テレビの部、最多ノミネーションは「メディア王~華麗なる一族」最終シーズン 

第81回ゴールデングローブ賞のノミネーションが現地時間2023年12月11日に発表されました。

多くの問題が明るみになったHFPA(ハリウッド外国人記者協会)が、2023年6月12日付の発表をもってディック・クラーク・プロダクションズ (DCP) とエルドリッジ・インダストリーに資産や権利を譲渡。今回、解散後はじめて発表するノミネーションとなります。

テレビの部最多ノミネーションは、終焉を迎えた「メディア王~華麗なる一族~」の5部門9ノミネーション。2位の5ノミネーションとなった「一流シェフのファミリーレストラン」「マーダーズ・イン・ビルディング」を大きく引き離す結果に。俳優としては、メリル・ストリープが「マーダーズ・イン・ビルディング」で助演女優賞候補になったことで、自身の持つ歴代最多記録を塗り替えて33回目のノミネートを果たしていました。

授賞式は2024年1月7日(日)CBSで生中継。日本時間2024年1月8日(月)午前10:00より発表された授賞結果(テレビ)は以下になります。

【テレビ部門候補一覧】

作品賞(ドラマシリーズ)

  • 「1923」(U-Nextにて配信中)
  • 「ザ・クラウン」(Netflixにて配信中)
  • 「ザ・ディプロマット」(Netflixにて配信中)
  • 「THE LAST OF US」(Amazon Prime Video, U-Nextにて配信中)
  • 「ザ・モーニングショー」(Apple TVにて配信中)
  • ★受賞 「メディア王~華麗なる一族~」(U-Nextにてラストシーズンまで配信中)

「1923」は、ハリソン・フォードとヘレン・ミレンという大物俳優2人が禁酒法の終焉とその後に世界恐慌を控える1923年、激動の最中で牧場と土地と一家を守る開拓の物語。作品賞リストの中でも、ひときわ光る存在感を見せています。ともにラストシーズンを迎えた「ザ・クラウン」「メディア王~」は、アワードでも大団円となるか…。ゴールデングローブの行方が、がぜん気になる部門となりました。

結果は「メディア王」が受賞!  

ヘレン・ミレン ハリソン・フォード
Christopher Saunders
「1923」より

女優賞(ドラマシリーズ)

  • ヘレン・ミレン 「1923」
  • ベラ・ラムジー 「THE LAST OF US」
  • ケリー・ラッセル 「ザ・ディプロマット」
  • ★受賞 サラ・スヌーク 「メディア王~華麗なる一族~」
  • イメルダ・スタウントン 「ザ・クラウン」
  • エマ・ストーン 「THE CURSE(原題)」

映画の部でも候補となっているエマ・ストーンは、「THE CURSE」でテレビの部でもノミネート。白人男女がマイノリティコミュニティでリアリティ番組を配信したことから始まる騒動を描く、とんでもなくダークなコメディが(なのに?)ここで選出された一方で、作品賞候補になっている「ザ・モーニングショー」のジェニファー・アニストンが落選したことに関しては疑問の声もあがっています。 

結果は…「メディア王~」のサラ・スヌーク。ドラマシリーズの俳優賞も男女そろっての受賞になりました。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
The Curse Official Trailer | SHOWTIME
The Curse Official Trailer | SHOWTIME thumnail
Watch onWatch on YouTube

男優賞(ドラマシリーズ)

  • ペドロ・パスカル 「THE LAST OF US」
  • ブライアン・コックス 「メディア王~華麗なる一族~」
  • ★受賞 キーラン・カルキン 「メディア王~華麗なる一族~」
  • ジェレミー・ストロング 「メディア王~華麗なる一族~」
  • ゲイリー・オールドマン 「窓際のスパイ」
  • ドミニク・ウェスト 「ザ・クラウン」

