新年の抱負を立てては破り、また立てては破り…と繰り返してしまうのは、人間のサガかもしれません。そこで今年は、全面的に今の状況を変える抱負を立てるのではなく、現実的に実行可能な月ごとの計画を立てることを強くおすすめします。そうすれば、人生のさまざまな部分を改善することができるはず、サガをサーガに変えるのです。

まずは、真の変化に向けた指針となる原則を、経験豊富な人たちから学びましょう。今年を最高の年にするために、ここで必要なことを見つけてください。

変化を起こす
(そして継続する)ための
7つのプロセス

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1. 「プロセスゴール」を作成する

計画表
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「プロセスゴール(過程目標)」は、「筋肉を5ポンド(約2キログラム)増やす」や「仕事で昇進する」などの「結果目標」とは異なります。 結果目標とは、自分ではコントロールできない力(身体が筋肉を増強する速度や社内政治など)を考慮していないだけでなく、目標に到達するために必要とされるさまざまなステップの重要性を見落としたり、軽視したりしていることもあるものです。

よって、コーチング会社「メント」を通じて人々の目標達成を支援しているマイク・レーン氏は、「変化を起こそうとしている人たちが困難に直面しているところをケアするとき、『その問題が主にどこから発生しているのか?』を見つけることが大切だと考えています」と言います。

「結果目標と違って過程目標は、結果に向けて勢いをつける一連のステップの中で、『次に何をする必要があるか?』という部分に焦点を当てます」とレーン氏。例えば、「筋肉を増強するために、週に3回筋トレをする」という実行可能な最終目標を設定するとしましょう。そうしたら「ジムにいつ行くのか?」「ジムで行う筋トレの内容」「いつ寝るのか?」「その時間にやっていた作業を代わりにいつ行うか?」など、全てのステップを計画します。そして、各ステップの進捗状況を追跡し、目標を達成するまでの数日、数週間、数カ月に成功したことにチェックを入れるのです。 成功は、賢明な計画と実行の副産物ということになります。

2. 「エンパシーギャップ」に注意する

考える男性
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「目標をいつ設定するか?」は、その内容と同じくらい重要と考えましょう。例えば、ハンバーガーとフライドポテトを食べたばかりの後に、「今年はファストフードを食べない」という目標を設定するのは楽観的すぎる可能性が大、次に「ファストフードへの食欲が襲ってきたときにどうするか?」を考慮していません。

「この『エンパシーギャップ(共感の差異)』とは、自分が現在経験していない経験を想像できないことです」と、モチベーション研究者であり、『Get It Done』の著者であるアイレット・フィッシュバック氏は述べています。彼女は心理学の博士であり、社会心理学、経営学、消費者行動を研究。モチベーションと意思決定の専門家でもあります。

そんな彼女は、「成功する確率を上げるには、実行に移したい状態を鑑みて目標を立てることです」とすすめています。よって、先ほどのような目標を立てる場合、食事に関しては満腹時ではなく、お腹が空いているときに献立を考えるといいように…ワークアウトに関しては、疲れきった仕事帰りのジムでそのルーチンメニューを工夫するのです。

3. 26パーセントになる

ランニングする男性
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シカゴ大学の経営大学院であるブース・スクール・オブ・ビジネスで行動科学・マーケティングの教授でもあるアイレット・フィッシュバック氏と、その同僚の准教授ケイトリン・ウーリー氏が「次回運動するときに、人々がどのようにモチベーションを高める計画を立てているか?」を調査したところ、89.5%の人が「運動による長期的な利益と言える遅発的報酬に焦点を当てる」と答えました。そして、 「『実際に運動が好きになる』という、短期的なメリットに基づいてエクササイズを選択して実行している」と答えたのは、わずか26%でした。

しかしながら、その26%の人たちこそが、「自分が何をしているのか?」を理解していると判断できます。「好きこそものの上手なれ」という言葉もあるように、ミシガン大学スポーツ・健康・活動研究政策センターのディレクターを務める行動持続科学の専門家であり作家、講演家のミシェル・セガー氏の研究によれば、「自分が行っているステップに楽しみを見出している人は、その活動を継続する可能性が高い」という結果が導き出されています。

