グランドスラムで4回の優勝を誇るテニスの大坂なおみ選手が、コート上で見せる絶対的な強さ以上に、ほんのわずかながら私たちがより心ひかれるものがあるとすれば、それはすべての試合の後に彼女の両親が見せる、娘への深い愛情ではないでしょうか。
素晴らしいキャリアを築いてきた娘を全力で支えてきた母の大坂 環さんと、父レオナルド・フランソワさんについて、ここでご紹介していきます。
出会いは北海道
なおみ選手の両親は、母である環(たまき)さんの出身地である北海道ということ(一部では、大阪で出会ったという情報もあります)。「ニューヨーク・タイムズ」紙が2018年8月23日に公開した記事によれば、娘の交際相手が外国人、そして黒人であることを知った環さんの父は「家族の名誉を傷つけた」と言い、激怒したそうです。それをキッカケに環さんは北海道を離れ、レオナルドさんとともに大阪へ。そこで姉のまりさんとなおみ選手が誕生したというわけです。
大阪からNYへ移住
一家はなおみ選手が3歳のとき、大阪からニューヨークのロングアイランドへ移住し、レオナルドさんの両親と一緒に暮らし始めたそうです。
なおみ選手は2018年に記者会見で、「父はハイチ人ですので、ニューヨークのハイチ人の家庭で育ちました。祖母も一緒に住んでいます」「また、母が日本人ですから、日本文化と共に育ちました」と述べています。さらに、「アメリカで暮らしてきたので、アメリカ人でもある」と語っています。
なおみ選手は、「自ら道を切り開くこと、自分の育ってきた環境を大切にすることを教えてくれたのは母」と述べており、2021年5月のインタビューで母親について、次のように話しています。
「母は本当に一生懸命、私と、テニスに対する私の情熱をサポートしてきてくれました。母は常に他の人のことを優先します。私には、私が持つ多様性を大切にしなさいと言ってくれます」
ウィリアムズ姉妹が刺激に
レオナルドさんが娘にテニスを教えようと決めたのは、ヴィーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹がきっかけだったということ。姉妹の父親、リチャード・ウィリアムズさんの著書に倣ってトレーニングの計画を立てたと言います。
そしてなおみ選手の両親は、2人共に彼女のキャリアを支えることにとても熱心でした。そしてそれは、より良いトレーニングを彼女に受けさせるため、フロリダへと引っ越してしまうほどの深さを持っていました。
父親はなおみ選手のコーチも
レオナルドさんは、なおみ選手のコーチを務めたこともあります。ですが、それは長くは続きませんでした。なおみ選手は、「すごくウザいです…ベンチまで走ってきたかと思えば、戦術を教えてくれるわけでもなく、『落ち着け』なんて言うんですよ。信じられない」などと、冗談を飛ばしていたこともありました。
それでもツイッターでは、「父をとても愛しているし、コートの中でも外でも、教えてくれたすべてのことについて感謝している」とコメントしています。
両親と共に「日本人選手」を選択
環さんによると、なおみ選手が日本人選手としてプレーすることを決めたのは、ずいぶん前のことだったそうです。
「なおみは大阪で生まれ、日本とハイチの文化を持つ家庭で育ちました。なおみも姉のまりも、常に自分たちは日本人だと思って育ちました。理由は、ただそれだけのことです。お金のことを考えての決断ではありません」
実際に二重国籍だったなおみ選手は、東京2020オリンピックに日本代表として出場するため、アメリカではなく日本国籍を取得しています。
Source / COSMOPOLITAN