ここはもう“いまハリウッドで最も尊敬される俳優”、ペドロ・パスカル一択でしょう。

…とは言ってみましたが、ゴールデングローブは…これまで3度候補になるも一度も受賞していなかったキーラン・カルキンへ! 受賞の瞬間隣のペドロ・パスカルが「Yes!」とガッツポーズしていたのも印象的。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
【吹替版予告編】THE LAST OF US|山寺宏一、潘めぐみほかゲーム版から豪華キャスト続投でおくる日本語吹替版も配信<U-NEXTにて見放題で独占配信中>
【吹替版予告編】THE LAST OF US|山寺宏一、潘めぐみほかゲーム版から豪華キャスト続投でおくる日本語吹替版も配信<U-NEXTにて見放題で独占配信中> thumnail
Watch onWatch on YouTube

作品賞(コメディ&ミュージカル)

  • ★受賞 「一流シェフのファミリーレストラン」(Disney+で配信中)
  • 「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」(Apple TVにて配信中)
  • 「アボット エレメンタリー」(Disney+で配信中)
  • 「ジュリー・デューティ ~17日間の陪審員体験~」(Amazon Prime Videoで配信中)
  • 「マーダーズ・イン・ビルディング」(Disney+で配信中)
  • 「バリー」(U-Nextにて配信中)

2022年にこの部門で勝利した「テッド・ラッソ」。2023年は「アボット エレメンタリー」。他の作品もすでに近年ノミネート歴があり、並びがなかなか変化しない中で今年はどの作品が作品賞に?

結果は…主演俳優賞をW受賞した「一流シェフのファミリーレストラン」が獲得しました。

バリー シーズン3
© 2022 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.
「バリー」シーズン3より

女優賞(コメディ&ミュージカル)

  • ★受賞 アイオウ・エディバリー 「一流シェフのファミリーレストラン」
  • ナターシャ・リオン 「POKER FACE(原題)」(※日本未配信)
  • キンタ・ブランソン 「アボット エレメンタリー」
  • レイチェル・ブロズナハン 「マーベラス・ミセス・メイゼル」(Amazon Prime Videoにて配信中)
  • セレーナ・ゴメス 「マーダーズ・イン・ビルディング」
  • エル・ファニング 「THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜」(Amazon Prime Videoで配信中)

こちらも顔ぶれがあまり変化しない中、ニューカマーの「POKER FACE」が実に面白いと話題に。リオン演じる他人の嘘を見抜く超人的な能力をもつ女性が犯罪を解決していく、一見ベタなストーリーです。が、超豪華ゲスト出演と企画・制作総指揮を務めるライアン・ジョンソン(『ナイブズ・アウト』シリーズ製作)の手腕により、賞レースのトップランナーに。 

ですが受賞は、アイオウ・エディバリー。「一流シェフのファミリーレストラン」は男優賞とW受賞を果たしました。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Poker Face | Official Teaser | Peacock Original
Poker Face | Official Teaser | Peacock Original thumnail
Watch onWatch on YouTube

男優賞(コメディ&ミュージカル)

  • ビル・ヘイダー 「バリー」
  • スティーヴ・マーティン 「マーダーズ・イン・ビルディング」
  • マーティン・ショート 「マーダーズ・イン・ビルディング」
  • ジェイソン・シーゲル 「シュリンキング:悩めるセラピスト」(Apple TVで配信中)
  • ジェイソン・サダイキス 「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」
  • ★受賞 ジェレミー・アレン・ホワイト 「一流シェフのファミリーレストラン」 

「マーダーズ・イン・ビルディング」から2人選出。大御所コメディアンのどちらに軍配が上がるか、はたまたどちらもトロフィーを逃すことになるのか面白くなっていましたが…。

結果はなんと…ジェレミー・アレン・ホワイトがまさかの2年連続の受賞! カルバン・クライン・アンダーウェアのキャンペーンで披露している見事な肉体美も話題。

only murders in the building following the shocking death of arconia board president bunny folger, charles, oliver mabel race to unmask her killer however, three unfortunate complications ensue the trio is publicly implicated in bunny's homicide, they are now the subjects of a competing podcast, and they have to deal with a bunch of new york neighbors who all think they committed murder oliver martin short, charles steve martin and mabel selena gomez, shown photo by craig blankenhornhulu
© 2022 20th Television. All rights reserved.
「マーダーズ・イン・ビルディング」


