グラミー賞は音楽界を代表する、最高峰の祭典のひとつでしょう。ですが、これを主催するレコーディング・アカデミーに関しては完璧なお手本とは言い難い存在です。ジェイ・Zの言葉を聞いてみましょう。

現地時間2月4日(日)に行われたグラミー授賞式の終盤、昨年発足された黒人アーティストの偉大な功績を称える賞を受賞した彼が壇上に上がると、レコーディング・アカデミーが犯した失敗を強調しました。つまり、妻ビヨンセを冷遇するグラミーに苦言を呈したのです。

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JAY-Z Accepts Dr. Dre Global Impact Award | 2024 GRAMMYs Acceptance Speech
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ジェイ・Zが受賞したのは、昨年の第65回グラミー賞授賞から発足された「ブラック・ミュージックに貢献し、世界中にポジティブなインパクトを残したアーティストに贈られる」というドクター・ドレー・グローバル・インパクト賞。愛娘のブルー・アイビーを連れてステージに上がると、厳しい言葉を口にしました。

それは、「この受賞することは全くもって素晴らしいことですが、賞の意思決定者がしばしば的外れなことをしている状況では、その賞の権威は損なってしまうだけでは」というのが彼の見解になります。

「この若い女性に、恥ずかしい思いをさせないでくれ」と言いながら、ジェイ・Zは妻のビヨンセを指してこう続けます。

「彼女は誰よりも多くのグラミー賞を受賞しているのに、最優秀アルバム賞を受賞したことがない。あなたたちの評価基準に照らし合わせたとしても、それはおかしな話じゃないか、考えてみてくれ。グラミー賞最多…でも、最優秀アルバム賞はなし。それって通用しないだろ」

66th grammy awards show
Kevin Winter//Getty Images

「今夜家に帰ってみたら、泥棒に入られていたような不遇な気分になるよ」と、彼は言い放ちながら続けます。

「実際、その不遇さに悲しむ人もいるだろう。そして、このカテゴリーに合致しない人もいることも確かなことさ」と続けると、観客席は驚きで騒然となります。そして彼は、「緊張すると、本当のことを言ってしまうんだ」と付け加えたのでした。

今年、ビヨンセはノミネートされていませんでしたが、昨年は最新のアルバムである「ルネッサンス」はノミネートされるも、最優秀アルバム賞は逃しています。ちなみにその年の最優秀アルバム賞を受賞したのは、ハリー・スタイルズの「Harry House」でした。

昨年の第65回グラミー賞でビヨンセはこれまでで32個目のグラミーを獲得し、歴代最多受賞者となりました。ですが、これまで年間最優秀アルバムに4度ノミネートされながら、一度も受賞したことがありません。

そうしてジェイ・Zは受賞スピーチの最後に、会場にいた他のアーティストたちにメッセージを送ります。

「グラミーのことは忘れよう――自分にふさわしいと思う称賛を得られるまで、姿を見せ続けよう。彼らがあなたをこの業界の最高位に立つ人物、リーダーと認めるまで…。彼らがあなたを天才、そして史上最高と呼ぶまで…」。

Translation / Yoko Nagasaka
Edit / Minako Shitara
※この翻訳は抄訳です

From: Esquire US