快進撃を続けるチューダーのダイバーズモデルに共通するのは、奥深い歴史と伝統に基づきながら、最先端の技術や素材を採用していること。例えば、チューダー初の1954年製ダイバーズをリアルに再現した「ブラックベイ 54」は、往年の意匠を37mmサイズに凝縮し、なおかつ200m防水など本格的なスペックを堅持。また、米海軍との長い歴史にインスパイアされた「ペラゴス FXD」は、チタン製ケースと固定バー、マットなダイヤルなど、研ぎすまされた機能美が際立ちます。
特筆すべきは、どちらもCOSC認定の高精度や約70時間駆動などのハイスペックを誇ること。堅固なつくりに高性能を詰め込み、さらにデザインも追求するチューダーは、時代に合わせて進化を続けてきた貴重なブランドであり、ミドルレンジではまさに無敵の存在なのです。
ブラックベイ 54
1954年に誕生したチューダー初のダイバーズ「オイスター プリンス サブマリーナーRef.7922」を範とする「ブラックベイ」のなかでも、最もオリジナルの特性を忠実に受け継いだ人気作。デイトのないシンプルなダイヤルにはビンテージルックなゴールドエフェクトが施され、何より37mm径 × 11.24mm厚のコンパクトなサイズ感が絶妙です。
価格；54万6700円 詳しくはこちら
ペラゴス FXD
1960年代後半から80年代前半に米海軍のダイバーが着用したチューダーの「ミリタリーサブマリーナー」、いわゆる“ミリサブ”がそのルーツ。セラミックディスクを載せた逆回転防止ベゼルやリューズ、ケースはチタン製で、力強いルックスながらシャツの袖口を傷めにくいフラットな形状。オフにはグリーンのファブリックストラップ、オンにはブラックラバーと2通りに楽しめます。
価格：58万3000円 詳しくはこちら
新チューダー マニュファクチュールで
製造される最高品質の時計
スイス時計産業の一大拠点であるル・ロックルに2021年、チューダーの新時代の幕開けを象徴する広大なマニュファクチュール(工場)が完成。ロボット活用での24時間フル稼働の検査体制や余剰在庫を抱えないロジスティックスなど、徹底して効率化を図った最先端の環境が実現しました。
チューダーのムーブメント製造部門であるケニッシが2016年に建てた工場に隣接しており、総面積は1万640平方メートルを誇ります。ここで熟練職人の伝統的なノウハウと、近代的な開発・生産体制が高度に統合され、最高品質の時計が最良の価格で生み出されます。
チューダーの創業者は、ロレックスと同じハンス・ウイルスドルフ。この天才的な起業家が立ち上げた両ブランドは、進化の途上で別々の道を歩み始め、それぞれに独自の価値を手に入れました。世界に名だたるチューダーが歩んだ足跡をひもときます。
歴代の傑作を再解釈した
ヘリテージ路線が大成功
チューダーはロレックスの創業者ハンス・ウイルスドルフが自らの理念とする高品質な時計を広く提供するため、1926年に商標登録したブランド。その名は15～16世紀に繁栄した英国チューダー朝に由来し、1946年には会社を設立して本格始動。
当初は技術やパーツをロレックスと共有しましたが、やがて独自の路線を歩み始めました。特にダイバーズやクロノグラフの分野でユニークなデザインセンスや革新性を発揮し、数々の傑作を発表。これらはアンティーク市場で今も高い人気を誇っています。
ゴルフのタイガー・ウッズ選手やポルシェとのコラボモデルが話題になった1990～2000年代を経て、チューダーが躍進したのは2010年代に入ってから。過去の名作をモダンに再解釈したヘリテージ路線が成功し、特に2012年誕生の「ブラックベイ」は、ダイバーズの伝統と革新を見事に融合させ大きな反響を呼びました。
2015年には自社製ムーブメントを完成させてブランドとしての独立性を主張するとともに、2018年にはついに日本で正規ブランド展開が始まりました。以来、1万5000ガウスの超耐磁性を備えたマスター クロノメーター認定をはじめ、機械式の技術革新に真摯に向き合い、毎年のようにサプライズを提供。世界から注目を集める、まさに時計愛好家好みの価値あるブランドに成長したのです。
チューダーの軌跡
1926
「The Tudor」を商標登録。
1946
「モントル チューダー SA」をジュネーブで設立。
1947
「チューダー オイスターモデル」を発売。
1952
「チューダー オイスター プリンス」コレクションを発売。
1954
「チューダー オイスター プリンス サブマリーナー(Ref.7922)」を発売。チューダー初のダイバーズウォッチで、1950年代以降アメリカ海軍に、1950年代から80年代にかけてフランス海軍に供給された。
1960年代半ば
「チューダー オイスター プリンス レンジャー」を発表。1969年から1988年までカタログに掲載された。
1969
「チューダー サブマリーナー」の第2世代、デイトなしのRef.7016とデイト付きのRef.7021を発売。
1970
