あなたが目の前にある問題を解こうしているとき、それを計算することなく、想像の中だけでその解を見いだした経験はありますか?

これから解説する「思考実験(Thought Experiment)」の数々は、実際の対象物からデータを収集するような研究でその解を導き出すようなものではなく、研究者らが自身のな頭の中だけで進めたものになります。つまり、想定上の実験ということになります。そして通常、それは物語形式で語られ図表とともに提示されるものです。

現実の本質にかかわる難題を問う4つの思考実験
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例を挙げるなら、NHK放映のマイケル・サンデル教授による『ハーバード白熱教室』(2010年放映)の中で脚光を浴びた議論、「トロッコ問題」もそれに当たります。また哲学専門のオンライン百科事典「スタンフォード哲学事典」には、「思考実験とは、娯楽、教育、概念解析、探求、仮説立案、理論選択など幅広い分野に用いられている」と解説しています。

これに関して行動科学が専門の応用調査会社「Decision Lab」によれば、思考実験が最初に行われたのはいつなのか? 誰によるものだったか? はわかっていないということ。ただ、文献に記録されている中で最も古いものとなると、古代ギリシャのもの…ソクラテス以前の哲学者たちが数学の方程式を解くのに思考実験を利用していたという記録が残っているそうです。


☑思考実験には答えがない

「『思考実験には正解がない…』というのが重要なところです。これらの、奇妙で結論が出ないこともある問題が、仮説に基づいたシナリオを使って、あなたの創造性と問題解決力を自由に羽ばたかせることになります」と、Decision Labは解説しています。

そしてうまくいけば、循環論法(主張していること自体を、その主張の論拠としているような場合)と修辞的ロジック(説得の技術)を展開するプロセスを通じて、思考実験が何らかの大きなアイデアを導き出してくれることを期待しましょう。このような演習が、哲学で人気があるのもうなづけるはずです。


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ここで紹介する4つの思考実験は、アインシュタインによる『列車と堤防の思考実験』と『双子のパラドックス』、そしてジョン・R. サールによる『チャイニーズ・ルーム議論』、フランク・ジャクソンによる『メアリーの部屋(“知識の議論”)』です。

アインシュタインが特殊相対性理論を書き上げている最中に考案した難問から、コンピューターが本当は言語を理解していないことを証明する奇問まで、あなたの知能の強靭さも試してくれる(そしてたぶん、家族で囲む明日のディナーの席で議論を盛り上げてくれる)思考実験の数々です。ぜひ、頭の体操をお楽しみください。

4つの思考実験 『アインシュタインの「列車と堤防」の思考実験』とは何か?
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Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Satoru Imada
※この翻訳は抄訳です。