ビヨンセの新曲だけじゃない！ 2019年8月9日公開『ライオン・キング』を観る前に知っておくべきこと

　発表時から大きな話題となっていたのが、キャストの豪華さ。

　泣く子も黙る女王ビヨンセ、チャイルディッシュ・ガンビーノ名義での音楽活動も大人気のドナルド・グローヴァー、アカデミー賞ノミネート俳優キウェテル・イジョフォー、引っ張りだこのコメディ俳優セス・ローゲン…などなど、エンタメ界の第一線で活躍する面々が声優として大集合しました。

　中でも、ネットを熱狂させたのが歌姫ビヨンセの起用。

　「初めて泣いたディズニー映画が、1994年版『ライオン・キング』で、これを観て育ちました」と語るビヨンセにとって、今作への出演は大きな意味を持っているようで、挿入歌のPVも気合いが入っています。

　そんなビヨンセたち豪華キャストですが、単にマイクの前で録音するのではなく、特別なスタジオに全員を集めて録音することにもこだわったとのこと。そのため、アドリブも含めて彼らの息の合った演技を楽しめるのです。

　さらには、音楽界の寵児ファレル・ウィリアムスも参加し、劇中の5曲をプロデュース。モダンなアレンジがなされたサントラは、映画を観た帰り道に即ダウンロードしたくなるはずです。

　今作のメガホンをとったのは、あの『アイアンマン』シリーズ（2008～）や『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』（2014）、『ジャングル・ブック』（2016）など、数々のヒット作を生み出してきているジョン・ファヴロー監督。

　俳優としても活躍しており、最近では『アベンジャーズ／エンドゲーム』や『スパイダーマン：ファー・フロム・ホーム』などに、アイアンマンの相棒ハッピー・ホーガン役で出演しているのを覚えている人も多いことでしょう。

　今作のプロジェクトが立ち上がる半年前、アフリカを旅したというジョン。サバンナで多くの人々が『ライオン・キング』の曲を口ずさみ、キャラクターの名前を呼ぶ姿を目撃し、いかにこの作品が自分たちの心に根づいているかを痛感したそうです。

　『ジャングル・ブック』ですでに、新たな表現を具現化していた彼は、こうして新しいカタチでのリメイクへの思いの至ったのだとか。

　「これって実写!?」と勘違いしている人もいるかもしれません。が、今作はあらゆるシーンが通常のCG映像を大きく超えたものになっています。

　最先端VR技術やゲームエンジンを採用し、『タイタニック』『アバター』でも活躍する視覚効果アーティスト、アンドリュー・R・ジョーンズ指導のもと、世界30カ国から参加した130人ものアニメーターたちが動物たちに命を吹き込み、生き生きととしたハイパーリアルな世界がつくり出されています。

　濡れた毛並み、岩山や植物の質感、光と影のコントラストなど、実写かアニメーションか見分けがつかないような圧倒的な完成度は、ぜひ大画面で体験することをおすすめします。

　また、登場する動物たちは、表情のかわりにジェスチャーを豊かにすることで、リアリティーを損なうことなく感情をよりわかりやすく表現したのだとか…。例えばシンバの幼なじみのナラは、声を担当したビヨンセの実際のステージ上での動きも参考にしているそうなのです。

　なお、登場する動物は総計86種類にも及ぶとのこと。

　ストーリーは1994年版と基本的に同じです。

　ジョン監督は、「原作は非常に多くの人に愛されているので、忠実に再現すべきポイントはなるべく忠実にしました」と語っており、原作のファンには「あのシーンだ！」と懐かしくなる瞬間がいくつも存在します。よって、原作を観直してから今作に臨むと、より楽しめるのは確実ですよ。

　しかし、すべてが同じではなく、新しい要素も加えられています。

　“サークル・オブ・ライフ＝生命の環”は、弱肉強食の縦のつながりだけではなく、シンバとナラ、ティモンとプンバァなど、横のつながりでもあるということ。

　監督はここに「人は個々で生きているように思えて、実はつながっている」というメッセージを込めており、そんな今作には、現代の私たちだからこそ共感できる要素もしっかり含まれているのです。

　また、キャスト＆スタッフも主人公シンバの父・ムファサの声を担当したジェームズ・アール・ジョーンズ、挿入歌を担当したエルトン・ジョン、大御所作曲家のハンス・ジマーと作詞家ティム・ライスが、1994年版に引き続き今回も続投。四半世紀の歳月を経てカムバックしたという事実を知っておくと、より心に沁み渡るものがあるでしょう。

　ちなみにジェームズは、あの『スター・ウォーズ』シリーズのダース・ベイダーの声でも知られているので、字幕版を観に行く人はよく耳を傾けてみてください。

　では、気になる（気にならない方もいるでしょうが、まあまさ参考に）制作費はいったいどのくらいだったのでしょうか？　

　ジョン監督のディズニー前作『ジャングル・ブック』は1億7,500万ドル（約190億円）、今年公開された『ダンボ』と『アラジン』はそれぞれ1億7,000万ドル（約184億円）、1億8,300万ドル（約198億円）とされている中、今作の制作費はそれより大幅に多い2億5,000万ドル（約271億円）と報じられています。

　ちなみに、全映画史上最大のヒットを先日達成した『アベンジャーズ／エンドゲーム』は、ディズニー史上最大となる3億5,000万ドル（約380億円）の制作費がかかったとされています。

　全米では2019年7月19日に封切りされた今作。その週末だけで、米国内で1億9,100万ドル（約207億円）、現時点では米国内だけで早くも3億5,100万ドル（約382億円）、全世界で9億6,800万ドル（約1,053億円）の興行収入を叩き出す特大ヒットを更新中。

　最終的には、ディズニー映画の中でもトップレベルのヒットとなるのは間違いなしと言えます。

　老若男女すべての心に訴えかけるタイムレスさと、驚くべきクオリティの映像、胸に響く音楽を、原作を観て育った大人も、初めて観るキッズも、劇場で存分に味わってみてください。

『ライオン・キング』
2019年8月9日（金）日本全国公開
https://www.disney.co.jp/movie/lionking2019.html
© 2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.