チューダー初のクロノグラフである、「チューダー オイスター デイト クロノグラフ」を発売。
2012
ダイバーズモデルの「ブラックベイ」と「ペラゴス」を発表。
2015
チューダー初のマニュファクチュールムーブメントを「ぺラゴス」と「ノースフラッグ」に搭載。
2018
「ブラックベイ」にGMT機能を追加搭載した「ブラックベイ GMT」を発売。
2020
「チューダー ロイヤル」を発売。優れた品質を表すために1950年代に初めて使用された「ロイヤル」の名が復活。
2021
マスター クロノメーター規格に準拠した「ブラックベイ セラミック」を発表。
2022
British North Greenland Expedition(英国北部グリーンランド遠征探検隊)70周年の年に、現行「レンジャー」を発売。
2024
F1チームのVisa Cash App RB(旧スクーデリア・アルファタウリ)とパートナーシップを結び、チューダーがモータースポーツ界に復帰。
ベーシックモデルからツールウォッチまで、チューダーの人気モデルは多岐に広がります。迷いすぎて最後の決断がブレないよう、メンズクラブ読者のライフスタイルに刺さる7モデルを厳選。カラーやサイズのバリエーションも考慮しつつ、理想の一本と巡り合えますように！
ブラックベイ
スタンダードダイバーズがマスター クロノメーターに
チューダーを象徴する中核ダイバーズのバーガンディカラーが2023年、1万5000ガウスの超耐磁性を誇るマスター クロノメーター認定へと大幅にスペックアップ。スノーフレーク針を備えたレトロな文字盤や、アルマイト加工の逆回転防止ベゼルはそのままに、5連ブレスレットを合わせてスタイリッシュな雰囲気に。
価格：63万5800円 詳しくはこちら
ブラックベイ GMT
旅に心強いGMT機能と遊び心あるダイヤルカラー
2つの時間帯とローカルタイムを表示するGMTを基本機能に追加搭載。両方向回転ベゼルは昼夜を識別しやすいバーガンディとブルーに色分けされ、わずかにシルバーを帯びたマットな新色オパライン文字盤に合わせます。アイコニックなスノーフレークシェイプは、時針だけでなく、赤い24時間針と秒針にも採用。
価格：61万3800円 詳しくはこちら
ブラックベイ 31/36/39/41
多彩なサイズと色が選べるユニセックスなシリーズ展開
特徴的なスノーフレーク針やインデックスデザインを継承しながら、昨年スタイリングを一新。丸みを帯びたケースにポリッシュ仕上げの固定ベゼルを合わせたツールウォッチのたたずまいに、セルフ調整可能な5連ブレスを装備。31～41mm径の4サイズに豊富なカラーがそろう圧倒的なバリエーションも魅力です。
価格：56万1000円 詳しくはこちら
ペラゴス 39
機能美の極致を軽快にデイリーユース
ダイバーズウォッチの本質を追求してきた、「ペラゴス」の小ぶりな39mmサイズ。防水性を200mに抑え、飽和潜水に対応するヘリウム排出バルブも排して日々の使いやすさにこだわった結果、権威あるジュネーブ時計グランプリの2023年スポーツウォッチ部門賞に輝きました。チタン製ケース＆ブレスにより、軽快な普段使いが可能。
価格：65万7800円 詳しくはこちら
レンジャー
冒険スピリットを駆り立てる定番ツールウォッチが進化
英国海軍による北グリーンランド遠征探検から70周年を記念して、1960年代から続く「オイスター プリンス レンジャー」の系譜が2022年に再始動。4つのアラビア数字インデックスと矢印型の時針を合わせた歴史的な意匠を受け継ぎながら、39mmサイズや約70時間パワーリザーブなど現代的なスペックへと大きく進化。
価格：46万4200円 詳しくはこちら
チューダー ロイヤル
ノッチ入りベゼルが特徴的なエレガントなスポーツモデル
ノッチ入りベゼルと一体型ブレスレットがスポーティ＆シックな「チューダー ロイヤル」のエレガントなチョコレートブラウン仕様。41mmサイズは3時位置にデイト、12時位置にフルスペルの曜日表示を備え、このほかに28、34、38mm(デイトモデル)を展開。文字盤色も豊富にそろい、本機のような18KYGコンビ素材もラインナップ。
価格：54万5600円 詳しくはこちら
1926
ハンス・ウイルスドルフがチューダーを創設した年にちなんで、｢1926｣と命名されたコレクション。ブランドのエッセンスを凝縮した“時を超えたエレガンス”が魅力で、優美なエンボス装飾を施したドーム型ダイヤルもビンテージ感たっぷり。この39mm以外にも、28、36、41mmを合わせた計4サイズで展開され、コンビ仕様も用意します。
価格：27万6100円 詳しくはこちら
●問い合わせ先
日本ロレックス / チューダー
TEL 0120-929-570
公式サイト
Photograph / Masanori Yamaguchi
Text / Takahiro Ohno(Office Peropaw)
Edit / Kazuyuki Okumura
※メンズクラブ2024年4月号掲載記事の転載です。
