地上で最もクールと毎回呼びたくなる各車メーカーが世に送り出すコンセプトカーは、カーデザイナーがつくりたいものを厳しい制約のないまま創造した、「傑作」と言えるものばかりがそろいます。
今回は、そんな史上最高のコンセプトカーの数々を紹介しましょう。
マセラティ「ブーメラン」
「ブーメラン」は、ジョルジェット・ジウジアーロが設計した極めて無骨なコンセプトカーと言えます。
1972年にジュネーブで披露されたこのモデルは、V8エンジンをミッドシップ(車体の中央)に搭載。ハンドルの内側に計器類が集約された大胆なデザインが特徴でした。
この「ブーメラン」にやがて、2015年のオークションで370万ドル(約4億円)という驚くべき値がつけられました。
シボレー「コルベット CERV III」
「コルベット C8」の基礎を築いたのが、この「コルベット CERV III」でした。
1990年にシボレーの「CERV」シリーズコンセプトの最後のモデルとして開発された「CERV III」は、カスタム製自動変速装置やツインターボエンジンを搭載した全輪駆動車でした。
クライスラー「ターバイン」
1960年代、クライスラーはいくつかのガスタービンエンジン搭載車を開発し、数百万kmのテスト走行や宣伝のための全米横断ドライブを行いました。このほとんどは廃棄処分となりましたが、現在9台が残っています。
自動車メーカー各社が、タービンエンジンによるピストンエンジンの代替の可能性を信じていた時代における、アイコンと呼ぶべきモデルです。
マイバッハ「エクセレロ」
2005年に発表された「エクセレロ」は、「究極のラグジュアリー・グランドツアラー」という謳(うた)い文句で登場しました。
このクルマは5.9リッターのV12ツインターボを搭載し、最高出力は690馬力、最大トルクは1020Nm。その存在感は、唯一無二と言えます。
ブガッティ「ガリビエール」
ブガッティがセダンを開発しているという噂は、長年囁かれていました。その先駆けがこの「ガリビエール」コンセプト、正確な名称は「BUGATTI 16C GLIBBER CONCEPT」で、2009年のフランクフルト・モーターショーでブガッティ100年創立記念車としてワールド・プレミアされました。
このモデルの美しいデザインは話題を呼びましたが、一時は忘れられた存在でした。が、2016年に再開発の噂が流れます。さらに2018年には、ブガッティの「4ドア」プロトタイプが目撃される噂も…。そこで、「これは『ガリビエール』を継承するモデルでは?」という噂で盛り上がっていました。が、事実はいまだ不明です。
マツダ「RX-Vision」
この魅力的な「RX-Vision」は、マツダが未来のロータリー・スポーツカーの姿を独自に解釈したものです。
残念ながら、マツダが実際にロータリーエンジン搭載スポーツカーを復活させるという話はまだなく、「RX-Vision」は当分の間コンセプトカーのままであり続けるでしょう。
ヤマハ「OX99-11」
「OX99-11」は、1990年代初頭のヤマハのF1関連の取り組みから生まれました。センターにあるタンデム配置の座席、風変わりなエアロデザインが特徴で、コックピットの後ろにV12エンジンを搭載していました。
残念ながら、ヤマハはこのような超高額の自動車の開発を正当化できず、最終的には生産されることはありませんでした。現在も、数台のプロトタイプモデルが存在しています。
ジャガー「C-X75」
「C-X75」はギリギリで製造が中止となった、ジャガーの美しいミッドエンジン・スーパーカーです。
同社はこのモデルの製造をやめて、EVに注力することを決定しました。実際には数台つくられ、映画『007 スペクター』にも登場しています。
また、このうち1台は、2019年に行われたオークションに出品されています。
スズキ「GXS-R/4」
「GXS-R/4」は、言わば自動車のカタチをしたスーパーバイクです。重さは635kg。オートバイ「隼」(はやぶさ)の直列4気筒エンジンにより、170馬力を発揮します。
クライスラー「ME412」
「ME412」は2004年、メルセデス製V12エンジンをミッドシップに搭載した、実際に走るプロトタイプ車として披露されました。
そのデザインは素晴らしいものでしたが、数年後の不況により量産の望みは打ち砕かれてしまいました。
ダッジ「チャージャー II」
ダッジの将来のプランを示すために開発された「チャージャーII」は、フロントおよびリアのデザインが控えめな可愛らしい流線形のボディー、信じられないほど長いリアオーバーハングが特徴です。
特に、唯一無二のくぼんだテールライトのデザインは実に魅力的です。
プジョー「オニキス」
「オニキス」の魅力は、マットブラックとコッパーのツートンカラー仕上げのボディーだけではありません。
その素材にはカーボンファイバー製モノコックを採用しており、パワートレインには3.7リッターのディーゼルV8エンジンを搭載しています。
そう、ディーゼルエンジンを積んだスーパーカー…ある意味傑作です。
ホンダ「スポーツEV」
ホンダの「スポーツEV」コンセプトは2017年、より街乗りを意識した「アーバンEV」コンセプトとともに、ドイツ・フランクフルトで初披露されました。
いずれもクールなレトロフューチャー風(50年代・60年代くらいの未来想像図風)のフロントデザインと、可愛らしいプロポーションが特徴と言えます。
キャデラック「シエン」
「シエン」は待望のミッドエンジン・コルベットではありませんでしたが、間違いなくクールなモデルでした。
ミッドシップに7.5リッターV12エンジンを搭載するこのクルマは、最大出力750馬力の実際に走るスーパーカーだったのです。
フォード「GT90」
フォードは2005年にアイコニックな「GT」を発売する前に、「GT90」を発表していました。
「GT90」は、随所に見られる角ばったデザインやクラシックなディテールが特徴となっており、キャビンの後ろに搭載されたクアッドターボV12エンジンは最大出力720馬力を発揮すると発表されていました。
ランチア「ストラトス・ゼロ」
「ストラトス・ゼロ」は、空気を切り裂くウェッジシェイプ(くさび形)のデザインで、最も好き嫌いが分かれるクルマの1つと言えるでしょう。
なので、「史上最高のコンセプトカーだ」と強く主張する方も少なくありません。
ダッジ「カッパーヘッド」
このクルマは、当時の最新モデルでV10エンジンを搭載していた、「バイパー」の手頃なスリム版として発表されました。
220馬力のV6エンジンを搭載していましたが、実際に製造されることはありませんでした。
メルセデス・ベンツ「C111」
「C111」は厳密にはコンセプトカーですが、メルセデスは4代目「C111-IV」まで開発しました。
このクルマはメルセデスとしては極めて型破りで、パワートレインはロータリーエンジンをミッドシップに搭載していたのです。
マセラティ「バードケージ 75th」
2005年の「バードケージ」コンセプトは、1960年代のマセラティ「バードケージ」のオリジナルレースカーに敬意を表すとともに、「ピニンファリーナ」の創立75周年を記念して開発されました。
コックピットにアクセスするときには、ボディー上半分のクラムシェルがせり上がる仕組みで、実際に見るこの動きと走りは本当にクールです。
ジープ「J-12」
「J-12」は改良された「ラングラー」のシャシーをベースにしつつ、カイザー時代のトラックのフェイスを使用しており、オフロード好きにとっての夢の一台となっています。
クラシックなデザインながら、あらゆる最新のハードウェアが搭載されています。