今「プレッピー」スタイルは、復活の兆しを見せています。しかしながらこの「プレッピー」というワード、 Y世代以降の皆さんにとっては曖昧なワードかもしれません。簡単に説明するなら、「プレッピー(preppy)」とはアメリカン・トラディショナルの流れをくむスタイル1つであり、東部の一流大学を目指す名門私立高校 (preparatory school) に通う生徒たちの略称「プレップ」がその語源だと言われています。つまり、良家の子息が着こなしそうな品行方正なスタイル≒「プレッピー」としています。

それ以前に、1950年代に流行したアメリカの有名私大8校(ハーバード、プリンストン、イェール、ブラウン、コロンビア、ダートマス、ペンシルバニア、コーネル)による団体・アイビーリーグ所属の学生たちのファッションに由来する「アイビー」スタイルというワードもあります。「プレッピー」が最初に流行したのが1980年代としているので、「アイビー」が流行した世代の子どもたちの世代におけるトレンドとして浮上したのが、「アイビー」の流れをくむ「プレッピー」と言っていいかもしれません。なので80年代に流行った初期の「プレッピー」は、「アイビー」よりも少々ルーズなシルエットで上質な服を適度に着崩すといったイメージをするといいでしょう。

そして現代のおける「プレッピー」とは…?

“ちょっと外したドレスアップスタイル”…といった「プレッピー」の美学が反映されたスタイルは、直近ではディオール(Dior)エトロ(Etro)ケンゾー(Kenzo)などの2023年秋冬コレクションショーのキャットウォークに登場しました。また、コレクションばかりでなく、ノア(Noah)エメ レオン ドレ(Aimé Leon Dore)といったストリートウェアブランドにもその流れは波及しています。皆さんが「プレッピー」スタイルのファンであるか否かにかかわらず、このトレンドはさまざまなところで見られているのです。

その中で特出すべきアイテムが、イギリス・ロンドンの郊外にあるラグビーの聖地「トゥイッケナム・スタジアム」に通う屈強な体躯の男性たちも喜ぶであろう、ラガーシャツ風のトップスです。この復活は注目すべきところでしょう。

もちろんこのラガーシャツ風のトップスは、激しいタックルをかわしてトライを狙う実際のラグビー選手でなくても着こなすことはできます。もちろんそれは、ラグビーは発祥の地であるイギリスの人々ばかりでもありません。ここで紹介する全米のスター、ジェイク・ギレンホールが見せてくれているように、ラガーシャツ風のトップスは日常着として効果的に取り入れることができるのです。

ジェイク・ギレンホールとは?

父は映画監督のスティーヴン・ギレンホール、母はプロデューサーで脚本家のナオミ・フォナーという芸能一家に育ったジェイク・ギレンホール。映画『ドニー・ダーコ』で注目を浴び、多彩な役柄をこなすことからカメレオン俳優としても知られています。

ファッションでも彼はどんなアイテムでも、たいてい着こなしてしまうことは確かですが、特に抜け感のあるスタイルがトレードマークと言っていいでしょう。クラシックなスーツやざっくりとしたニットなどを中心に、アースカラーでまとめていることが多い印象です。そんな彼は、アイビーリーグの一校であるコンビア大学にも入学していましたし…(ですが、俳優としてのキャリアを優先して2年で中退ということ)。

登場した場所は?

冒頭の写真は、アメリカの人気トーク番組『ジミー・キンメル・ライブ!』のスタジオに向かうところで撮られたものです。彼はこの番組で、主演したガイ・リッチー監督映画『ザ・コヴェナント』について語りました。ちなみに原題では、監督名がタイトルの中に含まれています。

着用アイテムは?

ギレンホールは、伝統的なプレッピースタイルをモチーフにしつつ、それをイタリアブランドのマリアーノ(Magliano)のアイテムを使って、カジュアルダウンしたコーディネートに仕上げていました。

ラガーシャツ風のトップスは、やや大きめのサイズ(と書いて「快適」と読む)で現代風にルーズスタイルにアレンジ。黒のパンツはドローストリングのウエストバンドがポイント。足元にはクラシックな白いスニーカーを。カルティエの「サントス ドゥ カルティエ」(ギレンホールはこの“サントス”の顔に選ばれ、プロモーションムービーに出演したこともあります)とオレンジのスクエアフレームのサングラスが、プレステージ感を添えています。

このスタイルを再現するには?

アイテムはシンプルにまとめ、質を重視することです。アメリカ発祥で、かつてアメリカのアイビーリーグの学生たちに大人気を博したブランド ガント(GANT)は、4月初めに4日間の展示会を開催。スポーツウェアの伝統を称え、プレッピースタイルの歴史の中でこのブランドが果たしてきた役割を改めて示しました。ガントのウェブサイトには、ラガーシャツ風のトップスが豊富にそろっています。

避けるべきことは?

悪目立ちしたくないという人は、ギレンホールの着こなしのように派手な色合いを避けるとよいでしょう。そして、シックス・ネーションズ(イングランド、フランス、アイルランド、イタリア、スコットランド、ウェールズが参加し毎年開催されるラグビーの国際大会)に今にも出場しそうな雰囲気にするのではなく、あくまでも試合観戦側のスタイルに仕上げることが重要です。

メリノウール ラグビーシャツ ポプリントリム ストライプ柄
YMC メリノウール ラグビーシャツ ポプリントリム ストライプ柄
MR PORTER で見る
Credit: NET-A-PORTER
コットン ラグビーシャツ with カンガルーポケット
ブルックス ブラザーズ コットン ラグビーシャツ with カンガルーポケット
Credit: Brooks Brothers
Band Collar Rugby
ノア Band Collar Rugby
Credit: Noah

Source / ESQUIRE UK
Translation / Keiko Tanaka
※この翻訳は抄訳です