過去数シーズン、メンズウエア(特にスーツ)のトレンドには、米ニューヨークの金融街であるウォール街風の要素が入っています。もちろん、ここで言う「ウォール街」とはバブルがまだ崩壊する以前、マイケル・ダグラスが映画『ウォール街』で「強欲は美徳だ」と豪語するウォール街の帝王ゴードン・ゲッコーを演じた、まさにその時代の話です。

 帝王と言えば、なんと英国のチャールズ皇太子も今回、当時のディーラーたちが好みそうなスーツ姿を見せてくれましたのでご紹介します。 
 
 2019年10月22日に行われた「即位礼正殿の儀」に出席するため、来日したチャールズ皇太子は、英国と日本との友好関係を記念して英国大使館が開催したレセプションなど、様々な場所を訪問。そこで、世界的なトレンドを取り入れたピンストライプのスーツスタイルを披露してくれました。メンズファッション界では、マルニやフェンディ、エドワード クラッチリーなどのトップブランドが今年の秋冬コレクションに取り入れていることなどから、ピンストライプが再びトレンドに戻ってきています。ちなみにピンストライプは縦長の視覚効果があるため、背が低い人こそぜひとも取り入れたいアイテムです。

prince charles
Chris Jackson

 ウォール街の帝王風なのは、ピンストライプだけではありません。

 チャールズ皇太子はこれに、大きなラペル、ボックスシルエットなどの80年代パワースーツの要素を取り入れています。さらに、薄い色のストライプのシャツに幾何学柄のタイ、コントラストの効いたポケットチーフで完成させています。まるでこれは、スタイリングのM&A(合併・買収)と言ってもよいでしょう。

 強力さが増して失敗しようがありません。さらにスーツだけでなく小物選びもトレンドを意識したもののようです。プラダはこのような、映画『マスク』でジム・キャリーがジャズクラブのシーンで着けていたようなネクタイを出していますし、ストライプにストライプをオンするコーディネートも、ファッション界(金融界)の中ではじわりじわりと流行ってきています。 
 
 ファッションに敏感な人々にとっては、このスタイルも比較的無難だと思うかもしれません。しかしながら、チャールズ皇太子は言うまでもなく王室の人。王室の人々は通常、男性ファッションの流行に乗ったりはしないものです。そんな中、イギリス王室を継ぐチャールズ皇太子は、明らかに「ウォール街」ファッションを大胆に取り入れています。殿下の装いをぜひご確認いただき、皆さんのスタイリングのひとつに取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 
 

From Esquire UK 
Translation / Keiko Tanaka 
※この翻訳は抄訳です