食卓テーブルを前に深く椅子に座ってください、これから真面目な質問をします…「これまでの人生において、トーストとあなたの関係について真剣に考えたことはありますか?」

 キューピーやヤマザキのCMを観ると、無性にパンが食べたくなりませんか? しかも食パンをトーストして…といったように、パンという食べ物の基本へと立ち戻りたくなるのです。さまざまなパンを経験してきたわれわれはふと、食パンのトーストというシンプルで手軽、そしてパンそのものの味が存分に楽しめ、さらにしっかりとお腹を満たしてくれる完璧な食べ物のことを、ふと思い出すのです。

 ここ数年の間に食パン専門店も続々と登場するようになり、ベーカリーでも食パンづくりに力を入れ、お店の看板商品にしているところも少なくありません。つまりそれは、消費者であるわれわれこそが差別化された食パンをいつの間にか求めていたからに他なりません。そして、そのこだわりは食パンばかりでなく、その上にのせるジャムやソースなどにも…。それが食パンを取り巻く、現況と言えるでしょう。

 パンは老若男女問わず食されている食べ物であり、米のように素材そのものの美味しさがわかりやすい食べ物です。そのパンをより美味しく変換することができるマシンがあるとしたら…どうでしょうか?

 事実、エスクァイア編集部が思う限り存在します。それがこの、スチームトースター「BALMUDA The Toaster(バルミューダ ザ・トースター)」です。これはまさに、マジックのように食パンを美味しく焼き上げてくれるマシンなのです。日本ばかりでなく韓国でも、すでにカルト的な人気を博していますが、このたびアメリカでの販売が開始されました。すると、たちまちベストセラーと言えるほど注目と人気を集めています。なにせこのトースター、蒸気を利用して「外はパリッと中はフワッと」というトーストの理想をその言葉通り実現してくれるのですからたまりません!

「バルミューダ」トースターの魅力
Allie Holloway
トーストが最も得意なマシンと言えますが、加熱可能なものならトレーにおいてグリルすることもできます。

素敵なトーストをつくるための小さなステップ

 サイズは、小さな電子レンジと同じくらい(梱包サイズは、39 × 36.5 × 26.5cmになります)の「バルミューダ ザ・トースター」。「コンパクト」とも言えるマシンサイズですが、ひと工夫加えるだけでその美味しさは期待をはるかに超えたものになるでしょう。

 そのひと工夫とは、トースターの上部には小さなスロット(細長い穴)に5ccの水を注ぐだけのこと。この水のおかげで、運転が始まるとスチームが庫内に充満。そして、パンの表面を薄い水分の膜で覆います。水分は、空気よりもはるかに速く加熱されるものです。よってパンの表面だけが、素早く軽く焼けた状態となりわけです。次に、パンの中の水分やバターなどの油脂成分、香りをしっかり閉じ込めたまま本格的なヒーター制御で焼き上げる…という仕組みになっているわけです。

 「5ccを毎回計るの!? 面倒だなぁ…」とお嘆きの皆さんへ。トースターを購入すると、小さな軽量カップが付属されていますので、そのカップを使用すれば簡単です(…と軽率な解説をしていますが、そこまでに至るまでの開発にはさまざまな試行錯誤が繰り返されたことでしょう)。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
BALMUDA The Toaster | スチームテクノロジー
BALMUDA The Toaster | スチームテクノロジー thumnail
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 また、もう一つ、優れた機能があります。それは、3つの温度帯を細かく制御することによって絶妙なトースト状態へと仕上げてくれる技術です。パンの中のやわらかさと風味がよみがえる(デンプンのα化)60℃前後の温度、表面がきつね色に色づき始める160℃前後の温度、そして、焦げつき(炭化)が始まる220℃前後の温度帯の組み合わせからなります。

 前面に2つのダイヤルがあります。1つは温度用で、もう一つはタイマーです。向かって左に配置されているダイヤルが温度用で、これには「普通の食パン」と「上に具材が乗っている食パン」など、パンの種類に合わせた4つのモードが用意されています。プラス、クラシックモードとして170℃、200℃、230℃の3つの温度も選択可能となっています。

 立ち上がりも早く、一定の温度で焼き続けてくれるので、簡単にオーブン料理も楽しむことができるでしょう。

「バルミューダ」トースターの魅力
Allie Holloway
設定には、トーストモード、バゲットモード、ピザモード、そしてクロワッサンモードがあります。

「バルミューダ」トースターを実際に使ったUS版編集者の感想

 フランスパン、クロワッサン、ピザ、マフィンなど、あらゆる焼き菓子を「バルミューダ」で挑戦してみたところ、外はサクサクで中はしっとりと温まって美味しい仕上がりでした。トースターとしての外観の美しさだけでなく、機能性も持ち合わせているマシンです。

 さらに色々な実験をしてみると、ブリオッシュが群を抜いて美味しいことが発見できました。ご存知のようにブリオッシュはフランス発祥のパンで、クロワッサンと並ぶ人気です。大量の卵・バター・砂糖を使用してつくり、リッチな風味とフワフワした食感を持つ甘みが魅力の菓子パンです。これをトーストすると、さらに旨味が増すわけです…。糖度が高いので、外側はほとんどカラメルのような風味になりますよ。

 この感動を誰かに伝えるべく、友人のケヴィンを招き、ブリオッシュトーストの会を開きました。このケヴィンとともに私は現在もトーストに夢中で、ひたすら美味しいパンを求めて2020年に入ってから7モデルものトースターを試しながら、完璧なマシンを探している最中だったのです。ただ彼はまだ、「バルミューダ」 に出合っていなかったのです…。なので、真っ先にケヴィンを招待することになりました。

 早速ケヴィンに、ブリオッシュのトーストにバターとジャムをトッピングしたものを出しました。そして一口食べると、「神がかったほど美味しい」とつぶやくと、あっという間に平らげてしまいました。そうしてしばらく沈黙して座っていた彼は、落ち着いてからこう言ったのです。「悔しいけど…、これは今までで最高の自家製トーストだと思う」とのこと。 

「バルミューダ」トースターの魅力
Allie Holloway
このスロットに付属の小さな軽量マグを使用して5ccの水を注ぐことで、トースターを蒸し焼きすることができます。

トースト以上の仕上がり

 「バルミューダ」についての不満は、ほとんどありません。その美しいデザインやシンプルながらも多機能であり、パスタや肉、野菜なども調理することができるのです。「これさえあれば、もう電子レンジは必要ないです」と豪語する方もきっといることでしょう。

 唯一不満をあげるとすれば、小さな5㏄の計量カップです。これはかわいいのですが、本体に収納する場所がありません…。しかしこの小さな悩みも、日本なら100円均一ショップで小さなマグネットフックさえ買えば、一瞬で解決してしまうでしょう。なので、不満はほぼゼロと言って過言ではありません。

 日本では、2万2900円(米国では約300ドル前後)で販売されています。トースターに、この値段は少々割高と思えるかもしれません。ですが、トーストの世界にここまでの革命をもたらしたこの家電製品。一度使ってみれば、その値段にも納得がいくはずです。  

公式サイト

Source / ESQUIRE US