※本文にはドラマ「ユーフォリア／EUPHORIA」のシーズン2の内容に触れています。
アメリカの放送局HBOは、「ユーフォリア／EUPHORIA」（シーズン1は2019年放送）のシーズン3の製作を正式に決定しました。とは言え、全てのキャストが戻ってくるわけではなさそうです。シーズン2（2022年放送）でエリオットを演じたミュージシャンのドミニク・ファイクは、自分の演じたキャラクターの今後が不透明であることを告白しています。
この「ユーフォリア／EUPHORIA」は製作総指揮にはドレイクが参加しており、主演はゼンデイヤ、そして製作会社にはアカデミー賞常連となっているA24（エートゥエンティフォー）が…。ソーシャルメディア時代にセックスやドラッグなどに溺れるティーンエイジャーの悩みや葛藤を、独特のナレーションと90年代のヒップホップやR＆Bを中心とした重厚な音楽、さらに斬新な映像美で仕上げた衝撃作として世界的な人気となっています。ちなみにゼンデイヤは、2019年にはエミー賞のドラマシリーズ部門で主演女優賞を受賞し、2022年には第80回ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞（テレビ部門）をこの作品で受賞しています。
日本では2019年10月から、スターチャンネルで日本語字幕・吹き替え版が放送されていました。現在はU-NEXTおよびAmazon primeで配信されています
ドミニク・ファイクは雑誌『バラエティ』に、「信じられないかもしれないけれど、僕自身がかなりの薬物中毒者なんだ」と語っています。「『ユーフォリア／EUPHORIA』に出演していたとき番組側がコーチをつけてくれた。でも、適当に選んできた感じのただ話しかけてくれる女性だったよ」。
コーチと心のつながりを持つことができなかったため、「セッションは失敗だった」と話しています。「僕たちには共通点がなかった。同じ境遇だったわけでも同じ問題を抱えているわけでもない。そういう人からアドバイスをもらったりそれを聞き入れたりするのは難しかったよ」と…。
ファイクが最近出演した映画『Little Death（原題）』が、2024年1月19日（金）から始まったサンダンス映画祭でプレミア上映されました。この映画祭で「ユーフォリア／EUPHORIA」への復帰について聞かれたファイクは、「内密情報になるだろう」と前置きをしながら、製作チームから連絡がないことを明かしました。「前回、彼らと話したときはいい感じだったんだけど、今はもうあまり話していないんだ。出るかどうかはわからないね。僕にはやることがたくさんあるんだ」。
![[HBO×A24]ドレイク製作総指揮×ゼンデイヤ主演『ユーフォリア／EUPHORIA』【予告編】 thumnail](https://img.youtube.com/vi/GcYIkkNlef8/maxresdefault.jpg "[HBO×A24]ドレイク製作総指揮×ゼンデイヤ主演『ユーフォリア／EUPHORIA』【予告編】 thumnail")
製作＆配信している放送局HBOのトップであるケイシー・ブロイズは、このシリーズのクリエイター、サム・レヴィンソンが新しい脚本を執筆中であることを発表。ウェブサイト「The Wrap」に、こう話しています。
「これからどうなるか見守ろう。サムは今シーズン3を書いているんだ。彼がどんな展開を考えているのかは私にはわからない。ただシーズン3が作られる、それだけだ」
ブロイズは新シーズンで、ヒロインのルーと仲間たちをどんな運命が待ち受けているのかは知らないと話しています。「シーズン3で終わりなのか、これからどうなるのか彼と具体的な話はしていない」とも。
新シーズンの詳細は今もわかっていませんが、レヴィンソンが心に思い描いていることを考えると待つ価値があるのは明らかです。ゼンデイヤが表紙を飾った雑誌『ELLE』US版の2023年9月号では彼もインタビューに答え、シーズン3は「フィルムノワール」になると語っています。筋書きについては触れませんでしたが、「腐敗した世の中で主義や主張を持った個人として生きることの意味を探求する」と伝えました。
このドラマをことが観たことがあるなら、それがどんな意味にもなり得ることがわかるはずです。2019年から始まったこのドラマは、依存症に悩むティーンネイジャーのルー（ゼンデイヤ）の姿を描いてきました。どのシーズンでも誘惑に煽（あお）られた世界の中で、キャラクターたちは先の見えない決断を下してきました。
新シーズンでも同じでしょう。レヴィンソンのコメントは、シーズン3ではさらにそれがエスカレートすることを意味しているかもしれません。もしそうであれば、次は何が起きるのでしょうか？
シーズン1のラストでは、ルーだけに物語の焦点が当たっていました。しかしシーズン2の最後では、ほとんどすべての登場人物のストーリーの軌跡がある種のエンディングを迎えました（ちなみにシーズン2では、使われているサウンドトラックに関する不満の声も上がりました）。
アリ役を演じクリエイティブ・アーツ・エミー賞を受賞しているコールマン・ドミンゴは、シリーズの今後についてウェブサイト「デッドライン」にこう語っています。
