バイク,オートバイ,トライアンフ,トライデント660,ツーリング,おすすめバイク
Jun Ishibashi

ライバルたちを頭ひとつ突き放した「完成度」

ミドルクラス、すなわち400〜750㏄程度の排気量をもったネイキッドバイク(空気抵抗を減らすためのパーツ「フェアリング」や「風防」など…いわゆるカウルを装備しない、エンジンとフレームがむき出しのバイク)は、いまや世界中のメーカーが格別の力を注いでいます。販売面が比較的好調なことに加え、技術的なショーケースとして最も効率がいいと考えられているためでしょう。そんなレッドオーシャンにイギリスのプレミアムブランド、トライアンフが送り込んできたのは伝家の宝刀「並列3気筒エンジン」を搭載したスタイリッシュなモデル「トライデント660」です。

トライアンフと言えば、ボンネビル・シリーズをはじめ、3気筒エンジンを搭載したスピード&ストリート・トリプルといったハイエンドがすぐさま頭に浮かぶはず。ですが、「ミドルクラスとなるとアイデンティティを示すことができるモデルは、これまでのところは存在しなかった」、というのが正直なところでした。

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スリムで躍動感あふれるスタイルを実現するため、積載性はいくらか犠牲に。便利さを求めるより、プレジャーマシンと割り切るべきでしょう。

最後の1台に選んでも
まったく問題なし

4年の歳月をかけて開発された「トライデント660」は、まさにライバルたちの度肝を抜く仕上がりです。バイクに求められるリライアビリティを、徹底的に追求したモデルであり、熟成された3気筒エンジンとのマリアージュはため息モノ。高性能でありながら、どこまでもフレンドリーな感覚は、まさにミドルクラスに求められる美徳そのものにほかなりません。

190kgという重量も、取りまわしてみれば期待以上に軽く、普段使いにもってこい。シートも805mmの高さで、しかもスリムな設計ですから、たいていの方が不安を覚えることはないでしょう。それでいて、アクセルをワイドオープンしたときの加速、パワーデリバリーは強烈な印象。飽きずに長く乗り続けられる素質が十分です。

あまりの出来のよさから、オーナーを探すことなく、筆者自ら駆ってきたのですが、とにかく「乗りやすい」「速い&爽快」そして、よくしつけられたシャシーのおかげで「ずば抜けた安心感」などなど、驚きと喜びの連続となりました。

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上質なネイキッドバイクには上質なヘルメットを。チョイスしたのは、「宇宙で一番の安全性能」とうわさされる「アライRX-7X」のフラットブラック。

「ミドルクラスは大型バイクの入門モデル」などと言われますが、ベテランバイカーの「最後の1台」に選んでも遜色ありません。またトライアンフは、日本製の部品を上手に取り入れることでも有名で、故障が比較的少ないというのも大きなアドバンテージ。「輸入バイクは、乗っている時間より工場に入院しているほうが長い」、などというモデルも少なくないのですから…。

ただし、スタイルを優先したため、積載性はほめられたものではありません。ここはネイキッドスタイルにのっとって荷物を少なく、カジュアル&スポーティなコーデで乗りこなすのが雰囲気でしょうか。

今回のおすすめバイク 
TRIUMPH TRIDENT 660

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トライアンフ「トライデント660」。このオレンジのほかにブラック、シルバー、レッドの3色がラインナップ。また、バーエンドミラーが標準スタイルで見やすさや調整幅も申し分なし。グリップしやすい形状のタンクは14リットルの容量。【SPEC】エンジン:水冷並列3気筒DOHC12バルブ、総排気量:660㏄、最高出力:81ps/10,250rpm、最大トルク:64Nm/6,250rpm、ホイールベース:1400mm、シート高:805mm、車体重量:190kg、燃料タンク容量:14リットル

「トライデント」の名は、1968年に同社が初めて3気筒エンジンを搭載したモデルにちなんだもの。レガシーネームを復活させたことからも、このモデルへの意気込みが感じられます。エンジンや走行モードは緻密な電子制御が盛り込まれ、洗練度はビギナーからベテランまで誰もが納得できるレベル。前後のSHOWA製サスペンションとミシュランタイヤ(ロード5)がソフトでしなやかな乗り心地をもたらし、街中から高速道路までずっと走り続けたくなるほど。ABSやトラクションコントロールを標準装備しながら、100万円を切る価格は破格以外のなにものでもありません。

価格:99万5000円

●問い合わせ先
トライアンフモーターサイクルジャパン
公式サイト

3気筒の脈動が滑らかで
パワフルな速さをもたらす

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機能性、視認性ともに良好な丸型メーター。モード切り替えなどロジックもわかりやすい。
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 MoTo2レースの共通エンジンとなるほど信頼の厚い3気筒エンジン。
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ライディングシューズは、ニット素材を大胆に使い、快適な通気性を実現した「アルパインスターズ・ファースター3ライドニット」。
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同じくアルパインスターズのザカエアージャケットは、内蔵エアバッグ「TECH-AIR®5」に対応したメッシュジャケット。トライデント660には、こんなビビッドなデザインがマッチします。

Photograph / Jun Ishibashi
Text / Hiroshi Ishibashi
Edit / Kazuyuki Okumura

※メンズクラブ2023年5月号掲載

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