[目次]

▼ フレドリック・バーセリウスとはどんな人物か

▼ バーセリウスにとってワークアウトの存在とは

▼ ワークアウトをどのように実践しているか

▼ ライド後に食べるシンプルおかゆのつくり方(2人分)


フレドリック・バーセリウス
とはどんな人物か?

飲食業界では難しいとされるなか、フレドリック・バーセリウスは健康的な生活を実践しているシェフの一人です。ブルックリンにあるミシュラン2つ星レストラン「aska(アスカ)」*1のオーナーシェフであるバーセリウスは物静かで集中力が高く、たくましい体躯という印象を与えます。彼はドラマ『一流シェフのファミリーレストラン(The Bear)』のジェレミー・アレン・ホワイトたちのような、喫煙や競争、混乱そしてののしり合いといった要素を持たず、逆に穏やかで真摯な態度を見せていました。

バーセリウスの立ち振る舞いや考え方は、恐らく幼少期を過ごしたスウェーデンのストックホルム郊外で培われたものと思われます。それも、「アウトドアを愛する祖父から大きな影響を受けた」ということです。祖父からは自ら体調を管理し、食材を収穫し、自然を尊重することを学んだということ。

そうして、その全てを今の仕事につなげたのでしょう。「レストランでの成功(2016年以来、ミシュラン2つ星を保持)は、自分のルーツと結びついています」と力強く語ります。そして現在、その基盤を継続的に支えるのが「ワークアウト」ということ。

「バーセリウスとは何者か?」を理解するためには、仕事場でもある「アスカ」で起こっていることを少し理解しておくといいでしょう。彼のテイスティングメニュー(いわゆるおまかせコース)は、単にぜい沢な皿のオンパレードではありません。

そこにはバーセリウス自身が見ている世界が映し出され、そっとその中へと優しく誘ってくれる招待状でもあるのです。そう、それは彼の気づきの総合作品であり、そこに訪れたゲストはそのことに気づくためのヒント集でもあるのです。

最近、彼の創造性とワークアウトについて語るパネルディスカッションがマサチューセッツ州レノックスの「Canyon Ranch」*2で開催されました。そこで「メンズヘルス」の司会進行のもと、彼は自身の創作活動と運動習慣について語ってくれたのです。

例えばバーセリウスの料理のひとつ、ライケン(地衣類)と鱒(マス)の組み合わせからは、彼がニューヨーク州北部やマサチューセッツ州レノックスのような―—歴史を重ねた文化的なたたずまいと、清々しい大自然が併せ持つ――土地に足を踏み入れ、室内からドアを開けたときに感じる新鮮な土の香りを彷彿とさせてくれました。

ライケンとは、岩や樹木などに生育する菌類と藻類の共生体であり、生命の息吹を感じさせる存在です。一方の鱒は清流に生息する魚であり、自然の恵みそのもの。この二つの食材を組み合わせることで、彼は自然の生命力と純粋さを表現している…このように全てのものには背景があり、それは明確には語ることはないかもしれません。ですが、それをあなたが発見し、そして体感することに意味があるのではないでしょうか。

フレドリック・バーセリウス
Forged in the North

バーセリウスにとって
ワークアウトの存在とは?

「ワークアウトを日々の生活にどのように取り入れているのか?」を聞いてみると、「少しズルしています」と彼は笑いながら答えてくれました。

「 サイクリングは、ある意味で仕事なんです。自然はレストランの仕事の一部なので、外に出て自然を探索することを余儀なくされています」

ペダルを漕ぎながら、メニューやレストランについてのアイデアを得ているそうです。また、ときどき自転車を停めて『いま何が育っていて、どんな花が咲いているのか?』をチェックし、それがレストランでどのように使えるか?を考えているそうです。

「自転車でのハードなワークアウトも好きだけど、そこときに得る発見や自然との距離の近さも好きなんです」と彼は言います。また、徒歩で散策することもあるようです。

またバーセリウスは、シリアスな競技選手として育ったそうです。

「思いつく限りの球技をやったような気がしますが、最終的にはスノーボードにたどり着きました。フリースタイル、ハーフパイプ、ビッグジャンプをやりましたね」と話します。ですが、シェフとしてのキャリアの中では、全く身体を鍛えていない時期もあったそうです。

15時間立ちっぱなしの仕事というだけで、それはある意味、毎日マラソンをしているかのように、そして偏った負荷を身体にかけているようなものです。結果、2011年くらいから膝と背中が痛むようになり、それを「もっと意識的な運動をしなさい」というメッセージに感じたそうです。

「厨房に立つだけの十分な体力を得るために、運動したかったんです」と言います。

バーセリウスは「物事を行うやり方は、あらゆることに共通する」という考えを持っており、サイクリングも単なるレジャーではなく、競技として取り組んでいます。そうして彼は、ブルックリンのビッグヒット・サイクリングチームでアスリートとしてレースに復帰しました。そして彼はこう語ります。

「サイクリングは僕にとって充電であり、燃料であり、これまでの全てのことを振り返る時間でもあります。そこからより良く、強く、創造的な人間、そしてリーダーになれると感じています」

ワークアウトを
どのように実践しているか?