4. 「実行意図」を書き出す

メモを取る男性
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「人は“モチベーションの泡”の中で計画を立てる傾向がある」と、ミシェル・セガー博士は言います。「そして、葛藤にぶつかった瞬間にはじけるのです」とも…。つまり、「持続可能な変化をもたらす計画をうまく機能させるには、その計画に現実の生活を含める必要がある」ということです。

ペットの病気やプールの閉鎖、予測不可能な仕事のスケジュールなど、「最も障壁になりそうなものは何か?」を考え、「それをどう切り抜けるか?」を書き出してみてください。科学者はこれを「実行意図」と呼び、if-then構文(ifの後に続く部分で条件を示し、thenの後に続く部分でその条件が満たされたときの結果を示す構文)で設定することがベターな方法となります。もしジムが閉まった後に仕事が終わったら、自宅で15分間のコア・ビデオ・ワークアウトをする…といったように。

5. 余裕を持つ

リラックスする犬と男性
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例えば「トレーニング計画に1〜2日の休みを設ける」というように、自分に“余裕”を与えている人ほど、目標を達成しやすいという研究結果があります。「このような切り札(余裕)は、あなたが計画を維持するための万が一の備えになる」と『How to Change』の著者であるウォートン大学の教授で、行動変容研究者のケイティ・ミルクマン氏は説明します。

6. 好きなことと組み合わせる

バスケットシューズを履く男性
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「本当にやりたいと思っていること(週3回のジム通いなど)がどうしてもできないときは、好きなことと合わせてみましょう」と、ケイティ・ミルクマン博士は言います。もっとやろうと思っていることと、好きなことをペアにするのです。

運動している間だけお気に入りのポッドキャストを聴いたり、コートで練習しているときだけ「エアジョーダン 3 レトロ」を履くことなどがその例に挙げられます。研究によると、組み合わせることは多くの場面で効果が見え、ジム通いの人たちがより頻繁にジムに通うきっかけにもなったという実例もあるとのこと。

7. レジリエンス・トレーニング

考える男性
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計画がうまくいかないとき、または計画から外れていることに気づいたときは、自信喪失、非難、恥で追い打ちをかけるのは避けるようにしましょう。 「これにより、間違いから学ぶ能力が阻害されます」と、テキサス大学オースティン校の教育心理学准教授であるクリスティン・ネフ氏は言います。 ネフ氏が提唱する「レジリエンス・トレーニング」(以下に一部を紹介)と呼ぶものを活用し、失敗から立ち直りましょう。

  • 自分の欠点が、自分自身のストレスの原因になっていると認識してください。
  • 自分は人間であること、失敗や間違いは誰にでも起こることを思い出してください(前述、コーチング会社「メント」のマイク・レーンの言葉を借りれば、「最初は成功しなくても…驚かないようにしましょう」)。
  • 生産的なフィードバックを自分自身に与えてください。 「何が起こったのか?」にこだわるのではなく、「その状況から学んだことを、将来の物事をより良くするためにどのように応用できるか?」を考えてください。

マサチューセッツ大学アマースト校が行った研究では、「NCAAアスリートのグループがこれらの原則を週に1時間、それを6週間実践したところ、自己批判的思考が減った」ということです。 彼らとそのコーチもパフォーマンスの向上に気づきました。

「それはアスリートたちが単にベースラインに戻るのではなく、挫折から“前に向かって立ち直る”のに役立った」と、ネフ博士は説明します。 それはあなたも望んでいることでしょう。

月ごとのガイド

カレンダー
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あなたの身体と人生をより良くするために、毎月これらの小さなチャレンジのうちの1つに挑戦してみましょう。順番は特にありません。

1月:データを取る

医師と患者
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自分の身体の状態について、データを集めましょう。1月31日までに、医師に血液検査の処方箋を書いてもらい、検査機関に行って検査を受けてください。どの指標を集めるかは、あなたの年齢と健康状態で決まりますが、多くの場合は代謝パネル(血糖値、腎臓と肝臓の機能など)と脂質パネル(コレステロール、トリグリセリド、ApoBなど)が含まれます。血圧も調べてもらいましょう。

これらの数値は、どの目標に最初に取り組むべきかを考えるのに役立ちます。もしあなたの数値が素晴らしければ、おめでとうございます。次は、その状態を維持する方法を考えましょう。

