3Dプリンターでは数が少なく価格帯も高い光造形方式ですが、こちらの製品は手頃な価格で購入できます。最大プリントサイズも約22.8 × 12.8 × 23cmと比較的大きく、フィギュアなどの精密な造形のプリントが得意です。

本体内蔵のモニターで基本的な操作ができるためパソコンなしでプリントでき、すぐに止めたいときなどにも重宝します。プリント速度も比較的速く、同価格帯の熱溶解積層方式のプリンターよりも高速。活性炭フィルターを備えており、レジン独特の嫌な臭いを吸収するので自室でも使いやすいでしょう。

  • プリントサイズ:約22.8 × 12.8 × 23cm
  • 利用できる素材:LCD用UVレジン
  • スライサーソフト:HALOT BOX、CHITUBOX Proに対応
  • 本体サイズ・重量:33.3 × 27 × 60.8cm・約12kg

まとめ

家庭用3Dプリンターを導入することで、DIYや創作活動の幅が広がります。アイデアを形にすることで創造性が刺激され、趣味や仕事に新たな可能性が見つかるかもしれません。

ここで紹介した3Dプリンターはどれも評判がよい製品ばかりですから、自身の予算や用途に合わせて最適な1台と見つけてください。