2021年2月9日(現地時間)にアウディは、本社を置くドイツ・バイエルン州にあるドナウ川沿いの都市インゴルシュタットから、 電気自動車の先駆的モデルであるアウディ「e-tron」のクーペバージョンとしての「e-tron GT」、「e-tron GT quattro」と「RS e-tron GT」の2台をオンライン上で世界初公開しました。いずれもハイパフォーマンスな4ドアクーペで、同ブランドのEVのフラッグシップと位置づけられます。
それは2つのデジタルイベントによって構成される、「Day of Progress」と名づけられた発表会でのこと。 “Progress”とは、「進化」「進展」を意味する英語。まさにこの日、アウディは“未来に向けたさらなる進化を宣言した日”と言えるでしょう。
そこでハイライトとなったのが、最新の電気自動車モデル。それは、ダイナミックなドライビングパフォーマンス、そしてエモーショナルなデザイン、サステイナビリティにも満ちあふれた“別格”の電気自動車です。
このタイミングで登場する新たなクルマではありますが、そのカテゴリーはSUVではありません。アウディの走りへのこだわりを未来へとシフトさせたGT(イタリア語の「グランツーリスモ」、英語の「グランド・ツーリング」の略)…。つまり、長距離のドライブを快適にすることのできる動力性能と操縦性を併せ持つクルマなのです。
事実、アウディのヘッドデザイナーであるマーク・リヒテ氏は、彼によって最新のモデルである「e-tron GT」を指して「私が今まで描いた中で最も美しいクルマ」と称しており、彼のこれまで以上の意欲作であることを明言しています。
さらにアウディの最高経営責任者(CEO)であるマルクス・ドゥスマン氏は、次のように説明しています。
「アウディ『e-tronGT』 は、未来のグランツーリスモの姿をアウディ流に解釈したものです。そのデザインは、紛れもなくプレミアムカーのものです。印象的なドライビングパフォーマンスを提供するこのクルマは、最もエモーショナルな方法で、 e モビリティを表現したモデルと言えるでしょう。さらに、サステイナビリティを強く意識したコンセプトが、このクルマの特徴を明確に表現しています。それはドライブコンセプトだけではなく、ベーリンガーホフ工場におけるすべての生産工程は、カーボンニュートラルな方法で行われています。この事実は、生産施設、従業員、アウディの将来にとって重要な意味を持っています」とこと。
アウディはこのデジタルワールドプレミア「Day of Progress 」において、未来への新たなベンチマークを示したのです。今回開催された2つのデジタルイベントでは、アウディ「e-tron GT」の2つの側面が紹介されています。
「Sprint of Progress」と呼ぶイベントでは、「フォーミュラ E 」ドライバーであるルーカス・ディ・グラッシ選手が駆るアウディのフォーミュラ Eマシンである「e-tron FE07」と、 F1 ワールドチャンピオンで地球環境保全に高い関心を持ちながら実業家として活躍するニコ・ロズベルグ氏が駆るアウディ「e-tron GT」(ここではまだ、カムフラージュ車のままです)とが 、ダイナミックなドライビングパフォーマンスを披露。上のYouTube動画でも披露されていますが、このレースは必見です!
本社のあるインゴルシュタットの西に位置する都市、ノイブルク・アン・デア・ドナウにある「アウディドライビングエクスペリエンスセンター」のサーキットを走行するこの映像は実に圧巻。このニューモデルのダイナミックなパフォーマンスを余すところなく確認できます。スポットライトが当てられています。
そして、もう1 つのイベントである「Celebration of Progress 」で、アウディ「e-tron GT」が初めて一般公開されたとういうわけです。 1 時間ほどの時間を擁し、バーチャルショーとしてマルクス・ドゥスマン氏および セールス&マーケティング担当の取締役ヒルデガルト・ヴォートマン氏、アウディブランドのシニア・バイスプレジデントのヘンリック・ヴェンダース氏、ヘッドデザイナーであるマーク・リヒテ氏らと共に、このニューモデル「e-tron GT」のハイライトを披露。
バーチャルショーは全体に多彩なプログラムから構成され、次なる未来へと目を向けるアウディの姿勢と意気込みが強調されていました。一部のプログラムでは、俳優兼プロデューサーでるトム・ハーディ氏、ファッションデザイナーのステラ・マッカートニー氏、元F1ドライバーでありワールドチャンピオンにもなったニコ・ロズベルグ氏が、「e-tron GT」が誇る高次元のデザイン性やサステナブル(持続可能性)について、さらにパフォーマ ンスの重要性に関して自らの意見をコメントしていました。
もうクルマファンならご存知のとおりかと思いますが、この「e-tron GT」は、同じグループであるポルシェ「タイカン」と同じプラットフォーム上に構築されたクルマであり、電気自動車分野に新たなスタイルと興奮をもたらすことは明らかです。電気自動車としては期待をはるかに超えたパワーを発揮します。