オーナーであり、シェフであり、夫であり、3歳の子どもの父親でもある彼にとって、運動に費やす時間は簡単に手に入るわけではありません。「全てが重要である」と彼は述べていますが、「問題は、それぞれのことにどれだけのウエイトを置くか? です」ということ。

バーセリウスのような優れた選手になるためには、もちろんトレーニングが必要です。彼は週に8~10時間ほどはトレーニングをしています。外でサイクリングしない日は、レストランのオフィスにあるスマートトレーナー(トレーニングアプリと接続することで負荷が自動調整される機能がついたローラー台)に自転車を設置し、交通や天候に邪魔されることなく効率的なワークアウトをできるようにしているそうです。

自転車に乗るフレドリック・バーセリウス
Shelbie Monkres

室内でも屋外でも、「自転車に乗ることは、単なる楽しいライド以上であり、本格的なトレーニングです」と彼は言います。もちろん、それには集中力が必要であり、かなりのパワーが必要でしょう。

「私は自分を追い込んで、何ができるか? を試してみるのが好きなんです。限界まで追い込んだ先を見るのは楽しいことです。苦しい状態にあるときこそ、生きていると実感させてもくれるものなので」

そんな彼は現在、新たな苦痛をさらに探求しているようです。

「昔は、いつでも全力で取り組んでいました。それが私に合っていたんです。でも、もしかしたら、正しいとするトレーニング方法に従ったほうがもっと効果的かもしれない…」

そう気づいた彼はコーチの指導のもと、ゾーン2(最大心拍数の60~70%)のワークアウトを増やしているそうです。これは、全力で向き合うこととはまた別の挑戦と言えるでしょう。

「それがどう作用するのか? を見ています」と話します。

フレドリック・バーセリウスの料理
Shelbie Monkres

また、ワークアウト以外の行動も大事であると再確認し、睡眠を優先し、水分補給に気を配り、エネルギーをサポートする栄養に気を配るなど、一日中、そして一晩中、彼は自身の健康を支えるものに重きを置くようになったそうです。

もちろん彼は、レストランでも時間をかけて料理をつくります。彼によれば、3つの食材を使ったレシピを開発するのに2年かかったそうです。ですが家では、比較的シンプルな生活をしているそうです。

彼の言うところの「脳と身体を活性化させる」、この“シンプルな、スカンジナビア風のオーツ麦のおかゆ”のようなものを早朝、理想的にはワークアウトの2時間前、あるいは朝リラックスしたライドから帰宅したときに食べるということ。

「スウェーデンで育った私にとって、シンプルなオーツ麦のおかゆは主食であり、寒い冬にはそれが格別においしく感じられました。最近では、血糖値のバランスを整え満腹感を持続させるために、食物繊維、タンパク質、脂質を多めに入れてつくっています」

ライド後に食べる
シンプルおかゆのつくり方
(2人分)

◇材料:

  • ロールドオーツ:1/2カップ
  • オートブラン:1/4~1/2カップ
  • 新鮮なベリー類(ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリーなど)
  • 刻んだクルミ:大さじ2
  • ひまわりの種:大さじ1
  • ヘンプシード:大さじ1
  • 挽いたゴールデンフラックスシード(亜麻仁 ):大さじ2(フラックスシードは必要な分だけ常に挽くこと)
  • シナモン:適量
  • お好みでミルク(以前はオーツミルクを使用していましたが、最近バテンキルのホールミルクに戻しました)

※1カップは、アメリカの規格における1カップとなります。液体の場合は約240mlとされていますが、オートミールやナッツ類などの場合は約110~140gを目安としてください。また大さじ1は、約14.79ml。日本と同様に15mlと考えてもよいでしょう。

※バーセリウスによると「 私はおかゆの材料を計ったことがありません。その日の気分で調整していますので、これらの材料量はあくまで目安です」ということです。

◇つくり方:

  1. 小さな鍋にオーツとオートブランを入れ、冷水で約1インチほど覆います。
    ※30秒間かき混ぜ、強火にかけて煮立たせます。
    ※私は常にオーガニックの太めのロールドオーツを使用し、冷水から始めます。加熱する前に冷水でオーツをかき混ぜることで、オーツ麦から出る余分なでんぷんがおかゆにとろみをつけ、よりクリーミーな食感になります。
  2. 中火または弱火にして、時折かき混ぜながら5〜7分間煮ます。できるだけ頻繁にかき混ぜてください。(リゾットのように考えてください)
  3. ひまわりの種とヘンプシードを加えてかき混ぜ、火から下ろします。
  4. ボウルに入れ、フラックスシードとクルミ、シナモン、ベリーを入れてから、ミルクを加えます。ナッツ、シード、ベリー類を入れることでボリュームが増し、栄養価も高まります。

オートミールを美味しくアレンジする方法は無限にあります。ただし、「クイックオーツ」のような電子レンジでつくるオーツ、また精製糖を使うことは避けたほうがいいでしょう。

「Canyon Ranch」のノルディック・ウインターランド・エクスペリエンスの一環として行われたパネルディスカッションの模様と、バーセリアスが人生、料理、ワークアウトにどのように取り組んでいるのか? の詳細はこちらから。

【脚注】

*1:Aska
ブルックリンのウィリアムズバーグにあるミシュラン二ツ星に輝く名店です。スウェーデン出身のフレドリック・バーセリウスシェフが手掛ける北欧料理は、旬の食材を活かした繊細な味わいと美しい盛りつけが特徴です。店内は木の温もりを感じられる落ち着いた空間。【公式サイト

*2:Canyon Ranch
2つのデスティネーション スパと、 1つのリトリート施設を運営。ここではマサチューセッツ州レノックスにあるヘルスリゾート施設「Canyon Ranch」を紹介。医師や栄養士、運動指導員などの専門家が個々のニーズに合わせたプログラムを提案し、心身の健康と幸福を追求している。【公式サイト

Translation /Yumi Suzukii
Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です

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From: Men's Health US