2020年に迫った米大統領選ですが、現職の共和党ドナルド・トランプ氏と対決すべく、民主党からはこれまでに20人以上が立候補を表明しています。その中の1人が、バーニー・サンダース氏です。 
 
 2016年の党候補者指名争いでは、サンダース氏はヒラリー・クリントン氏を相手に接戦を演じ、予備選ではクリントン氏を上回るという大健闘ぶりでした。最終的に負けはしましたが、その社会主義的な政策で新たな旋風を巻き起こしたのです。 
 
 今回は2016年のような状況とは違い、アメリカ国民へのサンダース氏の知名度は高く、好感度も十分です。しかし2020年大統領選では、クリントン氏の「メール疑惑」のようなモラル的な材料に訴えることは少なく、ホワイトハウスを強く批判しています。彼には大統領らしさをアピールすることが必要と言えるでしょう…ですが今回、その貫禄が十分に伝わってきたのです。

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ワシントンD.C.のジョージ・ワシントン大学で、ヘルスケアを演題に語るサンダース氏。

 ワシントンD.C.にて2019年7月17日(水)、主要公約として掲げる国民皆保険制度(メディケア・フォー・オール)について、「今こそ医療保険業界に、利益よりも米国民の命が大事だと言うときだ」と述べ、保険・製薬業界に立ち向かう姿勢を示す演説をしたサンダース氏の装いをご覧ください。

 米国大統領の伝統とも言えるネイビースーツに着用し、その他のディテールも完璧と言えます。落ち着いた色合いのネクタイにオックスフォードシャツ、ゴールドのラペルピンと、2016年とは大違いの風格です。当時の写真を確認すれば…ラフな(ちょっとくたびれた)ノータイ姿で、世論調査でもその装いには定評があったクリントン氏とは対照的でした。 
 
 今回、彼は2020年大統領選に向けた、民主党の候補者予備選は複雑な様相を見せています。サンダース氏は今回、他の極左派候補とも争わなくてはなりません。そして最大のライバルは、接近戦を展開している議員生活46年のベテラン、47代副大統領のジョー・バイデン氏なのです。

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2016年の民主党候補者選で、イデオロギー的にもビジュアル的にも対照的だったサンダース氏とクリントン氏。

 このようなエスタブリッシュメント(政府機関がつくり上げた社会秩序・体制)に対し、どのようにしたら最高の脅威を与えられるのでしょうか? それは彼らのように装うことなのです。もちろん、サンダース氏がスーツに不慣れだったということではありません(なにせ過去数十年間、彼の勝負服はネイビースーツでしたので…)。しかし、2020年の大統領選に向けてのサンダース氏は、一貫して洗練された印象になったと言っていいでしょう。 
 
 2016年の大統領選で、「革命」をスローガンに社会主義キャンペーンを展開したサンダース氏は、ときに(誤って)大学時代に参加した反戦運動(大麻やドレッドヘア、汚い服装などのステレオタイプなイメージ)と結びつけて見られることもあり、それが右派や中道から嘲笑的な批判を受ける対象ともなっていました。

 よって今回の装いの変化は、そのような批判が間違っていることを証明するための戦略とも言えるでしょう。 
 
 あと1年と迫った米大統領選に向けて、サンダース氏はどのような策で民主党のライバルや共和党で2期目を目指す現職トランプ氏に立ち向かうのでしょうか?

 きっと彼は、勝負服としてネイビースーツを常に着用するようこころがけ、好印象なスタイリングであらゆる公の場所で選挙活動を行うに違いありません…実際は、そうあってほしいと願っているところです…。

 

 
 
From Esquire UK 
Translation / Keiko Tanaka 
※この翻訳は抄訳です。