そうして2021年春に、これら「e-tron GT quattro」と共にフラッグシップとなる「RS e-tron GT」の2つのバージョンが登場することになります。この2台は必然的に、電気自動車として究極なまでのパフォーマンスをわれわれに示してくれることでしょう。ちなみに「RS e-tron GT」エディション1における数値は、出力440kwで598PS、0-100km/h 加速は3.3秒となっています。
さらに「RS e-tron GT」には、ブーストモードもあります。最大2.5秒利用することが可能のこのブーストモードでは、クルマが停止している状態から素早く発進加速をさせる制御装置「ローンチコントロール」を使用すると、最大390kW(530PS)の出力を2.5秒間利用できます。
搭載するバッテリーは総容量93kWh(実際の使用容量85kWh)のリチウムイオンバッテリーで、1回の充電で走行可能な距離は「e-tron GT quattro」(欧州WLTPモード)で487km、さらに「RS e-tron GT」で472kmとのこと。270kWの充電を利用できる場合、わずか5分間の充電で約100kmを走行可能とのこと。
さらにこの「e-tron GT quattro」と「RS e-tron GT」には、クルマの内外から聞こえるバーチャルなエンジン音を鳴らすオプションもあります。これは現在、国や地域によって「EVに対し、疑似エンジン音(近接音)発生装置を義務付け」がなされていることもあり、新型e-tron GTももれなくこのサウンド発生装置を装備することとなったわけです。ですが、さすがアウディ。その音づくりにも余念がありません。
公式YouTubeでもそのサウンドを生成する過程などを公開していますが、このサウンドは「外向けに」接地されたスピーカーから音を出すことができるほかに、設定によって車内のスピーカーからも音を出すことが可能となっているのです。
オプションのe-tronスポーツサウンド(RS e-tron GTでは標準装備)は、荷室に設置されたふたつのコントロールユニットとアンプから構成されるもので、車内と車外のサウンドを別個に生成。それぞれに設置されたスピーカーから、駆動システムの作動を連想させる絶妙なデジタルサウンドを発します。また、これはアウディドライブセレクト経由で、サウンドの調整も行うことが可能となっています。このサウンドトラックは実にうまく機能していて、多くのドライバーが感じるであろう沈黙の中で加速させる奇妙さを軽減してくれることでしょう。
またエクステリアに関して、アウディ特有のハニカムグリルは他のモデルと明らかに異なることに気づくはずです。それは空冷を必要としないから…。ここでの目的は、クルマのアシストシステムのさまざまな格納場所として機能します。さらにはアウディの歴史そのものである端正なルックスを継承し続けるための重要な役割を担ってもいます。
インテリアは、ドライバーを包み込むような「モノポスト」デザインを採用。ダッシュボードはわずかにドライバー側に傾けられ、立体的なインパネはスリムな室内空間を演出しています。 さらには、低いシートポジションや幅広なセンターコンソールがスポーティなムードを高めつつ、リアシートで大人2名がくつろぐことも可能です。
特出すべきは、内装素材にはレザーを一切使用せず、リサイクル素材製のトリムを多く用い、さらにはカーペットに至るまで、サステナビリティに対しても究極なまでの配慮がなされています。事実アウディは、生産ラインであるハイルブロンにあるBöllingerHöfeのイノベーションファクトリーでは、「e-tron GT」の全生産が完全にカーボンニュートラルであると主張しています。
「e-tron GT quattro」および「RS e-tron GT」は、2021年2月より受注を開始。ドイツでのベースモデルの車両価格は、「e-tron GT quattro」が9万9800ユーロ(日本円で約1265万円)、「RS e-tron GT」が13万8200ユーロ(約1755万円)となっています。
マルクス・ドゥスマン氏は、「『e-tron GT』は、未来のグランツーリスモの姿をアウディ流に解釈したものです。そのデザインは紛れもなくプレミアムカーのものです。印象的なドライビングパフォーマンスを提供するこのクルマは、もっともエモーショナルな方法で、eモビリティを表現したモデルと言えるでしょう。さらにサスティナビリティを強く意識したコンセプトが、このクルマの特徴を明確に表現しています。ベーリンガーホフ工場におけるすべての生産工程は、カーボンニュートラルな方法で行われれています。これはアウディの将来にとって、重要な意味を持っています」とコメント。
いまやラグジュアリーブランドにおいて、“ラグジュアリー”の意味が“サステナブル”な方向へと変革していっているように、アウディはクルマ市場における“ラグジュアリー”および“プレミア”という意味の解釈を、ここで大きく未来に向けた新解釈へとシフトさせようとしている…そう言えるでしょう。
そうしてアウディは自社ばかりでなくクルマ業界全体…さらには全世界に対し、「アイデアは未来のはじまり」とのメッセージと共に、ワクワク…そしてゾクゾクするような輝かしい未来へとけん引してくれることでしょう。そう期待します。
Source / Esquire UK
Translate / Zion Utah
この翻訳は抄訳です。