《概要》

  • 日本に流通している「電子タバコ」と呼ばれる「VAPE(ベイプ )」とは、正確にはタバコではなく、フレーバー(香料)を楽しむ器具。
  • 最先端の技術が集まり、いまや“中国のシリコンバレー”とも呼ばれる深センには、中国国内外のベンチャー企業や大手メーカーの工場が多く、VAPE市場を牽引するエリアとしても名高い。
  • 中国や日本だけでなく、世界的に注目度の高い加熱式タバコのデバイスで有名な『jouz(ジョウズ)』が支持される理由は、持ち歩きたくなるデザイン性と使い勝手の良さ。VAPEも初お披露目。

 
 2019年4月14(日)~16日(火)の期間に中国・深センで開催された「電子タバコ」や「加熱式タバコ」に関する展示会『2019 IECIE Shenzhen eCigExpo』へ出張の機会を得た私(筆者であり、実は非喫煙者)は、現在におけるこれら新たな市場のリアルな過熱ぶりを実感すべく、現地取材を敢行しました。

なぜ、“非喫煙者”である私が、電子タバコ市場に対して興味を抱いたのか…というと、非喫煙者の方も嗜好できる新しいタイプの電子タバコ「VAPE(ベイプ )」とはいかなるものなのか?をこの目で確かめたかったからなのです。なぜ、“非喫煙者”である私が、電子タバコ市場に対して興味を抱いたのか…というと、非喫煙者の方も嗜好できる新しいタイプの電子タバコ「VAPE(ベイプ )」とはいかなるものなのか?をこの目で確かめたかったからなのです。

電子タバコ「VAPE(ベイプ)」とは何?


 まずは私のような非喫煙者で初心者のために、「VAPE(ベイプ )」は何かを説明しましょう。

 VAPEとは、本体内部のタンクに注入した電子タバコ用リキッドを、内部コイルで加熱して発生させた蒸気を吸い込んで楽しむ嗜好品です。そして日本においては、ニコチンを含んだ電子タバコ用リキッドの販売は禁止されています。そうです、名前は「電子タバコ」で統一されていますが、正確には「タバコ」ではなく、ノンニコチン・ノンタールの蒸気でさまざまなフレーバー(香料)を楽しむことができる器具と言えるのです。「タバコをふかす」のではなく、「アロマをふかす」わけです。

 喫煙者の皆さんに「なぜタバコを吸うのですか?」と聞けば、おそらく半分以上の方が、いくつかある理由のひとつに「口寂しいから…」と言うに違いありません。しかしその欲求は、喫煙者ばかりでもありません。非喫煙者も同じで…少なくとも私の場合はガムやドリンク、スナック類で、その寂しさをごまかしています。これに共感していただける方も少なくないでしょう。そこでその選択肢の中にこのVAPEが割り込み、頭角を現してきたワケです。実質上アロマを吸うわけですから、カロリーに対する余計な心配も必要ありません。これは画期的な嗜好品と言っても過言ではないでしょう。

 その一方で、喫煙者にとってもメリットがあります。それは…VAPEはノンニコチン・ノンタール。これに切り替えることは、「実質上は禁煙を達成したも同然」と言えるわけです。

世界最大級『eCigExpo』in 深センに潜入! 世界市場の盛り上がりは?
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 VAPEに関する展示会は、日本や英国でも開催されています。ですが、今回の中国・深センでの『eCigExpo』は、45カ国から1500ものブランドが集結、およそ5万人来場するほどの世界最大規模を誇っています。深センは歴史的にも中国企業やメーカーの工場が多く点在していたという背景もあり、いまでは最先端の技術が集結する場所として発展を遂げています。そんな理由から、「中国のシリコンバレー」という異名もあるほどです。

 そして中国は国策として、「加熱式タバコ(ニコチンを含んだ蒸気を生じさせ吸い込むのモノ)」の販売が現在(2019年4月)認められていないことや、日本と違ってニコチン入りのVAPE用リキッドの販売が認可されている背景も相まって、VAPE市場は非常に多きな盛り上がりを魅せているということが、会場の熱気と人の混雑具合で伝わってくるのです…例えるなら、まさに東京・渋谷のスクランブル交差点状態…。
 
中国企業はもちろんのこと、欧米系の企業に加え、中東系企業のブースと世界中から出展されていました。ストリート文化が強い欧米は、VAPEをファッションアイテムとして持つ印象です。そして「水タバコ」文化のある中東では、用途が比較的似ているVAPEは「一挙に流行するのではないか?」と思わせる賑わいでした。中国企業はもちろんのこと、欧米系の企業に加え、中東系企業のブースと世界中から出展されていました。ストリート文化が強い欧米は、VAPEをファッションアイテムとして持つ印象です。そして「水タバコ」文化のある中東では、用途が比較的似ているVAPEは「一挙に流行するのではないか?」と思わせる賑わいでした。

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Hikaru Sato
ひっきりなしに来場者が足を止める『jouz(ジョウズ)』のブース。

デザイン性と温度管理性能が高い人気ブランド『jouz(ジョウズ)』

 1000を超えるブランドの中から、会場内でもブース面積が大きく、ひと際賑わいを魅せていたのが日本でも加熱式タバコのデバイスで有名なブランド『jouz』です。

VAPE
Hikaru Sato
2019年4月に日本でも発表された『jouz S』は、シンプルなデザインで程よい重厚感。日本国内での発売日・価格は現在未定。


 今回、『jouz』が展示していたのは「ポッド型」になります。リキッドが含まれたポッドと呼ばれるカートリッジを取り替えるだけで、リキッドとコイル交換が完了するタイプです。交換が簡単で持ち運びやすく、タンクのメンテナンスも不要なので、紙巻きタバコや加熱式タバコに比べて手間が圧倒的に少なく、初心者には非常に扱いやすいタイプになります。

VAPE
Hikaru Sato
『jouz S』専用のポッド。


 フレーバーはメンソール、カフェラテ、ピーチや柑橘系など12種を展開。香りが広がり、しっかりとした吸い応えのある感じでした。

VAPE
Hikaru Sato
初披露となった、使い捨てタイプのVAPE『jouz A』。


 今回の展示会で初披露となったのが、使い捨てタイプのVAPE『jouz A』。充電やポッドの設定も必要がないため非常に手軽。カラーヴァリエーションが豊富なので、気分に合わせて変えられるのもよさそうです。また、女性たちのエントリーモデルとなる可能性もきっと高いでしょう。

加熱式タバコ
Hikaru Sato
最新の加熱式タバコ『jouz 20 Pro』。


 ラストは20本連続喫煙可能な『jouz 20 Pro』。こちらはVAPEではなく、加熱式タバコです。革を使用したラグジュアリーなルックスで、手になじみやすく持っていても様になるデザイン。加熱温度調整機能が搭載されているほか、Bluetoothによる専用アプリを介して、スマホで温度調節やメンテナンス操作することも可能となっています。ちなみに『jouz 20 Pro』に関しては、AMAZONで購入可能です。  
 
 中国では、健康に配慮する人やファッションアイテムとしてVAPEを持つ人が多いそうです。その一方、日本においては健康志向が後押しし、昨今の喫煙者の肩身が狭いという背景からも非喫煙者・喫煙者を巻き込み、このVAPE市場は今後大いに、しかも長期的な盛り上がりを見せることでしょう。