作品賞(リミテッド&アンソロジーシリーズ、テレビ映画)

  • ★受賞 「BEEF/ビーフ」(Netflixにて配信中)
  • 「レッスン in ケミストリー」(Apple TVにて配信中)
  • 「デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃」(Amazon Prime Videoにて配信中)
  • 「すべての見えない光」(Netflixにて配信中)
  • 「FELLOW TRAVELERS(原題)」(※日本未配信)
  • 「FARGO/ファーゴ」(Amazon Prime Videoにてシーズン5まで配信中)

あおり運転から壮絶な復讐の連鎖が始まる「BEEF/ビーフ」は、「アジア系アメリカ人コミュニティもリアルに描いている」と高評価を得た作品。強豪ぞろいの作品の中で、どれだけゴールデングローブを獲得できるか期待がかかります。

結果はもちろん…「BEEF/ビーフ」が受賞。

beef ビーフ
Netflix
「BEEF/ビーフ」より


女優賞(リミテッド&アンソロジーシリーズ、テレビ映画)

  • ライリー・キーオ 「デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃」
  • ブリー・ラーソン 「レッスン in ケミストリー」
  • エリザベス・オルセン 「ラブ&デス」(U-Nextにて配信中)
  • ジュノー・テンプル 「FARGO/ファーゴ」
  • レイチェル・ワイズ 「戦慄の絆」(Amazon Prime Videoにて配信中)
  • ★受賞 アリ・ウォン 「BEEF/ビーフ」

デヴィッド・クローネンバーグ監督が1988年に、一卵性双生児を主人公に描いた名作サイコ・スリラー『戦慄の絆』をジェンダーを逆転させ、主演のワイズも自ら参画し全6話のシリーズとして再製作。当時、双子を演じたのは英国俳優(ジェレミー・アイアインズ)でしたが、今回も英国俳優レイチェル・ワイズが演じ、ノミネートとなりました。

しかし、ここでダークホースなのは同じく英国人のジュノー・テンプル。『つぐない』(2007)で若くして的確な仕事をするエリート女優として、数々の名作で脇役として認められてきました。そこで今回、人気シリーズで初のゴールデングローブ賞受賞なるか期待がかかります。エルヴィス・プレスリーの孫ライリー・キーオが、シンガーを演じてリスト入りしている点も注目ポイント。

ですが結果として受賞は「2023年上半期最高のドラマ」と呼ばれた「BEEF/ビーフ」のアリ・ウォンに。

a group of people in green uniforms
©2023 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO MaxTM is used under license.
「ラブ&デス」


男優賞(リミテッド&アンソロジーシリーズ、テレビ映画)

  • マット・ボマー 「FELLOW TRAVELERS(原題)」
  • サム・クラフリン 「デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃」
  • ジョン・ハム 「FARGO/ファーゴ」
  • ウディ・ハレルソン 「ホワイトハウス・プラマーズ / 米国政治の失墜を招いた男たち」(U-Nextにて配信中)
  • デヴィッド・オイェロウォ 「LAWMEN: BASS REEVES(原題)」(※日本未配信)
  • ★受賞 スティーヴン・ユァン 「BEEF/ビーフ」

今季最高のドラマとエスクァイアでも紹介してきた「BEEF/ビーフ」から、ユァンがノミネート。クリステン・スチュワート共演の最新作『LOVE ME』も期待されています。一方、美形俳優マット・ボマーがようやく「ホワイトカラー」以来の当たり役に出会ったか――。「FELLOW TRAVELERS」ではジョナサン・ベイリーというこれまた美形男優と、マッカーシズム吹き荒れる50年代からベトナム戦争を経て、エイズ危機の80年代まで激動の時代にロマンスを繰り広げます。