2月:アレルギーを抑えよう

花粉症の男性
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アレルギー対策で特に大事なことは、早めの対策を取るということです。先手を打てば、アレルギーが再燃したときに悲惨な思いをしなくてすむ可能性が高くなります。

植物が花粉を飛ばし始めるのは、アメリカの多くの地域で春の兆しが見えてから約2週間後です。その前にアレルギーの薬を飲み始めましょう(アメリカ南部ではそれよりも早いですし、日本では1月下旬には九州、東海、関東の一部でスギ花粉が飛び始める予想と言われています)。

アレルギーの専門家であるタフツ・メディカル・センターに勤める医学博士クリスティーナ・クルーズ氏は、「そうすることで、症状が徐々に悪化したり、手に負えなくなったりするのを防ぐことができる」と言います。

3月:腸内チェックをしよう

お腹を押さえる男性
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アメリカでは45歳以上の人は、大腸がん(CRC)検診を受ける必要があります(日本では厚生労働省により、40歳以上の人は1年に1度受けることが推奨されています)。ですが「45歳から49歳のうち、5人に1人しかこの検査を受けていない」と言われています。

大腸がん検診は自宅で受けることもできるし(前準備は不要)、大腸内視鏡検査を受けることもできます。いずれにせよ、月の第1月曜日に時間を取って予約を取るか、オンラインで家庭用検査キットを注文してください。

CRCの罹患率は若年層で上昇している傾向にあり、男性の罹患率は女性より33%高いとされています。また、アラスカ先住民、ネイティブ・アメリカン、黒人の罹患率も高いと見られています。45歳以下でも「何かおかしい」と感じた人は、検査を受けることをおすすめします。

4月:爆発的な動作をトレーニングに取り入れる

トレーニングをする男性
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季節と季節の間の1カ月を利用して、ジムでのルーティンに磨きをかけましょう。「メンズメルス」のフィットネスディレクター、エベニーザ・サミュエル(C.S.C.S.)は、男性が十分にやっていないことの一つに、爆発的な動作がありますと言います。爆発的な動作は、アクティブなライフスタイルを長く続けるのに役立つということです。

超高速で負荷を移動させ、つまずいたときにバランスを取り戻したり、デッドリフトに取り掛かったりするために必要な、最初の“バースト”をトレーニングするのです。ケトルベルスイングとボックスジャンプをルーティンに加えれば、今年は瞬発力を維持できるでしょう。トレーニングに時間はかかりません。週に1~2回、それぞれ6~8レップス × 3セットを行いましょう。

5月:春は心をキレイに

深呼吸する男性
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メンタルヘルス啓発月間には、私たちを含め、多くの人から心についての話を聞くでしょう。レベルアップのためのひとつの方法の1つは、心のガレージの大掃除です。

マイナス思考のループに陥っているのなら、そこから抜け出すためのステップを踏み出しましょう。「まず、自分が行き詰まっていることに気づき、それについて自分を少し緩めてあげましょう」と『Your Heart Was Made for This』の著者である瞑想教師のオーレン・ジェイ・ソーファーは言います。

研究によると、「幸福を重視する人は、思考を反芻(はんすう)する傾向がある」と言います。つまり、「“思考のループ”自体は必ずしも有害なところから来ているわけではない」ということ。一歩下がって自分のニーズを吟味することで、状況にどう対応するか? より賢明な選択ができるようになるでしょう。

6月:自然の中に身を置く

屋外で寝ている男性
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男性は毎日平均して5時間半以上の自由時間を持っており、その時間を埋める手段として特に多いのはスクリーンタイム(テレビやスマートフォンなど、電子機器を使う時間)とされています。 精神的にも肉体的にも健康になるためには、外に出ましょう。 グリーンタイム(自然の中で過ごす時間)は血圧、ストレス、不安レベルを改善すると考えられています。 「屋外で15分過ごすだけでも、認知機能に効果がある」という研究結果もありますので。

AllTrails」のようなアプリを使用して便利な自然スポットを見つけるか、玄関からそのまま外へ出てみてください。「自然はどこを探しても見つけることができる」と、ポッドキャスト『ザ・ワイルドライフ』のホストを務めるナチュラリスト、デヴォン・ボウカーは言います。「大抵の場合、私たちにできる最善のことは少ないのです」とも…。

