[目次]

▼ 症状を抑えるには原因物質に触れなければいい。しかしなかなか難しい…

▼ 善玉菌、日和見菌、悪玉菌の理想的なバランスは?

▼ 普段は何もしない「日和見菌」が悪玉菌に変身する!

※2024年3月25日に「ダイヤモンド・オンライン」に掲載された、岡田明子氏(管理栄養士)による記事の転載になります。


症状を抑えるには
原因物質に触れなければいい
しかしなかなか難しい…

花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ、鼻水などのアレルギー症状を起こす病気です。2024年の花粉飛散量は、全国的に大量飛散だった2023年よりは少ないと言われていますが、例年通りつらい症状に悩んでいる方も多いでしょう。

アレルギー症状を抑えるには、アレルギーの原因物質に触れないことが大切です。対策として、マスクとメガネで肌を花粉から守ったり、帰宅時には玄関で衣服についた花粉を払って、家の中に花粉を持ち込まないようにしている人も多いと思います。

しかし、花粉を完全にシャットアウトするのは難しいものです。そこで今回は、毎日の食生活で、花粉症が発症しにくい体質をつくる方法をお伝えします。

アレルギー症状が出やすくなる原因に「免疫機能の低下」があります。免疫機能をアップさせるためには、「腸内環境」が重要なポイントになります。

善玉菌、日和見菌、悪玉菌の
理想的なバランスは?

腸内環境を左右するのは、腸に生息する「腸内細菌」です。大きくは、体に有益な働きをする「善玉菌」、主に有害な働きをする「悪玉菌」、普段は善玉菌でも悪玉菌でもない「日和見菌」の三つに分類され、理想的なバランスは善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割といわれています。

腸内環境を整えるとは、善玉菌を増やして悪玉菌の増殖を抑えることです。腸内環境は、年齢とともにバランスが崩れやすくなっていきます。日々の食生活で意識することが大切です。

善玉菌を増やして腸内環境を整えてくれる食品や栄養素は、主に次の3つが挙げられます。

a man suffers from allergies and wipes his watery eyes
Svetlana Parnikova//Getty Images
※写真はイメージです。

1 発酵食品

ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌は、発酵食品を取ることで補うことができます。ヨーグルト、ぬか漬け、キムチ、納豆、みそ、チーズ、甘酒、塩こうじなど、意識して毎日の食事に取り入れてましょう。

特にヨーグルトは、腸内の粘膜を強化したり、免疫機能を活性化する機能があるとして厚生労働省から認められ、特定保健用食品に指定されているものもあります。味の好みや食べた後のおなかの調子などで、自分に合ったヨーグルトを選ぶと良いでしょう。

2 食物繊維

食物繊維は善玉菌の餌となり、増殖を促してくれます。食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」があります。

不溶性の食物繊維は、ゴボウなどの根菜類、豆類、玄米や雑穀米などの穀類、きのこ類に多く含まれています。水溶性の食物繊維は、果物や海藻類、芋類やネバネバした野菜(オクラ、モロヘイヤなど)に多く含まれています。

毎日の主食を玄米や雑穀米にすることで、不溶性の食物繊維を習慣的にとることができます。また、野菜、海藻類、芋類などを使った、具だくさんのみそ汁やスープを毎日取り入れることで、水溶性の食物繊維を補うことができます。

3 オリゴ糖

オリゴ糖は善玉菌の餌となります。タマネギ、ゴボウ、ニンニク、バナナ、大豆、はちみつなどに多く含まれています。最近では、砂糖のかわりに使える液体やシロップタイプのオリゴ糖も販売されているので、調味料として使うのもおすすめです。

これらの三つの食品や栄養素を組み合わせて取り入れることで、整腸効果が高まるといわれています。

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ダイヤモンド・オンライン

腸内環境は1日で整えられるものではありません。継続して腸に良い食事をとることが大切です。自分のライフスタイルに合わせて、無理のない組み合わせのメニューを見つけていきましょう。

忙しい現代人は、便利なコンビニを活用することも多いでしょう。コンビニでも、フリーズドライのみそ汁や、ひじきの煮物、ゴボウサラダ、海藻サラダなどのお惣菜、玄米やもち麦が入ったおにぎり、キムチ、チーズ、カットフルーツなど、発酵食品や、食物繊維、オリゴ糖が含まれた食品を意識して選ぶようにしましょう。

普段は何もしない
「日和見菌」が悪玉菌に変身する!

善玉菌を増やすとともに、悪玉菌を増やさないことも重要です。悪玉菌が増えると、善玉菌が行う整腸作用が妨げられるだけでなく、さまざまな健康リスクが高まります。さらに、普段はどっちつかずの「日和見菌」は、悪玉菌が優位になると、悪玉菌として活動し始めるのです。

悪玉菌はタンパク質や脂っこいものが大好物で、焼き肉、ステーキなどの肉料理を食べ過ぎることで増殖します。肉類は、体作りに欠かせない食品ですが、食べ過ぎは禁物です。

beef steak
kyonntra//Getty Images
※写真はイメージです。

なるべく脂肪の少ない部位(ヒレ、胸肉、ささみ肉など)を選び、脂肪の排せつを促す野菜やきのこ類などの食物繊維を多く含む食品と一緒に食べるようにしましょう。

腸内環境が良い状態かどうかは、便の色やカタチでチェックすることができます。 理想の便はバナナのような形で、やや黄色っぽい茶色で、臭いがきつくありません。腸内環境のバランスが崩れると、下痢を起こしたり、色は黒色に近くなり、嫌な臭いが強くなります。

腸内環境を整えることは免疫機能に関わるため、花粉症対策だけではなく、私たちの健康を支えてくれます。善玉菌を増やすポイントを踏まえた食事で、このつらい時期を乗り越えていきましょう。

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