• 世界最大の会計事務所であるデロイト・トーマツは、2023年までに世界で3億台の電動自転車が流通すると予想しており、これは現在より50%多い数です。
  • この理由の1つには、リチウムイオン電池のコスト低下があります。このような電池は、従来の電動自転車に使用されてきた鉛蓄電池よりはるかに軽く、その価格は2010年から2019年にかけて87%低下しました。
  • 米国では世界の一部地域に比べ、電動自転車人気が高いとは言えません。とは言えデロイト・トーマツの予想によれば、シェアサイクルネットワークの拡大や都市部に移住する人の増加により、米国でも電動自転車の販売台数は増加すると言います。

 フォードメルセデス・ベンツマツダなどの大手メーカーに加え、数々のスタートアップ企業が2022年にかけて最新電気自動車(EV)を市場に投入しようとしている現在、自動車業界の未来がEVにある事に議論の余地はありません。

 とは言え、電動の交通手段は四輪車のみでなく、電動自転車の売上も驚くべき成長を遂げているのです。昔から自転車が主要な交通手段として用いられてきたオランダのような国はもちろん、米国でも電動自転車が売れている状況です。

 会計事務所のデロイト・トーマツの調査によれば、2013年に年間18万5000台だった米国の電動自転車の販売台数は、2018年には同40万台に達したと報告しています。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
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 デロイト・トーマツがリリースしたテクノロジーやメディア、電気通信に関する年次報告書によれば、世界の電動自転車販売台数は2023年に年間4000万台に達し、同年までに世界で流通する電動自転車の数(個人所有とシェサイクルサービスの両方を含めた数字)は約3億台になると見積もられています。

 これはかなりの数字です。

 そして電動自転車は、未来的なデザインなしで成功を収めようとしているのです。このような自転車は、従来のペダル付き自転車とあまり変わりのないデザインでありながら、ユーザーはEV同様のリチウムイオン電池技術で動作する電気モーターのサポートを有効にできるのです。

 リチウムイオン電池は数年前まで、ほとんどの電動自転車で使用されてきた鉛蓄電池より軽量かつ手頃であるため、搭載する電動自転車は最も安いもので4万4000円ほど、高級モデルで数十万円ほどの価格となります。さらに電動自転車は、EVに比べればほとんど電力を使わないため、この交通手段の人気はますます高まりつつあるわけです。

 世界のEV販売台数については、2025年に年間1000万台に達するという試算がブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスから出されており、国際エネルギー機関による同1200万台という試算もあります。また、国際エネルギー機関は2030年までに世界で流通するEVの数が1億2500万台に達すると予測しています。

 電動自転車は最新EVに比べればはるかに安価で、前者は1500ドル(約16万5000円)、後者は4万5000ドル(約495万円)です。とはいえ、デロイト・トーマツの予想は効率向上や価格下落を含めたリチウムイオン電池技術の変化を示すもので、今やアーリーアダプターのみならず一般消費者が電動自転車の購入を検討しています。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスによれば、リチウムイオン電池価格は2010年から2019年にかけて87%低下したといい、2023年までにさらに50%低下すると予想されています。

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 リチウムイオン電池の価格低下は、EVの価格やその需要にも必然的に影響を与えます。人々は電動自転車で、このような技術にますます慣れていくことでしょう。なので、電動自転車の需要がEVにもつながる可能性は多いにあります。

 また、デロイト・トーマツのテクノロジー、メディア、電気通信センターのエグゼクティブ・ディレクターを務めるジェフ・ルークス氏はオンラインメディア「The Verge」に、「電動自転車の販売台数増のもう1つの主要となる理由は、行き来に便利な都市部に移住する人の増加があります」と話しています。

 自動車メーカー各社がEVの未来に大きく賭けていることは、既にご存知の通りかと思います。例えばフォルクスワーゲンは、今後5年で電動化や最新デジタルテクノロジーに660億ドル(約7兆3000億円)を費やすことを発表しています。またフォードも2018年に、「2022年までには、110億ドル(約1兆2000億円)を電動化に投資する」と発表しており、最近ではゼネラルモーターズ(GM)が、「オハイオ州のバッテリー工場に23億ドル(約2500億円)を投資する」と発表していました。

 将来的には各社のEVと電動自転車が、一般道や電気を共有することになっていくでしょう。


Source / Popular Mechanics
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。