7月 :良い包丁を買おう

野菜を切る男性
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アメリカでは「男性で野菜を十分に食べている人は、ほぼ10人に一人」という現状(2015年にCDCが発表した時点)は、あなたにとって衝撃的でしょうか(「十分な」の目安は、1日カップ2~3杯<アメリカの1カップは240cc>)。そこで今月は野菜を摂るために、みじん切り、さいの目切り、スライスを巧みにこなすベジタブルナイフを購入して、下ごしらえを簡単にしましょう。

そういうときにぴったりな、「菜切り包丁」と呼ばれる包丁があります。アトランタにある包丁研ぎサービス「MOSHI MOSHI」の創設者マイケル・ベーンは、「菜切り包丁は、日本の刃物の定番である伝統的な3種類の包丁のうちの1つです」と言います。ズッキーニやピーマンのような柔らかい食材に最適で「扱いやすく、薄く、切れ味も抜群で、使うときに自信を与えてくれます」と彼は言います。

8月:睡眠を微調整する

眠っている男性
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睡眠時間を短くすると、2型糖尿病、心臓病、肥満、精神的苦痛のリスクが高まる研究結果もあります。 決まった就寝時間(起床時間の7~9時間前)を守ることで、質のいい睡眠をとりましょう。それから、携帯電話から離れて、睡眠を促進するプレイリストを聴いてみてください。Spotify上の約25万曲を対象としたある調査では、特に眠りを誘発する音楽には、「アコースティック」「インストゥルメンタル」「その人に馴染みのある曲」と3つのタイプがあることが判明しました。

9月: 連絡を取る

電話をする男性
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心臓病、脳卒中、糖尿病、うつ病、不安神経症のリスクを、たった10分程度で下げる方法として試してみる価値のある方法があります。それは、「誰かに電話をかけること」です。わずか10分でも会話をすることで、孤独を食い止め、ひいては孤独に伴う精神的・肉体的な悪影響を食い止めることが期待できるのです。

親密なつながりを維持することは、回復力を高め、健康的な習慣を促進し、睡眠を改善し、通話している双方の精神的健康を守るということになります。

10月: 冬に勝つ

予防接種
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冬が近づくにつれ、病気の季節が本格化してきます。その前に、インフルエンザとコロナウイルスの予防接種を受けましょう。※予防接種に抵抗のある人は粛々と、外出後の手洗い・うがい、適度な湿度の保持、十分な栄養摂取などなどに努めてください。

11月:考えて飲む

ビールを飲む男性
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「5人に1人の男性が暴飲暴食をしている」と言われています(調査によると、1年の最後の2週間で飲酒量は70%も急増するそうです)。アメリカの男性にとって適度な飲酒とは、1日に標準的な飲み物2杯(16オンスのダブルIPAではなく、12オンスのビール1杯)。なお日本の場合は、厚生労働省が「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、1日平均純アルコールで約20g程度(例:ビール中瓶1本、清酒約1合)」としています。

ある研究によると、「11分間の精神的トレーニングによって、1週間を通してアルコール消費量が減少した」と言われています。アメリカでは「sunnyside」や「Reframe」が人気ですが、日本では「YoiLog」「飲酒カレンダー」「酒ログ」など飲酒をコントロールするためのアプリを使うと、より簡単かもしれません。

また飲酒の習慣を断ち切るために、他のことに置き換えてみることも考えてみましょう。パーティーではお酒を手にしたら友人となるべく話をするようにしたり、夜に冷蔵庫から取り出した最初の一杯を、本物のビールではなく発泡性の昆布茶やノンアルコールビールにしてみるといいでしょう。

12月:BLTを意識する

食べ物をつまむ男性
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「年末年始の食べ過ぎを心配している人は、年末年始の食べ過ぎはその時期の全ての食べ物の積み重ねであることを心に留めておいてください」と、登録栄養士兼コンサルタトのエイミー・グッドソン氏は言います。それにはBLT(ベーコン、レタス、トマトではありません)、つまり余分なひと口(Bites)、ひと舐め(Licks)、そして味見(Tastes)も含まれます。休日は好きなものを食べ、それ以外の日はきちんと優先順位を決めて食べるようにしましょう。

Translation / Kotaro Tsuji
Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です

From: Men's Health US