「レヴィンソンと先週末、実に深い話をしました。彼から全てのキャラクターのストーリーの軌跡について、そして、それを拡大するために何をしたいのかについて聞きました。そして、ときにはそれを再検討することについても話しましたね。この作品は1つの生き物です。彼はそれをいろいろな形で変化させ続けたいと思っています。彼はシーズン3で、大きな動きを起こすと私は思いますよ」
それでは、シーズン3について現時点でわかっていることを見てみましょう。
![euphoria season 2 photo call](https://hips.hearstapps.com/hmg-prod/images/eric-dane-colman-domingo-zendaya-sam-levinson-hunter-news-photo-1706007434.jpg?resize=2048:* ""Euphoria" Season 2 Photo Call")
2022年2月上旬に雑誌『バラエティ』のオンライン版は、「HBOがこのドラマのシーズン3の製作を決定した」と報じました。そのときHBOの番組編成部門のエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント、フランチェスカ・オルシが発表したコメントは以下の通りです。
「サム、ゼンデイヤ、そしてこのドラマの全キャストとスタッフたちは、シーズン2を比類なき高みへと導きました。そして、ドラマの中で物語を描くときの慣習や形式に挑戦しながらも、ハートというべき部分を守り続けてきました。私たちは、この才能あふれるワイルドなチームと仕事ができることを、これ以上ないほど光栄に思っています。シーズン3で彼らとの旅を続けられるのは、何よりも心躍ることです」
雑誌『Vogue』イタリア版のインタビューでゼンデイヤは、シーズン2のエピソード6『懺悔（ざんげ）』を監督するはずだったのに、準備する時間がなくて断念したことを話していました。
「変だよね。本当は第6話を監督する予定だったのだけれど出演しなくてはならなくなった。それで十分な時間が取れなかったから、今回は見送った。きちんと準備する時間が欲しかったんだ。だから、おそらく次のシーズンでは……ね」
いいニュースです。シーズン3が配信されるまであと数年かかるかもしれませんが、ゼンデイヤの監督したエピソードが見られる可能性は大きな心の支えになってくれるでしょう。
“キャット”こと、キャサリン・フェルナンデス役のバービー・フェレイラは新シーズンに出演しないことをインスタグラムで発表しています。体型を気にしているティーンネイジャーで、自分のセクシュアリティを受け入れ始めたばかりのキャットは、シーズン1から視聴者の心をつかんで離しませんでした。
しかしシーズン2では、ほぼ脇役。ボーイフレンドのイーサン（オースティン・エイブラムス）との関係やマディ（アレクサ・デミー）との友情に焦点が当てられていました。キャット自身のストーリーが減ったことが発端になり、フェレイラがこの作品に不満を抱いているという噂も浮上しました。理由はどうあれ、フェレイラがこのドラマを降板した今、キャットのストーリーも幕を下ろします。
「とても特別で謎めいたキャラクター、キャットを表現してきた4年が終わり、私は涙と共にお別れを言わなくてはなりません」と、フェレイラはインスタグラムストーリーズにつづっています。
「多くのみなさんが私と同じように彼女の中に自分自身を見いだし、彼女が今のキャットになるまでの道のりを見ることに喜びを感じてくれていたならうれしいです。私は彼女を大切に思い、愛を注いできました。愛してる、キャサリン・フェルナンデス」
また昨年7月には、フェズを演じたアンガス・クラウドが急死しました。レヴィンソンが、フェズにどのような運命を与えるのかはわかっていませんが、ファズが名誉あるラストを迎えてくれることを願ってやみません。
シーズン3が明るいフィナーレを迎えると予想してみましょう。それは…ルーがシーズンを通して薬に手を出さず、最後には回復するという展開です。そして、さらに彼女はその薬物をどうするべきなのかを考え始めます（もちろん、そこにはモード・アパトー演じるレクシーが関わっています）。
シーズン3ではルーの回復の次の段階、さらにはジュールズ（ハンター・シェイファー ）への謝罪を描いてほしいと願っている視聴者は多いでしょう。どうやらゼンデイヤも、そう思っているようです。
「私たち、そして世界に必要なのはそれだと思う」と、テレビ番組「エンターテイメントトゥナイト」に語っています。
「もしあなたがつらい瞬間を耐え、ルーと一緒に乗り越えることができるなら、まだ彼女を応援することができるなら、最後には希望が見えてくるのかもしれない」
他のメンバーはどうなるのでしょうか？ シーズン2のフィナーレが公開される数日前に、エリオット役のドミニク・ファイクはジミー・ファロンのトーク番組『トゥナイト・ショー』に出演しました。
ファロンに「来シーズンに出演するのか？」と聞かれたドミニクは、「絶対に出る」と答えています。シーズン2で彼が聞かせたルーへの謝罪の歌は本物のように見えましたが、これを最後に姿を消す可能性はないと考えてよさそうです。
ルーとエリオットが2人で乗り越え、友だちに戻る道を見つけてくれることを祈りましょう（その可能性は今のところ低そうですが…）。
Translation / Yoko Nagasaka
Edit / Minako Shitara
※この翻訳は抄訳です