ボマーは映画の部で候補作品となっている、ブラッドリー・クーパー監督『マエストロ』でも重要な役を演じており、第二のキャリアのピークを迎えるのかもしれません。

しかしこちらも受賞は「BEEF/ビーフ」のスティーヴン・ユァン。壇上で緊張してスピーチを忘れてしまった様子なのはご愛敬として、この受賞でさらなるキャリアアップが期待できそうです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Fellow Travelers Official Trailer | SHOWTIME
Fellow Travelers Official Trailer | SHOWTIME thumnail
Watch onWatch on YouTube

助演女優賞

  • ★受賞 エリザベス・デビッキ 「ザ・クラウン」
  • アビー・エリオット 「一流シェフのファミリーレストラン」
  • クリスティーナ・リッチ 「イエロージャケッツ」(U-Nextにて配信中)
  • J・スミス=キャメロン 「メディア王~華麗なる一族~」
  • メリル・ストリープ 「マーダーズ・イン・ビルディング」
  • ハンナ・エインビンデル 「Hacks(原題)」(※日本未配信・未放映)

上記すべての部門の作品中で、優れた功績を残した女優を選出するこの部門。必然的に最も競争率が高くなる助演女優賞候補ですが、そこにストリープ御大が入ってきたことで若干がっかりした人も多いかもしれません…。 

結果は「ザ・クラウン」でダイアナ妃を演じたエリザベス・デビッキが受賞。一通り感謝し終えたあとに「これで言い忘れた人いないかな…多分以上だと思う…あ!」とエージェントにありがとうと言い忘れていたことに気づくハプニングが

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
『マーダーズ・イン・ビルディング』シーズン3|予告編|メリル・ストリープ、セレーナ・ゴメスら豪華キャスト&スタッフ集結で最高のシーズンの幕が上がる!|Disney+ (ディズニープラス)
『マーダーズ・イン・ビルディング』シーズン3|予告編|メリル・ストリープ、セレーナ・ゴメスら豪華キャスト&スタッフ集結で最高のシーズンの幕が上がる!|Disney+ (ディズニープラス) thumnail
Watch onWatch on YouTube

助演男優賞

  • ビリー・クラダップ 「ザ・モーニングショー」
  • ★受賞 マシュー・マクファディン 「メディア王~華麗なる一族~」
  • ジェームズ・マーズデン 「ジュリー・デューティ ~17日間の陪審員体験~」
  • エボン・モス=バクラック 「一流シェフのファミリーレストラン」
  • アラン・ラック 「メディア王~華麗なる一族~」
  • アレクサンダー・スカルスガルド 「メディア王~華麗なる一族~」 

「メディア王」の息子たち&敵に交じって、クラダップが驚きの候補入り。メアリー=ルイーズ・パーカーの妊娠中にクレア・デーンズとの“略奪愛”が衝撃的だったあまり、ゴールデングローブ賞からもアカデミーからも俳優協会賞(SGA)からも20年もの間まるでお声がかからなかったものの、リース・ウィザースプーンとジェニファー・アニストンという、ともに俳優夫との結婚で酷い目にあったハリウッド女優製作のドラマ出演で禊(みそぎ)が済んだ…のかもしれません。

そんな中得れバレたのは、幾度となくゴールデングローブを手にしてきた「メディア王」出演陣で、ノミネートも受賞もしていなかった英国俳優マシュー・マクファディン。最終シーズンでついに獲得となりました。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
The Morning Show — Season 3 Teaser Trailer | Apple TV+
The Morning Show — Season 3 Teaser Trailer | Apple TV+ thumnail
Watch onWatch on YouTube

スタンダップコメディ賞

  • 「Amy Schumer: Emergency Contact」
  • 「Chris Rock: Selective Outrage」
  • ★受賞 「Ricky Gervais: Armageddon」
  • 「Sarah Silverman: Someone You Love」
  • 「Trevor Noah: Where Was I」
  • 「Wanda Sykes: I'm an Entertainer」 

長年ゴールデングローブの司会を何度も務め、スレスレのジョークで話題にしてきたリッキー・ジャーヴェイスが、不在のまま受賞。